マイコンからの出力の矩形波をなんとか正弦波っぽくしようという話。
LPFで基本波を取り出す ~ 設計
矩形波は基本周波数にその倍音成分を加えたものだから、逆にLPFで倍音を落としてしまえば基本波だけ出てくるはず。CやLといった受動素子でLPFを組むとあまり急峻な特性は得られないので、オペアンプを使ったアクティブフィルタを試してみる。
設計には大川電子設計さんのWebツール(オペアンプ多重帰還型ローパス・フィルタ計算ツール)を使わせてもらった。
カットオフ周波数fcを1.1kHzとし、コンデンサを入手容易な値にしていくつか試してみた結果、これを採用することにする。
このフィルタを二段構成にし、さらに、前段にCRによるLPFを付けた回路にしてみた。
実験機。手前のDIP 8ピンがマイコン。奥の表面実装のICがオペアンプ。電源電圧は3.3V。
実験(測定)
上から、マイコン出力、CR LPF(の後。以下同様)、アクティブフィルタ1段、アクティブフィルタ2段。周波数は約700Hz。
アクティブフィルタ1段と、アクティブフィルタ2段の波形を詳しく。
アクティブフィルタ1段で充分なようにも思うけど、良く見比べると山の頂上付近の昇りカーブが2段目のほうがきれい。谷の方のカーブも同様。
以下、500、600、700、800、900、1000Hzの詳細。
500Hzだとピークが少し潰れた感じ。第二倍音がfcに近いのでしょうがないか。ちゃんとやるなら基本波に合せてLPFのカットオフ周波数を変えてやらなきゃいけない。
周波数が高くなると基本波自体がfcに近くなるので波形が小さくなる。低い周波数では約1Vppあったが、900Hzで約790mVpp、1000Hzで約620mVになってしまっている。LPFを多段構成にしたので、fcのちょっと手前付近の減衰が大きめになっているのかな。かと言って、fcを上げた設計にすると低い周波数での波形がきれいじゃなくなるだろうし。
今回の用途では、これで充分。思った以上に正弦波になってくれて嬉しい。レベルの方も上の周波数で多少下がるとはいえ、実用範囲内だろう。
失敗編
当初、こんな波形になってしまった。
オペアンプからの出力の頭が潰れてしまっている。
考えてみれば、普通のオペアンプを使っているので(レール to レールではないので)、当然の結果ではある。前段のCR LPFである程度レベルが下がるので大丈夫じゃないかと思っていたけど、甘かった。
そもそも、電源電圧が3.3Vなので、上の方は余裕がほとんどないわな。
そこで、マイコンは3.3Vで動作(=矩形波のピークは3.3V)、オペアンプは5Vで動作させた。これなら1.7Vの余裕があるし、前段のCR LPFでもピークが下がるのでまったく問題ない。
もし、オペアンプも3.3Vで動作させるなら、矩形波を抵抗で分圧して半分くらいにするのでも良いかも(未確認)。当然、出力される正弦波も小さくなるが。さもなくば、前段のCR LPFの出力をCでDCカットし、オペアンプの手前で1Vくらいのバイアスをかけてピーク値を低めにするとか(部品数は増える)。
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