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UV-K5のスプリアスをtinySA Ultraで測ってみる

まえがき

UV-K5のスプリアスの様子をtinySA Ultraを使って測定してみる。

本来のスプリアス測定の方法は詳細な規定がある(後述の「関連法令等」を参照)が、ここではそれを念頭に置きつつ、シンプルに無変調状態で測定する。

なお、tinySA Ultraでの測定の正しさが未知数であるため、この結果が正しいかどうかはなんとも言えない

測定

接続

UV-K5とtinySA Ultraを50dBのアッテネータ(30dB + 20dB)を介して接続する。

144MHz帯

帯域外領域

帯域外領域の測定は、本来の測定でも無変調で行う。

144MHz帯のF3Eでは必要周波数帯幅は40kHzなので、±20kHz(上の図で横軸の1目盛り)を超えたところから±100kHz(横軸の5目盛り(画面の端))が帯域外領域の測定範囲。

範囲を狭め、RBWを200Hz(tinySA Ultraの最小値)に設定して再測定。

マーカ2がピークと思われる。

fc(145MHz)でのレベルが-13.5dBmに対して、スプリアスでのレベルが-49.5dBc。

許容値は-60dBcなので適合しない。

スプリアス領域

スプリアス領域は、本来は所定の変調をかけて行う。ここでは上述のとおり、無変調で行う(変調をかけて良くなることはない(これでダメなら変調をかけてもダメ))。

測定の範囲は本来の測定に合わせて9kHzから1.5GHz。

明らかに見えているスプリアス(マーカ2と3)を詳しく見るため、範囲を狭めて、かつ、RBWを小さくして再測定。

マーカ2の位置で-49.7dBc。許容値は-60dBcなので、これも適合しない。

430MHz帯

帯域外領域

こちらは最初からスパンが100kHz、RBWが200Hzで測定。

430MHz帯のF3Eでは必要周波数帯幅は30kHzなので、±15kHz(上の図で横軸の1.5目盛り)を超えたところから±75kHz(横軸の5目盛り(画面の端)は50kHz)が帯域外領域の測定範囲。

fc(435MHz)でのレベルが-14.7dBmに対して、スプリアスでのレベルが-51.5dBc(マーカ2、3のどちらも同じ)。

許容値は-60dBcなので適合しない。

念のため、マーカ2の位置を詳細に測定(VBWを小さくしてみた)。

-69.7dBmで、fcでの-14.7dBmとの差分で表せば-55.0dBc。

なお、白く太い横線はtinySA Ultraの画面キャプチャの問題(ときどきこうなる)。

スプリアス領域

まずは規定に沿って30MHzから3GHzの範囲で見てみる。

2次と3次の高調波が見える。これより上はあるのかもしれないけれど、ノイズに埋もれてしまってわからない。いずれにしても、この2次と3次のもので規定に合致しない(許容値は-60dBc)。

念のため、基本波(fc)と第2次高調波を詳細に見てみる。

-14.2dBmと-58.9dBmなので、第2次高調波は-44.7dBc。

※高調波が太く見えるのは測定周波数スパンを狭くしたため。

測定のまとめなど

144MHz帯、430MHz帯、どちらもスプリアス規定には適合しない(帯域外領域、スプリアス領域共)。

ただし、これは最初にも書いたように、tinySA Ultraで測定してみたものであり、このtinySA Ultraの測定性能が未知数なので、この結果をそのまま信じて良いのかは不明。

例えば、こちらの動画によれば、帯域外領域はまったく問題なかったとある(3’25″から)。

そうであれば、今回のtinySA Ultraでの測定結果が怪しいのではないかと思える。

なお、この動画はLPFを変更後の測定のようだけど、LPFは帯域外領域には影響しない。

スプリアス領域はLPFなどで何とかなるとしても、帯域外領域はそういうわけにはいかず、これがダメだとお手上げになってしまう。

誰か他にも測定してくれないかな。


【追記】

UV-5R Plusを測定したというツイート。帯域外領域はきれいだそうだ。やはり、tinySA Ultraでの測定で帯域外領域が盛り上がっていたのはtinySA Ultraの問題(限界)と思われる。


RSP1Aで帯域外領域の測定をやってみた。

LPFで高調波を抑えてみた。

関連法令等

この測定(144MHz帯・430MHz帯、F3E)に限定して、規定等を集めておく。

スプリアス発射の概念図

引用元: https://www.soumu.go.jp/main_content/000754323.pdf

スプリアス発射の強度の許容値又は不要発射の強度の許容値

無線設備規則 別表第三号(第7条関係)

帯域外領域は無変調で、スプリアス領域は変調をかけて測定する。
F3EのBNは、144MHz帯では40kHz、430MHz帯では30kHz。F2Aも同様。
許容値は144MHz帯も430MHz帯も同じ。
参照帯域幅は測定時のスペアナのRBWとして使う。
BNは144MHz帯では40kHzなので境界の周波数はfc±100kHz。
430MHz帯ではBNが30kHzだから境界の周波数はfc±75kHz。

無線設備規則別表第二号第54の規定に基づくアマチュア局の無線設備の占有周波数帯幅の許容値

平成二十一年総務省告示第百二十五号(無線設備規則別表第二号第54の規定に基づくアマチュア局の無線設備の占有周波数帯幅の許容値)

注2により、144MHz帯ではF2AもF3Eも40kHz。
注3により、430MHz帯ではF2AもF3Eも30kHz。

特性試験の試験方法

スプリアス領域における不要発射の強度の測定を行う周波数範囲

測定方法

別表第三十五 証明規則第2条第1項第12号に掲げる無線設備の試験方法 ← アマチュア局

別表第一 スプリアス発射又は不要発射の強度の測定方法

スプリアス領域の測定におけるスペアナのRBWは参照帯域幅(30MHz~1GHzでは100kHz、1GHz超えでは1MHz)。
不要輻射領域ではRBWは10Hz~1kHz程度まで。

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