uBITXのスプリアス問題
uBITXのスプリアスの問題が話題に登っている。以下、まとめサイトの情報。
二つ目の記事にサマリがあって、問題が二点指摘されている。ざっくり意訳すると、、、
- 18MHzより上のSSBでDBMにまつわるスプリアス。マイクゲインを上げたりすると悪化する。解決方法は、30MHzのLPFを置き換えるか、IFの周波数を上げる。
- LFPの配線の問題によって高調波スプリアスが発生する。解決方法は、LPF群の置換え(ドータボード化)。
本当にザックリした意訳なので間違っている可能性あり^^; お気づきになったら教えてやってください。
一つ目の方。30MHzのLPFは先日、解析してみた。
これでダメなのかなぁ?これでダメなのなら、LPFの置き換えじゃなくて、IF周波数の変更をやらなきゃってことに?それはかなり大掛かりな話のような気が。
二つ目の方、LPFの配線の問題。これは確かにありそうな感じ。次節へ。
【追記】
LPFのバンクに誤解があった。
以下の文章、関連箇所を訂正済み。
LPFの配線問題
uBITXでは少ないリレーでLPFを切り替える非常にユニークな設計になっている。わずか三つのリレーで四組のLPFを切替え・選択する。この設計はローコスト・省スペースの観点で優れているが、一方、配線には無理が生じる可能性がある。
まず、30MHz LPF(21、24、28MHz帯用)。
終段FETからの出力はリレーKT1を通ってアンテナへ導かれる(より正確には、アンテナの手前に送受切換え用のリレーK3が入っている)。
続いて、21MHz LPF(14、18MHz帯用)。
KT1とKT2を通過する。
10MHz LPF(7、10MHz帯用)。
KT1とKT2、さらにKT3も通過する。
5MHz LPF(3.5MHz帯用)。
これも、KT1、KT2、KT3を通過する。
つまり、10MHz帯以下は、リレーを三つも通る。しかも、それぞれのLPFの入力と出力の切り替えを各一つのリレーで行っているため入力と出力が近く、「漏れ」を生じている可能性もある。
バンドごとにスペアナで観測したという方もいらっしゃる。やはり、ローバンドが厳しいようだ。
uBITXのボードからコイルを取り出して別のボードで再構築し、その特性を測定した方。こちらの記事によれば、フィルタ自体の特性は良いらしい。そうすると、問題はやはり、リレー内部とそのための配線による悪影響か?
80mバンド用のLPFだけを別基板で組んでスペアナで高調波をチェックした方。やはり、充分に高調波が抑えられ、フィルタの問題ではなく配線(レイアウト)の問題との意見。
LPFドータボードを起こそうとしている人。
設計者の見解、そしてそれへの反論
このスプリアス問題に対して、設計者Ashhar Farhan氏の見解がこちら。
例によって、ざっくり意訳。
- CW時の問題は、ドライブ電流を下げればOK。R105の抵抗値を高いものに変更。あるいは、ソフトウェアによってCLOCK#2の電流を8mAから2mAに下げることでも可能。
- (ファイナルの)IRF510のバイアスのバランスをとると高調波はほとんど消えるはず。出荷時には両方のIRF510に100mAを流し、一方を微調整して高調波がゼロになるようにしている。
- 14MHz以下ではIRF510が過大にドライブされることで歪む。ドライブを下げて7Wに調整すれば高調波は仕様内に収まるはず。
- 問題がリレーやレイアウトに起因するのかは疑問。そうであるなら、ハイバンドの方が悪化するはず。ローバンドではレイアウト等の影響は小さい。ローバンドでの悪化は、レイアウトよりもオーバードライブが原因(本当に必要なのはALC)。
さすがは設計者。なるほどと思えるお話。しかしながら、配線の引回しとリレー内のクロストークはやっぱり気になると思うのだけど。
上記に対する反論(反証?)がこちら。
やはり、フィルタのレイアウトを変えなきゃダメという話。かつ、LPFじゃなくてBPFが必要らしい(45MHzのキャリアスプリアスに対処するために)。
LPF? BPF?
ローバンドではLPFで良いが、ハイバンドだとBPFが必要になるという話。理由は、IFに45MHzを採用しているため。
例えば、運用周波数が20MHzの場合、45MHz – 20MHz = 25MHz。この差分が漏れる。ここでの差分は運用周波数よりも高いので、フィルタは20MHzのLPFでよい。
運用周波数が24MHzの場合、45MHz – 24MHz = 21MHz。運用周波数よりも低くなるため、これをカットするにはHPF。しかし、高調波も抑えなければならないので、BPFが必要。
これを表した図がこちらのトピックにある。
ただ、よくわからないのが21MHz帯。45MHz – 21.45MHz = 23.55MHzであって運用周波数の21.45MHzよりも高いので、LPFでいいのではないだろうか?とはいえ、双方の周波数が近いので非常に急峻なフィルタが必要になるが(BPFだとしても、急峻なものが必要なことには変りない)。
12/10mバンド用のBPFを設計した話。
さて、どうする?
まず、CWのドライブ電流を下げる。これはやった方がいいだろう。R105を変更してもよいが、ソフトウェアでも対応できるそうだから、ファームウェアのアップデートに期待。
ファイナルのバイアスの調整。これも検討。とはいえ、スペアナがないのでどうしたものか?
ローバンドでドライブを下げるとすると、調整用VRをパネルに出す必要があるか?
LPF群は、配線レイアウトを変えた方が良いだろうと思う。さすがにあれだけ引回したり、LPFの入出力が一つのリレー内というはクロストークが気になる。ローバンドでは影響が少ないとはいえ、三つも通るとクロストークの機会も増えるし。uBITXのそもそもの設計思想のシンプルに・安価にには反するけれど、仕方あるまい。この場合、21MHz帯用はBPF?でも、カットするのが23MHzと上なので、やっぱ、LPFでいいのでは?24/28MHz帯用はBPFで。
こんな感じかな?どんどん大変なことになっていく…。
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