以前測定したダイナミックレンジの続きのような話。
NanoVNAだと周波数が上の方ではS21測定のダイナミックレンジが小さくなる。これは、上の方では高調波を使っていることも要因の一つだろう思う。
ならばNanoVNAの出力レベルを測ってみればいいじゃないか、というのが今回の企画。
NanoVNA-H4の出力(PORT 1)を-30dBのアッテネータ経由でtinySA Ultraで受ける単純なもの。両者は同期していないので、tinySA Ultraの設定はMAX HOLDでピークを拾う。長時間ほっとけばそれなりに見えるだろう。
測定結果。測定の上限周波数は1.5GHz。
一時間ちょっとくらいだったか、そのくらい放置しておいたもの。まぁ大体拾えたかなと思う。測定値は、アッテネータによる-30dBを補正してある。
90MHz(マーカ1)までは-10dBmくらい。そこからマーカ2までが0dBmくらい。このNanoVNA-H4では基本波と高調波のスレッショルドを290MHzに設定しているので、ここで切り替わる。ここより上は高調波を使うことになり、マーカ3あたりの870MHzまでが第3次高調波で、-10dBmくらい。そこから1450MHzまでが第5次高調波を使っているのだろうが、じわじわ下がっている。それを超えると第7次高調波になり、また一段下る。
基本波の範囲(約300MHzまで)と比べて、第3次高調波の範囲(約900MHz)は約10dB下がり、第5次高調波の範囲(約1500MHzまで)は15~20dBくらい下がる。信号源の出力レベルが下がるわけだから、S21の測定でのダイナミックレンジに影響は出るだろう。しかに、90MHzまではレベルが低いのはなぜだろう?
続いて、LiteVNA 64。NanoVNA-H4と比較のため、まずは、1500MHzまでで。
こちらは全体を通じて概ね-8dBmくらい。画面の中央から右のほうが取りこぼしが多いように見える。中央付近が800MHzで、これより上がtinySA UltraがUltraモードになり、スイープが遅くなる。それが取りこぼしにどう影響するのはわからないけど。
続いて、6GHzまで。
さらに取りこぼしが多くなる。NanoVNA-H4のステップが粗くなるためだろう。二時間くらい放置してこの状態。それでも、まぁ、傾向はつかめる。2GHzくらいまでが概ねフラットで、そこから上は少し下がるという感じかな?
なお、tinySA Ultraは5.34GHzまでしか(自己)キャリブレーションできないし、ここで使用したアッテネータは4GHzよりも上は特性が暴れているのであてにならない(アッテネータの特性はNanoVNAのダイナミックレンジの調査のときに測定した)。
LiteVNA 64は6GHzまでと言っているだけあって、上の方まで信号源のレベルは余り下がらないようだ。
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