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Banggoodからレビューのオファーを頂いたラジオ。Si4732というラジオ用のDSPチップを使ったもの。
これは何か?
ざっくり言うと、長波、中波、短波、それにFM放送を加えたラジオで、周波数範囲としてはよくあるタイプ(エアバンド非対応)。
バンド切換えはBCL帯の他にアマチュア無線の各バンドにも対応している。CBの専用画面(チャネル表示)もあり。また、バンドに関係なく、連続での周波数変更も可能(149~1700kHz、1.7~30MHzの二分割)。
モードは、CWやSSBももちろんOK。AMは同期検波にも対応。さらに、CWやRTTY、FT8などのデジタルモードのデコードもできる。
公式サイトはこちら。
「Amateur radio receiver ATS25 max-Decoder」との記載があることから、アマチュア無線に重点を置いていることがうかがえる。
外観・内部
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筐体サイズは、突起物を除くと概ね10x10cm。つまり、CDよりもやや小さい。
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チューニングノブは大きめ(プラスチックなので軽いけど)。電源スイッチは背面(操作性がイマイチ)。充電端子はUSB Type-C。アンテナ端子はBNC。左上のSMAコネクタはWi-Fiアンテナ用。
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スピーカは筐体サイズからすると割と大きめ。固定方法はゴム状の接着剤のようだ。
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本体正面側はコントローラ基板。後ろがラジオ本体基板。電池は4000mAhと大きめ。
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Wi-Fiモジュールには技適番号あり(R211-171103)。技適番号を検索してみた。
技適を受けているのは間違いなさそう。モジュールにアンテナ端子があるということは、外部アンテナも大丈夫なのかなぁ?ちょっと微妙な気はするが付属品のアンテナだし、このアンテナとセットで技適を受けているのかも。ただ、Wi-Fiは通常は日時表示にしか使用せず、電力消費が大きいので普段は使わない方がいいといった但し書きもある。あまり重要なものではなさそう。
Suggestion: WiFi is very power -consuming. Use only when activating keys. It usually only shows the date, time, please close it when you go out to save battery electricity.
動作の様子
このラジオ、機能が非常に多くて文章で説明するのは大変すぎる。そこで、実際に使っている様子をビデオにした。やっている内容は以下の通り。
- 中波放送
- FM放送
- 短波放送
- スキャン
- メータ変更
- CB(入感なし)
- アマチュア無線(SSB)
- VFO刻み変更
- スキャン(アマチュア無線は送信時間が短いので実用的ではなさそう)
- FT8
- RTTY
- CW
- バンドを変えて再びSSB
- FT8
- SSBでフィルタ切替え
主だったものはこれくらいだろうと思うが、他にもまだまだある。
感想
まず、なんといっても楽しい。「Amateur radio receiver」公式サイトに書いてあるだけのことはあり、まさにそんな感じ。チューニングノブが比較的大型で回しやすいことがそれらしい操作性を産んでいるのかもしれない(重量感がないので安っぽいけど)。
スピーカが比較的大型で、筐体内に充分な空間があるためか、音は聞きやすい。
電源スイッチやイヤフォン端子、充電端子などが背面にあるので、据付け状態では使いづらい。まぁ、小さいものなので、どこかに据え付けて使うようなものでもないだろうが。
FM時はイヤフォンコードもアンテナになる。
電池が大きいので、一度の充電で結構持ちそう。今回の試用でもそこそこ長時間使ったが、バッテリの残量は80%くらいの表示だった。
パネルのボタンはちょと見づらい。グラデーションを付けてデザイン的に凝っているのかもしれないけど、それが仇となって大きさの割にはっきり読めない。もっとくっきりさせて欲しい。
Wi-Fiは技適的に外部アンテナの接続が微妙に思ったので、アンテナを付けずに試してみた。アクセスポイントの近くなら一応つながる(金属筐体なので漏れにくい)。なお、上にも触れたように、Wi-Fiは日時の取得のためにあるようなもので、それを使わないならWi-Fi機能をオフにして構わない(上で触れたようにWi-Fiは消費電力が多いらしいし)。
ただし、日時を設定できないと、FT8やFT4のデコードができない。日時の設定はWi-Fiに接続するしかないようだ(手動設定できない。Wi-Fiにつながれば勝手に時刻が設定される)。一旦設定されれば、Wi-Fiの接続が切れても時刻は刻まれるのでFT8のデコードもできる。
とは言え、FT8のデコード性能(デコード率)はあまり良くないようなので、実用的とはちょっと言い難い。
JT65やJT9もボタンはあるのだけど、グレーアウトされていて機能しない。どうすれば使えるのかは分からなかった。
RTTYやCWもデコードしてくれるけど、文字が小さすぎて老眼にはつらい。
バンド内のスキャン機能は面白い。スキャン結果はスペクトラムで表されるので、チューニングしやすい。ただし、スペクトラムはリアルタイム表示ではない。スキャン中に得た情報を繰り返し表示しているようだ。チューニングしているところだけはリアルタイム表示になっている(チューニングしていないところはアンテナを外しても表示し続ける)。
このようなスペクトラム表示は、常時電波が出ている放送局に対しては有効な手段だと思う。一方、断続的にしか送信しないアマチュア無線では実用的ではない。
電源投入時やバンド切替時などに「ボコッ」と結構大きな音がする。
ときどき勝手にリセットがかかるのがちょっと痛い。
と、まぁ、不満点もあるけれど、アマチュア無線用のサブ受信機として結構使えると思う。ビデオでは触れなかったけど、CW用のフィルタは1kHzと0.5kHz。もう一段階狭いのがあるともっと良かったかな。
販売情報
Banggoodのクーポンあり。
- 適用価格: US$74.99
- 有効期限: 2024年4月30日
- クーポンコード: BGf37c19
販売ページはこちら。
コメント
ats-25もアップグレードしていますね。
昨年初めにATS-25X1を購入して、これが有志によって製作されたというので回路図を入手して作りました。ESP32とい1K弱の安価なCPUボードで構成されており、大昔にTNC2を手配線で作ったときに比べれば非常に簡単。無料のESP32のプログラムもあり、PCで書き込んで楽しんでいました。
超小型のものも未完成途中で動作確認してそのままで、現在は違う興味のために放置中です。
最新のものはロシアの人が高性能のものを有料で公開されており、簡単な追加回路で各種デジタル通信が可能で、その回路も公開されています。
非常に高機能で、おもちゃとしてとても面白いです。
メーカ製ではありえないですね。そこが面白い。
残念なのはボタンのデザインが凝り過ぎで、文字が読みづらい点です。
はじめまして。私もこちらのブログを拝見して購入してみました!
現在、色々と受信して楽しんでおりますが、一点、ヘッドフォン端子にヘッドフォンを繋ぐとFMのみ、受信がアンテナ端子の外部アンテナからヘッドフォンケーブルに切り替わってしまうようで、受信感度が一気に落ちてしまいます。
この辺、何らか設定で切り替えられないかと思って取説を見たものの、それらしき設定を見つけられずで...
もし設定方法等、何かご存じのことありましたらでしたらご教示頂けますと幸いです。
手元の実機でFM放送受信の状況を確認してみました。
このことから考えますと、イヤフォンアンテナよりも外部アンテナのほうが優先されているように思います。
背面のアンテナスイッチはAUTOでもFMでも同じでした。
イヤフォンのほうが優先されるような動作はこちらでは確認できませんでした。
解決できるような情報でなくてすみません。
わざわざ確認して頂き、大変恐縮です!
その後、色々弄っていたところ、ヘッドフォンを刺してもほぼほぼ感度が落ちなくなりました!
当初ダメだった理由が判らないのがちょっと気持ち悪いですが、とりあえずヘッドフォンでFMのステレオも楽しめるようになり、とても満足しております。
改めて素晴らしい商品をご紹介頂き、大変感謝です!
ご案内、ありがとうございます。
クーポン、使わせていただきました。
以前から気にはしていましたが、動画でFT8、RTTY、CWのデコードの様子を見て
試してみようと思いました。
到着が楽しみです。
参考になったのだとしたら嬉しいです。
デコードできるのは面白いですけど、記事にも書いていように、デコード率はよくはないです。
アマチュア無線家的な視点で開発されているようで、「短波ラジオ」とは一線を画していると思います。
昨晩到着しました。最近は到着が早いですね。
CWのデコードは確認できましたが、アンテナがしょぼいので週末屋外でFT8は試してきます。
いろいろメニューを探りましたが、表示される時刻はUTCから変更できなさそうですね。
WSJT-Xでの時刻表示がUTCなので、不思議に思いませんでした。言われてみればそうですね。
クーポンを使わせていただきありがとうございました。
昨晩到着しました。
さっそく、中波放送等をIC-705やトランジスタラジオと聞き比べてみましたが、音質はATS25が断然良いですね。聞きやすいです。感度も良いようです。メインラジオになりそうです。
これから色々といじって楽しめそうです。
ファームウェアは4.17 Air betaが載っていました。
製品にbeta版を乗せるとはなかなかですね。今のところ不具合は見当たりませんが。
面白いラジオの紹介をありがとうございました。
面白いラジオですよね。一般向けとは言い難いですけど。
クーポンが役立ってよかったです。
はじめまして。
50年ぶりにアマチュア無線に復帰するにあたりHAMの電波状況を知りたくてATS-25+Airを購入したのですがFMが信号が来ているのに音声が聞こえません。
Sメーターは確かに振れているのですが… SET UPをあれこれ変えてみたのですがうまくいきません。
7MhzのSSBはちゃんと聞こえるのですが… もしかして、これは初期不良なのでしょうか?
お詳しいようなので質問させていただきました。
何かコメントをいただければと思います。
宜しくお願い致します。
FM放送がある周波数でSメータが振れているのであれば受信はできているのでしょうね。
局間ではサーというノイズが聞こえますか?もし聞こえないのであれば、スケルチが深くなっているのではないかと思います。
スケルチの調整はメインダイヤルをプッシュで入れます。一回押すとボリューム、もう一回押すとスケルチです。さらにもう一回押すと元に戻ります(周波数選択)。
ただ、スケルチが深くなっていても、強い局なら受信できるはずですが…。
これ以外だったらわかりません。初期不良かもしれませんので、購入先に問い合わせるのが良いと思います。
早速のコメントをいただきありがとうございました。
スケルチは最小に絞ってもやはり音声が出ません。
別の小型ラジオでもちゃんと音声は出ますので、もちろんアンテナの位置のせいではないようです。
購入先に問合せました。
まだ返事は来ていませんが返品する事になると思います。
コメントありがとうございました。
重ねてお礼申し上げます。
その後、SET UPボタンをいろいろと操作して「SI5351」を外したらFMが聴こえるようになりました。
何故?
この「SI5351」が何の機能かわからないので???
でも、ちゃんと聴こえるようになりましたので良しとします。
お騒がせして申し訳ありませんでした。
ありがとうございました。
Si5351はクロックジェネレータICですね。
調べてみると、ATS25で水晶を使うか、このSi5351を使うかのコンパイルオプションがあるようです。
コンパイルオプションですから、どちらかに固定されます(画面での設定はできない)。
手元のATS25では設定画面にSi5351の項目は見当たりませんでした(蓋を開けて基板を見たときもSi5351を見かけた記憶もないです)。ファームウェアのバージョンは4.17です。
公式サイトを見に行ったら4.2が出ていました。このバージョンでは設定画面上で変更できるようになっているのかもしれません(多分そういうことなんだろうと)。
AliExpressでの販売モデルを見るとSi5351についての記載のあるATS25もありました。そういうモデルも出ているみたいです。
水晶ではなくSi5351にするとどうなるかですが、あまりはっきりしたことはわからないのですが、SSBの復調が良くなるという話もありました。なぜそうなるのかはわかりませんが。また、それがFMの音が出る出ないにどう関係するのかもわかりません。
いずれにしても、ハードウェアの構成として水晶かSi5351かの選択だろうと思いますので、ハードウェアに合ったものを設定するのが正しいのでしょう。
勉強になりました。ありがとうございます。
本日、購入先に問い合わせたところ以下のような回答が来ました。
In version 4.2, if this switch is not turned on, the reception is normal. If it is turned on, only aviation is normal, and everything else cannot be received normally. FM.AM is the same.
要は航空無線の時のみにSI5351が有用でその他ではこれは普通に使えないとの事。
最初から教えてくれていればと思いますが…
とはいえ本当に一緒に真摯に考えていただきありがとうございました。
感謝申し上げます。🙇
私も先程見つけたところです。
ATS25 Pro Airの販売ページに添付画像の記述がありました。
販売ページの一つを挙げておきます。
https://ja.aliexpress.com/item/1005007669073567.html
エアバンドだけで使うのであれば、設定画面でユーザに操作させるのではなくて、自動で切り替えてほしいですよね。そのうち、そういうファームウェアが出るかもしれませんが。