「RMEE01 – E24系列に基づく抵抗計」のソフトウェアを改良した。
変更内容
測定下限拡大
改良内容は、測定範囲を下側に拡張したこと。従来はHigh側の下限が100Ω、Low側が1Ωだったが、それぞれ10Ωと0.1Ωに拡大した。上側は変らないが、High側で10Ωから1MΩまで測れるようになったので、こちら側だけで一般的な電子工作で使うものの多くをカバーでき、実用性が高まった(自画自賛)。
この拡張は、A/Dコンバータ(MCP3424)の使い方を変えて実現した。MCP3424にはアンプが内蔵されてるのだけど、これまではそれを使っていなかった(x1で使っていた)。そんなに小さな値を測定するわけじゃないのでアンプは不要だと思っていたので。
でも、小さな値の抵抗を測定するときは測定値が小さくなるわけだから、それだったら、値が小さいときだけアンプを使えばいいんじゃないかと気づき、それを実装。アンプの増幅率は、x2、x4、x8が選択できるので、読んだ値が小さかったときはx8に設定して測り直す。これで、概ね一桁下げることができる(そのため、拡張は下側だけ)。ただし、パネルの印字はそのまま(これはしょうがない)。
測定範囲明確化
測定下限の拡大に加えて、測定できる範囲を明確にした。「測定結果が1ビット分違ったら0.1%の違いになる点」がそのポイント。High側の上限が約1MΩ、下限が10Ω。Low側はそれぞれ10kΩと0.1Ω。この範囲を超えたら「測定不可」としてもいいのだけど、多少誤差が増えてもまったく見られないよりは表示したほうが良いだろから、2倍(1/2)の範囲までは表示するようにした(20MΩ・5Ω、20kΩ・0.05Ω)。
また、この範囲を超えても何かつながっていることはわかる(測定値としては信用できない)ので、その旨を表示するようにした。ただし、あまりにも高抵抗だとつながっているのかオープンなのか判断できないため、その場合は従来どおりの表示。
測定値安定化
もう一つ、測定値の安定化のための変更。これまでは基準電圧も毎回測定してそのときの値を用いていた。それなら基準電圧が変動しても大丈夫だろうから。でも、そうすると、たまたまちょっとノイズが乗ってしまったときに測定値に影響が直接現れてしまう。
そこで、基準電圧は8回分の平均値を採用するように変更した。これによって、測定値のパタつきが多少抑えられたように思う。
DE-5000との比較
低抵抗を主に、いくつかの抵抗を実際に測ってDE-5000(キャリブレーション後)と比較した結果が下の表。
公称値 | DE-5000 | 本機 (Low側) | DE-5000との差 (Low側) | 本機 (High側) | DE-5000との差 (High側) |
---|---|---|---|---|---|
1M | 1.0074M | — | — | 1.005M | -0.24% |
220k | .2218M | — | — | 221.5k | -0.14% |
100k | 100.96k | — | — | 100.8k | -0.16% |
64k | 63.96k | — | — | 63.93k | -0.05% |
10k | 9.875k | 9.85k | -0.25% | 9.87k | -0.05% |
7.5k | 7.547k | 7.549k | 0.03% | 7.551k | 0.05% |
4.7k | 4.588k | 4.580k | -0.17% | 4.585k | -0.07% |
1k | .9866k | 0.985k | -0.16% | 0.986k | -0.06% |
220 | .2189k | 218.8 | -0.05% | 219.0 | 0.05% |
100 | 99.21 | 99.2 | -0.01% | 99.1 | -0.11% |
47 | 48.89 | 48.88 | -0.02% | 48.88 | -0.02% |
24 | 23.91 | 23.91 | 0.00% | 23.87 | -0.17% |
15 | 14.793 | 14.79 | -0.02% | 14.75 | -0.29% |
10 | 9.849 | 9.86 | 0.11% | 9.75 | -1.01% |
5 (10/2) | 4.959 | 4.961 | 0.04% | — | — |
3.3 (10/3) | 3.261 | 3.261 | 0.00% | — | — |
1 (10/10) | 0.986 | 0.979 | -0.71% | — | — |
下の三つは、それぞれ10Ωを2パラ、3パラ、10パラしたもの(ハンダ付け)。
表示の桁数は、それぞれの表示値そのまま。なお、DE-5000も本機も数値は完全に止まっているわけはない(パタつく)ので、だいたい落ち着いているように見えた値を採用している。特に、本機の場合は測定限界に近づくほどパタつきが多くなる(完全には止まらない — Low側なら数kΩ以上・数Ω以下、High側なら数百kΩ以上・数十Ω以下)。
Low側は3.3Ω(10Ω/3パラ)まではDE-5000の値と大体一致している。1Ω(10Ω/10パラ)は残念ながら誤差が小さくない。とは言え、DE-5000も精度が1%なので、何とも言えないようにも思う(キャリブレーションしているので精度はもうちょっといいはず)。
High側は24Ωや15Ωでも、期待よりは誤差が大きい。まぁ、20Ωくらいまでなら0.2%くらいなのかな?それぞれの基準抵抗(100Ωと10kΩ)前後が最も安定して正確に測れる。
それなりの精度で下限を拡張でき、実用性は上がったと思う。 温度計モードも従来どおり使える。
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