Banggoodからレビュー用としてLiteVNAを送ってもらった。
割引クーポンあり。記事の最後で。
LiteVNAは、ざっくりいうとNanoVNAのような小型のVNAで、上限周波数が6.3GHzまでに拡張されたもの。ベースはNanoVNAではなく、S-A-A-2のよう。開発はNanoVNA-Hのhugen79氏。公式サイトはこちら。
トランジスタ技術誌にもLiteVNAの紹介記事がある。
開封
LiteVNAには、2.8インチ版の「62」と、4インチ(3.95インチ)版の「64」がある。コンパクト性を優先するなら2.8インチ版、多少大きくても使いやすさを優先するなら画面が広い4インチ版(NanoVNAでの経験上)。送ってもらったのは4インチ版のLiteVNA 64。
パッケージはNanoVNA-Hとよく似ている。NanoVNA-H4は平べったい箱だったけど、こちらは小さく手厚い。中が二段になっていた。
内容物は、LiteVNA本体、キャリブレーションキット、同軸ケーブル二本、ストラップ(スタイラス付き)、USBケーブル、メニュー構成表。この辺りは、NanoVNA-H4と同様。
電源投入後の画面はNanoVNAで見慣れたものと同じ(細かいことを言えば、S-A-A-2の方だけど)。
背面。
側面(上側)にはmicroSDカードのスロットがある。
NanoVNA-H4と並べた様子。上がNanoVNA-H4、下がLiteVNA 64。
実にそっくり。同じ型を使っているんだろう(製造元は同じようだし)。なので、邪魔な角(プロテクタ?)があるのもの同じ。これがあると、コネクタを締めづらいんだけどなぁ…。
それともう一つ気になったのはコネクタの表記。NanoVNAがCH0/CH1であるのに対して、LiteVNAはPORT1/PORT2。「1」と言ったときにどっちを差しているのか紛らわしくなる。
開腹
では、中の様子。
シールド板はSMAコネクタにはんだ付けされている。また、写真で見て上の方にmicroSDカードのコネクタが実装されているのがわかる。
クロックジェネレータはMS5351Mが載っている。
R94のところにチップコンデンサが無理やり付いている格好。ゴミが飛んできたのかと思ったのだけど、コネクタのあの辺りの足はすべてGNDのようなので、後から意図的にここにパスコンを付けたのかなと想像する。
それから、マイコンの2pin、3pinにX2がつながっている。おそらく、これが時計(RTC)用の水晶ではないかなと(刻印は「A551l」のように見える)。
開けたついでに液晶保護シートを貼った。反射すると見づらいのでノングレアタイプ。気泡がたくさん入ってみっともないがしょうがない。
試用
「測定の様子を画面キャプチャして」と思ったのだけど、PCソフトのNanoVNASaverにつないだら残念ながこの状態。
S-A-A-2と同じで、PCソフトにつないだら本体画面は消えてしまう。これはとても残念な仕様。
【追記】 NanoVNA-AppならLiteVNAの画面キャプチャができた。操作性も良く、お勧め。詳細はこちらの記事。
microSDカード
PCで画面をキャプチャできなくてもmicroSDにスクリーンショットを記録できるだろうと思い、それを試してみる。
まず、microSDカードの挿入。
入るには入ったけど、結構大変。
まず、ケースの切り欠きが大きめなので、コネクタ内に入らずにケースとコネクタの隙間に落としそう。もし落としてしまったら、ケースを開けないと取り出しは無理だろう。隙間を何らかの方法で埋めておくのが良さそう。
それから、コネクタがやや奥まった位置にあるので、カードを押し込むのが大変。爪先か細いもので押し込むようにしなきゃいけない。押し込んでロック。再度押し込んで取出し。
画面のコピーは、「SD CARD」→「SAVE SCREEN」。
これでいいのだろうと思うのだけど、「Fail wite」とのエラーが…。
microSDカードのフォーマットはFAT32とFATの両方を試してみたが、どちらも同じ結果。何か間違っているのか、ひょっとしたらバグか…。現時点では不明。しょうがないので、以降、写真で。
【追記】 microSDカードの書き込みエラーは相性の問題だった。別のmicroSDカードには問題なく書き込めた。詳細はこちらの記事。
S11ノイズフロア
50kHz~6.3GHzでキャリブレーションを行い、PORT1(CH0)にロード標準をつないだ状態。
仕様では、<-50dB(<3GHz)、<-40dB(>=3GHz)。上の結果では5GHz位までは概ね<-50dB以下(黄色のグラフ)。
アンテナ(LCR共振回路)
SWR、レジスタンス、リアクタンス、スミスチャート。基本的な操作方法はNanoVNAと共通。
ダミーロード
秋月電子扱いの高電力薄膜チップ終端器を使った自作品。
SMA-PとSMA-Jの両方で。
SMA-Pの方は周波数に対してSWRがリニアに上がる。最悪点は5GHzくらいで、SWR 1.2位。
SMA-Jの方はグラフの形が素直じゃないけど。これは、SMA-P – SMA-Pの変換コネクタを通しているので、その影響だろう。SWRの最悪値で言えば、こちらも1.2くらい(@4GHz辺り)。
チップ抵抗自体ののスペックは、SWR 1.2(<3GHz)、SWR 1.3(<5GHz)。なので、だいたい仕様どおりじゃないかと思う。ただ、S-A-A-2での測定では、3GHzでどちらも1.05以下だったけど、こちらでは1.1は超えているのが気にはなる。どちらが正しいのか、はたまた、何か別の影響なのか判断できる材料がない。というか、そもそも、こんなに高い周波数の測定をするなら、もっと厳密な管理が必要だろうと思う(例えば、コネクタの締め付けトルクとか)。
まとめ
- LiteVNA 64の外観(サイズ)はNanoVNA-H4と同じ。
- 操作方法の基本はNanoVNA同じ。
- 周波数の上限が6.3GHzと非常に高い。
- ちゃんと測れているのか、比較するものがないのでよくわからない。
- GHz帯のような高い周波数を扱うなら、測定方法の厳格な管理が必要じゃないかと思う。
- とはいえ、これほどの高い周波数の測定器がリーズナブルに手に入るのは魅力。
- PCソフトにつなぐと本体での操作ができないのは残念(S-A-A-2と同じ)。
- 言い換えれば、本体画面をPCでスクリーンショットできない。
- microSDは今のところ動作の確認ができていない。← 私の課題
アマチュア無線での立場で考えると、430MHz帯までならNanoVNA-H4で充分。1200MHz帯もよく使うならLiteVNAの方が安定している(NanoVNA-H4でも測れるけど、ちょっとノイジー)。2400MHz帯以上ならLiteVNAでなきゃ測れない。
ドローンのFPVでは5.6GHz帯がよく使われるようなので、そこで使いたいならLiteVNA。
LiteVNA 62と64とがあるが、NanoVNAでの経験から考えると画面が大きい方が使いやすいので、その視点では64の方が良いのではないかと思う(小型を求めるなら62)。
クーポン
Banggoodが特別クーポンを出してくれたので紹介。
- クーポンコード: BG3ea770
- 適用価格: $95.99 / $115.99
- 有効期限: 2022年3月31日
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