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LPFを作ってみる

VHFのTV放送がなくなったのでTVIのリスクは下がった。しかしながら、FM補完放送(ワイドFM)が始まったものだから、これが心配の種。

18.1MHzの5倍は90.5MHz。東京近郊だとTBSラジオと完全に重なる。実際、うちのFMチューナでは17mbの送信を始めるとワイドFMは完全にブロックされる。まぁ、これはアンテナが近すぎるから仕方ない。同じマストにFMアンテナとダイポールを取り付けており、その距離は1.5m位。これでインターフェアが出ない方がおかしい。このチューナでは近すぎて参考にならないので、FMラジオ(というか、ハンディ機のVX-3)を屋外に持ち出してチェックしてみたら放送がブロックされることはほとんど確認できなかった。しかし、ゼロでもない。

ということで、LPFを入れてみようかなと。普通に考えればHFが通過するLPFということになるけれど、無線機が50MHzまで出せるのでLPFもそれに合わせて。しかし、探してみると、市販品はない。まったくないわけではなくコメットに一つ。でも、耐圧が1kWとバカでかい。送信出力は50Wなので、あまりにオーバスペック。

ならば作るか。幸い、計算してくれるサイトがある。

バタワース Butterworth LPF の 設計ツール
http://gate.ruru.ne.jp/rfdn/Tools/BlpfForm.asp

fcとfxを入れれば、必要な素子数を教えてくれる。続いて、その下で素子数を入れて計算させるとLCの値を出してくれる。fxは素子数の計算に使うようで、LCの値はfcと素子数で決まるようだ。

同種の計算サイトは他にもある。

Butterworth Pi LC Low Pass Filter Calculator
http://www.calculatoredge.com/electronics/bw%20pi%20low%20pa…

Design LC Filters (V 3.01 Dec 6, 2012 )
http://www.wa4dsy.net/filter/filterdesign.html

こちらだと、計算結果の他に、グラフも出してくれる。

当たり前だろうが、計算結果はどれも同じ。

計算通りの値のLやCはないので、近いところで。LはT68-6に6回巻きと8回巻き。それぞれ、0.17µHと0.30µH。Cは25pFと100pFで。25pFは100pFを4つ直列。計算値よりもfcは下がるだろうけど、とりあえずは、これでやってみる。

トロイダルコアの巻数計算は今回もこちらを使わせてもらった。感謝。

T68-6
T68-6

早速、完成の図。赤いのはコンデンサを4つつないで絶縁チューブを被せたもの。

まずは、受信で。

VX-3に適当なアンテナをつないで90.5MHzを受信。フルスケールで入感。

作ったLPFを間に入れると受信できなくなる。本当は、VX-3を動かしたりすると少し入ることもあったけど、LPFが効いているのは間違いない。

では、送信テスト。まずは、LPFなしでダミーロードをつないで送信出力を確認。WSJT-XのTUNEモードを使い、ALCメータが上限に振れるところでの電力を読み取る。続いて、ダミーロードを入れて同じ測定を行う。

MHz LPFなし LPF入り
1.8 42 42
3.5 45 45
7 45 45
10 45 43
14 43 43
18 43 43
21 43 42
24 42 30
28 42 35
50 8.2 0.4

※ 50MHz帯は10W出力

測定結果の単位はW(ワット)。メータがメータなので細かくは読み取れない。「ま、これくらい」って感じ。

18MHzまではLPF挿入によるロスは測定上は見られない。21MHzも、まぁ、誤差の内。しかし、24MHz以上は明らかに低下する。ひょっとしてと思って無線機内蔵のATUを入れてみたのが次の結果。

MHz LPFなし LPF入り 内蔵ATU入り
1.8 42 42
3.5 45 45
7 45 45
10 45 43
14 43 43
18 43 43
21 43 42 38
24 42 30 38
28 42 35 38
50 8.2 0.4

21MHzで43Wだったものが38Wになっている。つまり、差の5WがATUによるロス?それはともかく、ATUを使うと28MHzまではフラットな出力が得られた(50MHzは内蔵ATUが対応していない)。

ということは、周波数の高い方ではLPFのインピーダンスがズレているのかな。

そこで、アンテナアナライザでSWRを測定してみる。

なるほど。やはり、15MHz辺りからじわじわとSWRが上がり始め、40MHzくらいから一気に上昇している。この結果からも実用域は21MHz程度までのようだ。

元々の計算値よりも、L、C共に大きめなので、これを減らしてみるかな。それでも実用域はHF帯に留まりそうな気もするけど…。


続き

LPFに手を入れてみた
以前作ったLPFのSWRがイマイチよくないのがどうも気になっていた。 そこで、ちょっと手を入れてみた。 まずは、計算値(再掲)。 パーツの入手性などから、実際の値は次のように。 23.6pF → 25pF(100pFを四本直列) 95.6p...

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