今月号はフレッシャーズ応援企画。
その前に、RFコーナの紹介。去年の11月号と12月号でtinySA Ultraの使い方の記事を書かせてもらった。今回はその続編的な規格で「tinySA Ultraって使い物になるの?」という視点の話。何をやったかと言うと、JARDの測定室開放サービスを利用してとある無線機を測定し、その測定結果とtinySA Ultraでの測定結果を比べてみようというもの。
やった項目は、帯域外領域の不要輻射(電波の型式はA1A)、スプリアス領域の不要輻射(A1A)、占有周波数帯幅(F3E)。この他、スペアナのレベルチェック、シグナルジェネレータの信号測定。
ざっくりまとめると、
- 帯域外領域の測定では信号近傍のノイズフロアが高いため-60dBcの確認は困難。
- スプリアス領域の測定ではJARDの測定器と概ね同じ値が得られる。
- 占有周波数帯幅は直接は測定できないが、チャネルパワー測定機能で代用できる(測定結果はJARDの測定器と一致)。
- ただし、tinySA UltraのRBWは200Hzが最小であるため以下の制限などがある。
- A1Aの占有周波数帯幅の測定は無理(許容値が500Hzと狭い)。
- 帯域外領域の測定では信号近傍のノイズフロアが下げられないのもRBWが200Hzより小さくできないため。
- RBWを200Hzのように狭くするとスイープ時間が長くなるため、広範囲の測定は分割する必要がある。
- スペアナの測定レベル(測定値)は割と良い(仕様では±2dB)。
- シグナルジェネレータの出力レベルも概ね正しい(これも仕様では±2dB)。
今回の測定は145MHzで行ったため帯域外測定では-60dBcが許容値だが、30MHz以下なら-50dBcであり、それくらいなら見られる(これは本文には書いてない(書きそびれた))。
記事は10ページ。tinySA Ultraについて興味があればぜひご覧いただければと。
さて、目次。
3月号ではいろんなツールをざっと紹介し、DVDでそれらを付録で付けていたが、今回は対象を絞って詳しい使い方など。
まずはLTspiceの新バージョンの紹介。これは詳細記事ではなくて紹介の範囲(4ページ)。
詳細の説明があるシミュレータは三つ。
一つはQSPICE。これはLTspiceの作者さんが開発した新しいシミュレータだそうだ。アナログとデジタルと制御ソフトをまとめてシミュレーションできるらしい。導入から実際に回路設計を行うところまでの解説(37ページ)。
もう一つはQucsStudio。こちらはどちらかと言うと高周波回路向け(高周波に限定というわけでもないが)。これも導入から実際の設計まで。アッテネータ、アクティブフィルタ(オペアンプ)、高周波LCフィルタ、これらを設計して作ってみる話(29ページ)。
さらに、別冊付録でQucsStudioの解説本(80ページ)。
QucsStudioはちょっと使ったことがあって良さそうだと思っていたのだけど、使い方がよくわからず持て余していたので、これは大変うれしい。
三つ目のシミュレータはMATLAB/Slimulink。パワエレ用だそうだけど、このジャンルは縁がなくてよくわからない。
それから別冊付録がもう一つある。毎年恒例のエンジニア手帳。
ということで、電子工作やるなら今月号のトラ技はおすすめ。
コメント
VAJ局、トラ技5月号を予約購入し、貴局の記事を読みました。
非常に分かり易かったので、Ultraの購入にも踏み切ることができました。
少し前にやっとUltra届いたので先ほどCALを取ったり、Self Testしたり、と動作を確認しました。
コピー品ではないようなので(本物みたい)一安心です。
これを今後使っていこうと思います。
新スプリアス規制に対する測定を行う予定にしていまして、かなり以前に製作したHF/CW
トランシーバーのスプリアスなどを測定しようかと思います。
(20/30/40dB ATTも手に入れました。)
これでうまく測定できればいいなぁと思っています。
おかげさまで一歩前に踏み出せましたので、感謝申し上げます。
過去の記事(トラ技)も読み返そうと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。(Xのほうでもお世話になっております・・・)
多少なりとも役に立ったようで嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。