Banggoodからサーモグラフィカメラを送ってもらったので試してみる。画面が比較的大きい割には安価なのが特徴。どういうわけかDMM(デジタルマルチメータ)と一体型だけど、メインの機能はサーマルカメラだと思うので、そちらを中心に見ていく。
外観・仕様
内容物は、本体の他にUSBケーブル、テスタリード(DMM用)、マクロレンズ(PROモデルのみ)、ユーザマニュアル。マニュアルは英語で、それはともかく内容が不充分。サーマルカメラでの画面の説明がまったくない。オンラインマニュアル等も見つからない。
サーマルカメラ関連の主だった仕様は次の通り。
- センサ: 192×192ピクセル
- キャプチャ速度: 20Hz
- 測定温度範囲: -20℃ ~+550℃
- ディスプレイ: 320×480ピクセル、2.8インチ
- 画像形式: BMP
- DMM: DC電圧、AC電圧、抵抗、キャパシタンス、ダイオード
- サイズ: 134x69x25mm
- 重量: 130g
試用
実際に使ってみる。
電源投入
電源ボタン(画面下に並んでいる物理ボタンの一番左)を長押し。押すと割とすぐにそのボタンが光るが、そこで手を離したらダメ。そのまま押し続けて起動画面が表示されるのを確認してから手を離す。
起動にはちょっと時間がかかる。上の画面のようにカウントダウンタイマが表示される。電源ボタンを押し続ける時間と合わせて、起動するまでには10秒くらいかな?
測定
立ち上がったらすぐに測定(表示)される。コーヒーカップを見ているところ。冷めている(というか冷めきっている)のでカップの中は黒っぽく写っている。
多分、最初に見てみようと思うのは自分の手じゃないかな、ということで。
画面キャプチャ機能があるので、それで保存したもの。ピクセル等倍(拡縮なし)。
最初に書いたとおり、マニュアルには画面の説明がないので、しばらく触ってみて「こうじゃないかな」と思ったことを書いておく。
画面上部中央の大きな数字「031.5℃」が画面の中心部の温度。画面中央には固定された十字マークが表示されている。
画面には勝手に動く十字が二つある。一つは赤い十字で、多分、温度が最も高い場所を指している。その値は画面上部に表示されている小さな数字の赤い方。もう一つ、緑の十字があり、こちらはおそらく温度が最も低い場所。値も同様に表示されている。
その他、画面上部左の歯車は設定画面への移行、その右隣のよくわからないアイコンは画面キャプチャ、右端は電池残量。画面下部左側のAutoの表示はまったくわからず。右側は日時。
色々撮影してみる。
安定化電源。真っ赤だから熱そうに見えるけど、そうではない。多分、画面中央部の色が決まっていて、それとの相対で色が決めているんじゃないかな?なお、表示方法はいくつか選べる(後述)。
冷蔵庫(冷蔵室)。ちょっと低すぎる表示のような気がする。
冷凍室。
冷蔵庫の表面を撮影したら、自分が写っているようで、自撮りのようになった。
ハンダこて。
ネコ。鼻が冷たいことがよく分かる。
花見。これだと、最低が1℃(手前の橋の欄干)、最高が110℃(花見客の中心辺り)ということになるのだろうが、そんな訳はないだろう。距離がバラバラなものは誤差が大きくなるのかな。こういう被写体(?)では、それなりにあてになりそうなのは中心部だけかも。
さっきまで履いていた下駄。
マクロレンズ
今回のものは「PRO」モデルなので、マクロレンズが付いている(言い換えれば、通常モデルとの差はこれの有無だけ)。この白い部分がマクロレンズ。マグネット式で簡単に取り付けられる(筐体を止めているネジにマグネットが付く)。
ところが、マグネットがうまく固定されていないようで、レンズを外したらマグネットが外れた。その外れたマグネットはネジ穴に入ってしまっている。
小さなマイナスドライバを使ってマグネットをなんとか取り出して、レンズ側に接着剤で固定した。
それはそれとして、マクロレンズの本題。とある基板を撮影。
まずは、通常状態(マクロレンズなし)。発熱している部品に寄って撮影するとボケる。
続いてマクロレンズを取り付けた状態。こちらだと、引いた状態だとボケるが、寄った状態ではピントが合う。ちなみに、この発熱している部品AMS1117-3.3(3.3VのLDO)。基板への放熱の様子がわかって面白い(タブ端子はVoutで、広い場所が確保できなかったので放熱効果がよくない)。
表示色選択
温度の表示色はいくつかの選択肢がある。
初期状態は一番左端になっていた。これまでの撮影例はすべてこの状態。試しに一番右端のものを選んで先程の基板を撮影したものがこちら。ある程度発熱しているところだけに色が付くようだ。
画面キャプチャ
最初に書いたように、画面キャプチャすることができる(スクリーンショット)。保存したものを呼び出すことも可能。
また、設定画面でUSB MODEを選ぶとPCで外付けメディアとして見えるので、簡単にコピー可能。なお、画像はBMP形式。
DMM
せっかくなのでDMM機能もちょっと試してみる。切換えは「IR/DMM」の物理ボタン。物理ボタンの下にアイコンが並んでいるが、これはボタンではなくて単なる飾り。
測定モードの切り替えはタッチパネル。
キャパシタンスモードにしてコンデンサ(100nF)を測っている様子。
温度は常時表示されているみたい。
内部
内部を見る前に、電池ボックス。
どうやら、元々は単四が三本入る筐体のようだ。そこに1000mAhのLi-on電池を入れている。電池ボックスの蓋は開くが、本体内部にケーブルが引き込まれているので(このままでは)電池交換はできない。
内部の様子。電池はコネクタで接続されている。
リバースエンジニアリング防止のためか、主要な半導体チップは刻印が削り取られている。
まとめなど
- この解像度でこの価格は比較的安価
- 操作は簡単
- 画面キャプチャボタンが使いにくい(場所が遠すぎて片手での操作が難しい。物理ボタンに割り当てて欲しかった)
- PCにつなぐと外部ドライブとして見えるのでキャプチャした画像の取出しはとても簡単
- 基板上の部品を見るならマクロレンズはあったほうが良いと思う(マグネット外れに注意)
- 比較的短時間で画面が消える(タッチすれば戻る)
- 電池の減りが割と早い(電池が小さい)
- DMM機能は邪魔にはならないけどいらないと思う
- ビデオ録画機能があるともっと良かった(DMMを付けるくらいなら…)
【クーポン】
- クーポンコード: BG61807f
- 適用価格: US$133.99 (MT13S) / US$150.99 (MT13S PRO)
- 有効期限: 2024年4月30日
販売ページはこちら。
通常モデルとPROモデルの違いはマクロレンズの有無。マクロレンズはあとからでも買える(割高にはなるが)。
コメント