AT50への給電方法を検討する。
防水の点からも電源線をわざわざ引っ張らないで済むことからも、同軸ケーブルにDC 12Vを重畳して給電するのが楽そう。そのために使うのがBias-T (Bias-Tee)。要するに、DCとRFを分けるHPF。
設計
QucsStudioでちゃっちゃと設計。
生成ツールを使う
フィルタのような基本的な回路は生成ツールが用意されているので簡単。ToolsからFilter sysnthesisを選んでツールを起動し、希望のバラメータを設定する。
「Caluculate and put into Clipboard」を押せば、指定したフィルタを作ってクリップボードに入れてくれる。
あとは、回路図へCtrl+Vで貼り付けるだけ。
希望の場所でクリックすれば貼り付けてくれる。繰り返し貼り付けられるようになっている(Escで終了)。
シミュレーションのパラメータも設定されているので、走らせるだけ。
恐ろしいまでに簡単。
カットオフ周波数: 1MHz
1.8MHzまで通したいので、カットオフ周波数1MHzに設定して出てきたのが下の図。シミュレーションも走らせた。
カットオフ周波数付近を拡大。
2MHz付近で-0.3dB位。充分。
でも、これじゃ中波放送の下の方が聞けないだろうから500kHzにしてみるか。
カットオフ周波数: 500kHz
1.8MHz付近の減衰も小さくなり(当然だけど)いい感じ。こっちで行こうか。
C、Lを変えてみる
ついでなので、CやLの値をいじって様子を見る。
C: 3nF(L: 11.25μH)
Cを少し小さくした場合(Lは元のまま)。
カットオフ周波数が少し上る感じ。ま、当然。とはいえ、カットオフ周波数1MHzで設計したものよりも、2MHz付近の減衰は小さい(これも当然)。見たかったのは、Cが少し減っても実用になりそうかと言うつもりだったので、これくらいなら許容範囲かな。
C: 10nF(L: 11.25μH)
逆に、Cを大きくした場合。
下が伸びるのは当然だけど、上がちょっと悪化してしまっている(例えば2.5MHz付近が少し下がっているのがわかりやすい)のが問題。誤差の範囲ではあるけれど。
C: 100nF(L: 11.25μH)
さらにCを大きくしてみる。変化がわかりやすいように、10倍の100nF。
上がさらに悪化。コンデンサを大きくすればいいってもんじゃないらしい。やはり、Lとの組合せ(マッチング)が重要なんだろう。
L: 5μH(C: 4.502nF)
今度はLを変えてみる。まずは、約半分の5μHで。
Lの値が1MHzカットオフの場合と近いので、グラフもそれに近い感じになっている。想定どおり。
L: 20μH(C: 4.502nF)
元の計算値のものに近いけど、こちらもちょっと悪化している。
L: 50μH(C: 4.502nF)
さらにLを大きくして50μH。
想定通り、ますます悪化。とは言え、現実には誤差の範囲と言ってもいいようなレベルだとは思う。
まとめみたいな話
やはり、LCのマッチングは重要。とは言え、少々違っても誤差の範囲くらいのレベルには収まりそう。
ということで、Cは4.7nF(4700pF)、Lは11μHくらいで作ってみることにする。FT50-43に5回巻きで計算上は11.0μHなので、それで組んでみるかな。
つづき
コメント