LPFバンクの構成
uBITXでは、送信側に四つのLPFが入っている。公式サイトからブロック図を引用すると、こんな感じ。
21MHzが二つに記載されているのでわかりにくいが、実際の動作を見てみたところ、14MHz帯と同じ方が有効になっていた。これは間違いだった。21MHz帯は、それより上のバンド側と同じバンクに属していた。詳しくは、下記記事。
その確認は、送信時に、LFPのリレーをドライブしているQ17、Q18、Q19のコレクタの電位で判断した。←これでもわかるけれど、ベースの抵抗の手前でTXA、TXB、TXCを直接見る方がわかりやすい。この信号は送信時に限らず、常時出力されている。
このうち、ローバンドのLPFの効きが弱く高調波のレベルが高いという話を耳にしたので、LTspiceで動作シミュレーションしてみる。回路図上の値でシミュレーションするだけでは面白くないので、別途、LPFを設計して比較する。設計には、いつものアールエフ・デザイン・ノートのサイトを活用させていただく。
チェビシェフ Chebyshev LPF の 設計ツール
http://gate.ruru.ne.jp/rfdn/Tools/ClpfForm.asp#
切れ重視のため、チェビシェフで。
3.5 – 5MHz
パスバンドリプルは0.05dBと0.1dBの二つを計算してみる。
この計算結果を元に、比較的入手容易な定数で構成する。
シミュレーションの結果は以下。
uBITXのオリジナルの定数がOut1(緑)、新たに設計したものがOut2(青)。
この結果を見ると、オリジナルのものでは、7MHzくらいまでほとんど素通し。これじゃ、3.5MHzの第二次高調波はフィルタされない。5MHz帯を諦めてカットオフ周波数を下げればもっと楽だけど、将来5MHz帯が開放されることを期待して、こんな感じにしてみた。
2.08µH : T30-6、24回巻き
2.25µH : T30-6、25回巻き
トロイダルコアの巻き数計算は、こちらのサイトを利用させてもらった。
1220pFは1000pFと220pFのパラ。元々が1000pFを二つパラレル接続なので、実装パターンはある(はず)。
T30-6はオリジナルで使われているコア。したがって、使いまわして巻き直せばOK。線材は測ってみたところ0.4mmのようだ。T30-6に0.4mmは、計算上、最大27回巻ける。
7 – 10MHz
0.92µH : T30-6、16回巻き
1.04µH : T30-6、17回巻き
これは、余計なことはやらずに、オリジナル(Out1(緑))のままが良さそう。
14 – 18MHz
※当初「14 – 21MHz」としていたが、上に書いた通り、間違いだった。
0.52µH : T30-6、12回巻き
これもオリジナル(Out1(緑))のままが良さそう。21MHz帯は若干カーブの肩にかかってしまっているのが気になる。しかし、値をいろいろいじってみたが、これ以上いい具合にはできなかった。カットオフ周波数を上げると、28MHz(14MHzの二倍)の減衰量を確保できなくなるし。
【追記】
21MHz帯はこのブロックには属さないので上の懸念は当たらない。
21 – 30MHz
※当初「24 – 21MHz」としていたが、上に書いた通り、間違いだった。
ブロック図では「21 – 30MHz」という表記ではあるが、前述のとおり21MHz帯はここは通らないので、24MHz帯以上が対象。21MHz帯もここを通る。
オリジナル(Out1(緑))だとだいぶ上の方まで伸びているが、21MHzはこのLPFを通らないことを考えればこのままで問題なさそう。敢えて手を入れることもないだろう。←21MHz帯もここを通るが、充分減衰してると見て良さそう。
1.9MHz
ついでなので、1.9MHz帯を通すフィルタも検討してみる。
当初、カットオフ周波数3MHzで検討してみたが、甘すぎたので2.2MHzでも計算してみた。
シミュレーション結果では、Out1(緑)が3MHz、Out2(青)が2.2MHz。
3.84µH : T50-2、28回巻き
4.41µH : T50-2、30回巻き
5.34µH : T50-2、33回巻き
6.00µH : T50-2、35回巻き
T30-6にはさすがに巻けないため、T50-2で計算。
もし、このLPFを使うとしたら、外付けで、160mバンドを使うときだけ取り付ける格好か?
まとめ
3.5 – 5MHz用のLFPには手を入れた方が良さそう。トロイダルコアは実装済みのものを外して巻き直し。コンデンサは付け替え。
その他のバンドはオリジナルのままで良さそう。1.8MHz帯用は外付けで対応というところか。
コメント