昨日のLPFの測定でNanoVNAのS21のダイナミックレンジが気になったので、もうちょっと調べてみることにした。
測定方法
やることは単純で、アッテネータを通して測るだけ。減衰量の違うアッテネータを使ってそれぞれの減衰量がどのように表示されるかを見る。
用意したアッテネータは、10dB、20dB、30dB、それともう一つ10dB。左の三つは6GHz、右端は8GHz対応品。とは言え、安物なので、どこまでアテになるかは…。
測定
LiteVNA64
まずは、もっとも周波数範囲が広いLiteVNA64から。上限周波数は6GHz。
0dB
最初に同軸ケーブルで直結。
これでキャリブレーションを行ったので0dBでフラットになるのは当たり前。と言いたいところだけど、これほどまでに周波数が高いとコネクタの締め方や同軸ケーブルの曲がり方がかなり影響してくる。何とかフラットな状態を捉えたのが上の画像。
-10dB
金色の10dBアッテネータ。
3GHzまではフラット。その上は少し波打つが、まぁ、4GHz位まではだいたいフラット。
続いて銀色の10dBアッテネータ。
こちらは3.5GHz位までは波打つ様子は見られない。こちらの方が良いと言えば良いけど、まぁ、五十歩百歩。
-20dB
-30dB
-40dB
アッテネータは30dB+10dBの構成で。
-50dB
30dB+20dB
3GHz以下でも細かく波打つようになってきた。
-60dB
30dB+20dB+10dB
-70dB
30dB+20dB+10dB+10dB
ここまで来ると厳しい。3GHzまでに限定しても、-60dBくらいまでか?
NanoVNA-F V2
この機種の上限周波数は3GHz。
0dB
-10dB
-20dB
-30dB
-40dB
-50dB
-60dB
-70dB
NanoVNA-H4
この機種の上限周波数は1.5GHz。
0dB
-10dB
-20dB
-30dB
-40dB
-50dB
-60dB
-70dB
NanoVNA(クローン)
比較的初期のクローン品で、上限周波数は900MHzとして登場したもの。その後、ファームウェアのアップデートで、上限周波数は、一応、1.5GHzということになっている。
0dB
-10dB
-20dB
-30dB
-40dB
-50dB
-60dB
-70dB
まとめ
測定結果を眺めて、それらしい値になっている値を一覧表にしてみる。
LiteVNA64 | NanoVNA-F V2 | NanoVNA-H4 | NanoVNA※ | |
---|---|---|---|---|
~200MHz | -65 | -65 | -65 | -60 |
~400MHz | -65 | -65 | -55 | -40 |
~600MHz | -65 | -65 | -50 | -35 |
~800MHz | -65 | -65 | -50 | -30 |
~1000MHz | -65 | -65 | -40 | -20 |
~1200MHz | -65 | -65 | -35 | -10 |
~1500MHz | -65 | -60 | -30 | |
~2000MHz | -65 | -60 | ||
~2500MHz | -65 | -60 | ||
~3000MHz | -65 | -40 | ||
~3500MHz | -60 | |||
~4000MHz | -50 |
※NanoVNAはクローン品。
しかしながら、実際にLPFを測ったものから少し拾ってみる。
150MHzのLPFの測定結果を読み取ったもの。
LiteVNA64 | NanoVNA-F V2 | NanoVNA-H4 | NanoVNA※ | |
---|---|---|---|---|
300MHz | -32 | -30 | -28 | -32 |
400MHz | -53 | -55 | -38 | -43 |
500MHz | <-70 | <-70 | -40 | -40 |
LiteVNA64とNanoVNA-F V2の測定結果はだいたい一致。
NanoVNA-H4やNanoVNAでは、400MHz以上はダイナミックレンジ足りなくて正しい値で測れていない。
実際の測定ではこうしたことを頭に入れておく必要がありそう。
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