旧スプリアス規格の機器での開設や変更があと一ヶ月ほどということもあり、免許申請関係のツィートをよく見かける。JARDで保証認定を受けて、さらにスプリアス確認保証も受けたという話もあった。「古い無線機は平成34年までしか使えない」といったツィートもあったり。何だかゴチャゴチャして分かりにくいし、また、このブログにもスプリアス保証関連のキーワードでのアクセスも比較的多いので、私が理解している範囲で整理してみる。
スプリアス確認保証が必要なケースは?
そもそもとして、JARDスプリアス確認保証とは、古い無線機(旧スプリアス規格の無線機 – 平成19年11月30日以前に製造されたもの)を使っている場合に、平成34年12月以降も使用することができるようにするための簡便な手続き。ここでのポイントは、現在免許を受けているということ。言い換えれば、これから免許を受ける場合(変更申請を含む)ではない、ということ。
では、古い無線機を使ってこれから免許を受けたい(増設・取替変更したい)場合はどするか?これは、通常の保証認定(基本保証)を受ける。JARDの持つスプリアス確認保証可能機器リストに掲載されているものなら、新スプリアス対応機として保証認定してくれる。したがって、新たに免許を受ける場合や増設(取替)変更の場合はスプリアス確認保証は必要ない。この点については、以前、JARDに電話して確認したので間違いない。
旧スプリアス機は平成29年11月30日までしか申請できない?
hamlife.jpにこんな記事。
<“1か月前までの申請にご協力を”のお願い>関東総合通信局、「アマチュア局の旧スプリアス規格の機器での開設や変更は11月30日まで」と呼びかけ
http://www.hamlife.jp/2017/10/16/kantou-soutsu-osirase-spuri…
Twitterなどを見ていると、旧技適機は今年の11月30日までしか申請できないと思っている人が多い印象を受ける。間違いではないけど、それは、技適機として総通に直接申請する場合。上に書いたように、旧技適機でも保証認定を受けられるわけで、それなら12月以降でも申請できる(対象機に限るが)。今慌てて駆け込む必要はないし、12月以降に中古機を入手しても大丈夫。
また、11月30日までに旧技適機を総通に直接申請した場合は、上に書いた「現在免許を受けている」状態になるため、スプリアス確認保証を受ける必要がある(平成34年12月以降も使用するなら)。
以前保証認定を受けた無線機は?
新スプリアス規格は平成17年12月1日に適用開始された。したがって、この日以降の保証認定は「新スプリアス規格」が適用されている。このケースではスプリアス確認保証は必要ない。ただし、TSSとJARDとで若干微妙…。
TSSの場合は、間違いなく新規格での保証。以下の記事の「追記」の個所を参照。
JARDも、以前は「平成17年12月以降に保証を受けたものは新規格」という扱いだった。以下の記事参照。
しかしながら、当該Q&Aは時折変更され、今現在は次のようになっている(H29.8.1版)。
「開設又は増設等の際に旧スプリアス規格の機器として経過措置を受けて申請したものは除きます」という文言が追加になっている。なので、JARDで保証認定を受けたものの場合は、個別に確認した方が良いと思う。
【追記】
下記ブログ記事によれば、JARDでは2016年9月から基本保証を新旧二つのスプリアス規格に分けたらしい。
[新スプリアス]JARDに確認して更にビックリ
https://blogs.yahoo.co.jp/je1ngi599/14749412.html
2016年9月以降にJARDで保証認定を受けた場合は確認した方がいいかも。
【追記ここまで】
平成29年12月1日以降の保証認定
JARDが保証認定してくれるのは、基本的には、スプリアス確認保証可能機器リストに掲載されているものだけ。自作機等は測定データの提出が必要になる。
<自作機、外国製リグなど旧スプリアス規格の無線機は保証不可に>JARD、平成29年12月1日以降の開設・変更保証(基本保証)の方針を発表
http://www.hamlife.jp/2017/10/06/jard-hosyo-kihonhoushin/
一方、TSSでは測定データは求められない。
測定データを求めないのだから、書類だけで海外機や自作機でも保証を受けられる。また、JARDのスプリアス確認保証可能機器リストに掲載されていないモデルでもOK。JARDのスプリアス確認保証可能機器リストはJARDが測定したものしか掲載されていない。機器が集まらなかった等の理由で測定していないものはリストには入っていない。JARDが測定してダメだったものは別のリストに掲載されている。
機器単体で新スプリアス規格適合機器として保証ができない機器
http://www.jard.or.jp/hosho/spurious/contents/guidance_futek…
JARD、TSSの保証認定の考え方について、より詳しくはこちらのブログ記事が参考になる。
新スプリアス規格経過措置終了後、自作リグの保証認定に実測データ添付が必要になるのか??
http://fujichrome.exblog.jp/25160944/
余談ながら、上記の記事によれば、関東総通だけは扱いが異なっている模様。詳細は元記事をどうぞ。また、TSSもスプリアス確認保証を始めるらしいことも上記記事に記載されている。
海外の状況
新スプリアス規格は日本が勝手にやっているわけではなく、ITU(国際電気通信連合)のスプリアス規格が改定されたことによるもの。したがって、他国でも実施されているはず。
検索してみたところ、アメリカの状況を調べて比較した記事を見つけた。
スプリアス規格 アメリカと日本の比較
http://blog.goo.ne.jp/dotenkaimei/e/8ae0c7d8006a770f4f0551c8…
新スプリアス規格 アメリカFCCの考え方
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/iaasada/data/spurious/spurious3.h…
大雑把に言えば、アメリカでは古い無線機は当時の規格が適用される、つまり、そのまま使えるということ。帯域外発射については定量的な規格はないそうだ。
元は同じ国際規格のはずだけど、その運用にはずいぶんと差があるものだ。
まとめ
スプリアス確認保証が必要なのは、現在免許を受けているアマチュア無線機のうち、
- 旧スプリアス規格の技適機
- 平成17年11月30日以前に保証認定を受けたもの
のいずれかにか該当するもの。ただし、JARDによる保証認定の場合は個別に要確認。また、これから保証認定を受けるものは、スプリアス確認保証は不要(二重の保証になってしまう)。
おことわり
この記事は、私が理解している範囲でまとめたもの。間違いがあれば、ご指摘頂けると助かります。また、申請に関して不安な場合は、管轄の総通やJARD、TSSに問い合せてください。
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