モバイルバッテリからの出力に乗っているノイズ(リプル)をLCフィルタで落とす実験。
【補足】この記事は測定をやり直して書き直した。書き直したことの説明はこちらの記事。
以下が書直し済みの記事。
回路
至ってシンプル。単純なLCフィルタ。

R(100kΩ)とLEDは通電確認用。
MNHA05(ヘッドフォンアンプ)内部のフィルタと同じ(今さらながら、後追いの確認実験)。MNHA05では、Cは1,000μFだけど、ここでは半分の470μFで実験してみる。
測定

適当な試作基板の余りを使って実施。
負荷抵抗の値をいくつか変えて測定する。
- 無負荷
- 120Ω(約40mA)
- 51Ω(約100mA)
- 24Ω(約200mA)
また、Lも220μHだけでなく、22μHも試してみる。ついでに、チップインダクタでも。
Cは470μF固定(原則)。一般仕様の470μF 25V 105℃品(ルビコン PX)。
チップインダクタ + 470μF
最初にLはチップインダクタで。村田のBLM21PG331SN。DCR(直流抵抗)は0.07Ω。
無負荷

無負荷と言っても、上に書いたようにR(100kΩ)とLEDがぶら下がっている。
CH1(上)が入力、CH2(下)が出力。リプルは消えていると言って良さそう。
120Ω

負荷に120Ωの抵抗。CH2の電圧は約5.2V。ということは43mA流れていることになる。
出力は少しうねっているように見える。
51Ω

負荷に51Ωの抵抗。出力電圧は約5.0Vで、電流は98mA。
出力のうねりが大きくなってきたように見える。
24Ω

負荷に24Ωの抵抗。出力電圧は少しドロップして4.9V。電流は204mA。
無負荷時の出力電圧は約5.2Vだったので、0.3Vほど降下が大きくなった。これはおそらく、モバイルバッテリの内部抵抗やUSBケーブルが持つ抵抗によるものだろう。
それから出力電圧のうねりはさらに大きくなった。このチップインダクタでは不十分ということだろう。
22μH + 470μF
LはSHOU HANのCY43-22UH。DCRは0.27Ω。
無負荷

出力はきれい。
120Ω

51Ω

24Ω

出力電圧は4.9V。チップインダクタのときも4.9Vだったが、細かい数字を言えば、チップインダクタでは4.929V、こちらは4.877V。その差は0.052V。この数字がどこまで信頼できるかはわからないが、DCRはチップインダクタが0.07Ω、こちらの22μFが0.27Ωなので、差は0.2Ω。電流値の204mAをかけると、0.04V。この数字を見れば、こちらの方が電圧降下が0.052V大きいのは、それなりに正しそう。
470μF追加

試しにCをもう一つ、同じ470μFをパラってみた。ま、変らない。
220μH + 470μF
LはMetalLionsのMSCD43-221KT。DCRは2.26Ω。
無負荷

120Ω

LのDCRが大きいので、さすがに電圧降下が大きい。42mAほど流れた状態で、無負荷時と比べて0.2V近く下がっている。
51Ω

24Ω

出力電圧は4.50Vまで下がった。無負荷時は5.21Vだったので、0.71Vほど降下したことになる。ここまで下がるとちょっと厳しい。
このLのDCRは2.26Ωなので、188mA(=4.50V/24Ω)流したときの電圧降下は約0.42V。チップインダクタの場合は無負荷時と24Ωのときとで0.3V降下していたので、それと合わせれば約0.7Vとなり、計算は合う。
まとめ
今回の実験の範囲では、22μH(+470μF)でも、かなりリプルは落とせる。220μHの方はより落とせている気もするけど、大きな違いはない(22μHで充分)。逆に、もっと小さくてもいいのかもしれないし、Cも小さくしてもいいのかもしれない。興味はあるけど、そこまでやる気力がない…。
リプル量の違いよりも、Lの持つDCRによる電圧降下のほうが影響が大きそう(MNHA05ではせいぜい数十mAなので電圧降下は気になるほどではない)。
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