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直角に曲がったBNC変換コネクタにはひどいものがある、という話をふと思い出したので手元のものを測定してみる。
測定対象品
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手元にあるのは上の写真の二つ。偶然にも同じ形。
左は何年も前からあるもので、どこで入手したかは覚えていないが、高額なものを買った覚えはないので、どのみち安物(もしかしたら秋月かも)。
右は割と最近、秋月で購入したもの(袋に入れたまま未使用)。よく見ると、こちらはLに曲がった底面(というのか?)に円が見える。開くわけでもないので、製造上の都合か、デザインか?
SWR(S11)
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L型コネクタの先にダミーロード(NanoVNAの付属品)を付け、NanoVNA-H4で測定する。L型コネクタの前後にSMA – BNCの変換コネクタが入るので、それを含めた特性になる。キャリブレーションは同軸ケーブルの先端で実施。
まず、比較対象として、L型コネクタを使わずに、SMA – BNC ― BNC – SMAコネクタだけを使ったものを測定。
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測定範囲は1~601MHz。SWR(黃)は100MHzで1.004、400MHzで1.023。その他の周波数では上の図のとおり。なお、青がレジスタンス(10Ω/div)、赤がリアクタンス(10Ω/div)。
では、L型コネクタを入れた状態。まずは、素性不明のもの。
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SWRは400MHzで1.164。430MHzで使うと、コネクタによって概ねこれくらいの悪化があるということか。これくらいは許容範囲ないかもしれない。でも、1200MHzだと相当悪そうなことは容易に想像できる。
続いて秋月で購入したもの。
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こちらの方がだいぶいい。400MHzでSWR 1.059。
両者の外観はほぼ同じだけど、特性はだいぶ違う。
通過損失(S21)
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続いて、通過損失の測定。
まず、L型なしで、SMA – BNC ― BNC – SMAコネクタだけ。
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では、素性不明のL型コネクタを挿入。
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通過損は400MHzで0.22dB。L型なしで0.06dBだったので、差し引き0.16dB。まぁ、大したことはない(しょうがない)というレベルのような気も。
続いて、秋月で購入したもの。
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こちらは400MHzで0.19dBで、差し引き0.13dB。わずかだけど、こちらの方が良かった。が、さらに上の周波数だとこちらの方が通過損は大きくなる傾向。
送信テスト
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今度は電力をかけた実験。というのも、以前、HFだけどネジの閉め忘れで電力を上げるとSWRが上がるというトラブルに見舞われたことがあるので。冒頭の参照記事のように、内部で接触に問題があるのなら、同じような問題が起きるかもしれないと思ったので。
無線機はIC-705(外部電源)。ダミーロードは以前作ったダミーリウム(高周波用抵抗に放熱器を付けてオイル漬けにしたもの)を使用。これなら、430MHzでSWRが低く、10Wの連続送信に耐えられるはず。
実験の方法は、430MHzで10W、CWの2分間連続送信。
まずは、L型ネクタなし。
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続いて、素性不明コネクタ。
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最後に、秋月で購入したコネクタ。
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どちらも問題は起きなかった。SWRは、やはりそれなりに違って見える。
まとめ
手元のBNC L型コネクタはどちらも430MHzでも一応使えそう。秋月で購入したもののほうが少し良い。高価なものだともっといいのかもしれないけど、値段を考えたらこれで充分かな。FBニュースの記事のように内部をX線で見られると面白いのだけど、さすがにそんな道具は持っていないし、使えそうなあてもない。
10Wで2分間の連続送信を立て続けに三回行ったら、ダミーリウムはさすがに少し温まった。壊れたりしないかと少し心配だったが、大丈夫だった。IC-705の方も発熱が心配だったけど、これくらいは大丈夫なようだ。なお、バッテリは外してオープンな状態で行った。
【追記】X線写真を撮った(撮ってもらった)。
さらに追加測定。
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