UV-K5は、2nd、3rdの高調波が-50dBc程度。私自身の測定でも、他の方の記事でも概ねそのくらいの値。これの対策として、LPF(外付け)を作ってみた。
設計・シミュレーション
実は、数年前に試作まで済ませてあった。当時はBAOFENGのUV-5Rようにと思っていたのだけど、途中で飽きて放置。今回、QUANSHENGのUV-K5がきっかけで、ちゃんと作ってみた。
設計には、こちらのオンラインツールを使わせてもらった。
カットオフ周波数150MHzと450MHzで設計して、現実的な定数でシミュレーションを行った。Out7が150MHz版、Out6が450MHz版。
これを元に基板を作って試作したものがこれ。
作ってみたものの、部品の足が裏に出てしまうことが嫌なのと、ケースが大きすぎて不格好なので、基板を再設計、再製造した。
ここまでやって飽きて放置。基板に「2020」と印字してあるので、2020年にやっていたのだろう。
LPFの特性(実測)
ということで、改版した基板を使って組んでみた。
ケースに入れた様子。
150MHz
まず、150MHz版の特性。LiteVNAで測定。
ケースなしの状態。減衰特性とSWR特性。
続いて、ケースに入れた状態。
ケースに入れたほうがSWRが低く、通過損が少ない。
450MHz
同様に、450MHz版。
ケースなし。
ケース付き。
こちらもケースに入れたほうが特性が良い。
スプリアス減衰効果(測定)
では、UV-K5につないでスプリアスの減衰効果を見てみる。基版に対してコネクタが90度になっていないのか、ちょっと傾いてしまっている。
145MHz
tinySA Ultraで測定。60dBのアッテネータ経由。
第2次高調波、第3次高調波とも-70dBcくらい取れている。これなら問題ないだろう。
435MHz
435MHzだと、3倍の周波数の範囲では-60dBcを測るのはつらい。RBWを下げると測定がものすごく遅くなる(スイープ時間が長くかかる)。
そういうわけで、基本波、第2次高調波、第3次高調波に分けてその周波数の付近だけを見てみる。
まず、基本波。
基本波の信号レベルを見る。-24.9dBm。この確認だけのつもりだったのだけど、940kHzほど下にスプリアスが出ているのを発見。-62dBcなので、一応クリアしているが。
続いて、第2次高調波付近。
-100dBm程度。基本波からは-75dBc位。
次に第3次高調波付近。
こちらは少し出てしまっている。-91.0dBmなので、基本波からは-66.1dBc。規制値は-60dBcなのでクリア。
使うバンドごとに付け替えなきゃいけないのが面倒だけど、フィルタの性能としては問題なさそう。
コメント
Youtubeの動画を見てこちらにたどり着きました。
キットの領布は終わっちゃってるんですね。残念!
基盤だけでも再開していただけるとありがたいです。
とは言え、まずは本体を買って、いじってみようと思ってます。
その後保証認定には、LPFの開設を詳しくアップしていただいてるので、自作トライしてみたいと思います。
実際に中華機で運用するのも面白いとは思いますが、それ以上に知的好奇心をくすぐられています。
追加頒布の準備中です(当初の見込みだともう開始できているはずなのですが、部品の入手が遅れています)。
頒布の準備ができたらブログで告知します。何人かの方からJARDで保証を受けたとの話を聞いています。
再頒布を開始しました。
こちらからどうぞ。
https://www.jh4vaj.com/lpfs01