以前、uBITXのLPFの解析と検討を行った。
これは、送信出力段でのLPF。そういえば、uBITXにはもう一段、LPFが入っている。30MHzのLPFで、こちらは送信時だけでなく受信時にも通過する。受信時はアンテナから直、送信時はミキサからの出力とドライバの入力の間。詳細は、公式サイトの「CIRCUIT DESCRIPTION」のページ。
このページの「Low Pass filter at 30 MHz」のところ(ここの説明文は受信用のフィルタのように書かれているが、送信時にも通ることはブロック図や回路図からわかる)。このフィルタの特性がどんな感じなのかも気になるところ。そこの回路図を抜き出しておく。
では、この定数を使ってシミュレートしてみる。
ありゃ?19MHzあたりでもう落ち始めている。ハイバンドの送信出力が小さいのはこのフィルタのせいでもあるのかも?
ところで、先のページにはコイルの巻数のデータも記載されている。抜き出しておく。
これによれば当該LPFのコイル、L1、L2、L3はすべて同じT30-6に9回巻き。あれ?330nHと390nHのはずなのに、なぜ、すべて同じ巻き数?そもそも、T30-9に9回巻きしたらインダクタンスはいくつ?ということで、いつものサイトで計算。
計算結果は、330nHでも、390nHでもなく、290nH(0.29µH)。うーむ…。ま、ともかく、全部290nHとしてシミュレートしてみる。
あ、なんだ。実際には19MHzから落ちたりせずに、上の方まで伸びている。これならハイバンドで出力が落ちる要因にはなっていなさそう。
とはいえ、落ち始めが37MHz位と、ちょっと上の方まで伸びすぎている気がしないでもない。そこで、もう少しなんとかならないかフィルタを検討してみる。いつもの計算サイトを使わせてもらう。条件は、カットオフ周波数 32MHz、リプル 0.1dBのチェビシェフタイプとしてみた。
これを元に、入手可能な定数に置き換えてみる。T30-6の巻き数を変えるとこんな感じ。
360nHは上手いこと作れるけど、巻き数を一回増やすと440nHになってしまう。
別のコアを使うことを考えると、T37-2で400nHが作れる(T30シリーズは入手性が良くないので一回り大きいT37シリーズで検討してみた)。
では、シミュレート。
期待通り、カットオフ周波数が下がっていい感じ(赤線)。
ついでに、400nHの代りに360nHでもシミュレートしてみる(T30-6、10回巻き)。わざわざT37-2を買わなくて済むように。
ま、これでもいいかな?
もう一つついでに、440nHでも(T30-6、11回巻き)。
ピンク(赤紫?)の線。一番厳しいフィルタだけど、30MHzまでは通っているのでこれがいいかも。一応、30MHz付近の様子を拡大しておく。
コメント
当該部分は通過電力が小さいので、定数が明確になる部品メーカーのコイルを利用しても良いかも。但しQの高い品種を。Qが低いと高い帯域で損失が増えるので。
なるほど、そうですね。とはいえ、ちょうどいい定数のものを探すのがけっこう大変なようにも思います。10nH単位の測れるLCメータを調達するのが何かと面白いかななどと思い始めています。
手巻きのトロイダルコイルよりインダクタンスを探すのが大変ですか
例:村田
MOUSERやDigi-Keyで探すと手に入りそうですね。幸い、Digi-Keyならマルツでも扱ってくれるので楽なように思います。検討してみます。ありがとうございました。
ちょっと大きめのLQW2Bシリーズ:
https://www.marutsu.co.jp/GoodsDetail.jsp?q=LQW2BASR39J00�…