ピンセット型のDMMのファームウェアのアップデートなどをやってみる。
入手
最新のファームウェア等は公式サイトから。前の記事にも書いたけど、ちょっとわかりにくいので直リンク。
Material Download For DT71 Mini Digital Tweezers
これを開くとユーザフォーラムみたいになっていて、一番上にファームウェア等のダウンロードの案内がある。
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今(2021年5月16日)現在では、最新版は2020.12.31にリリースされたV1.08が最新のよう。「固件」とあるのがファームウェア。「User Manual」は文字通り、ユーザマニュアル。それぞれ、テキストリンク「download」をクリックすればダウンロードできる。
ファームウェアをダウンロードしてZIPを展開した様子。
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readmed.txtは改版履歴だった。XXX.hexがファームウェア本体。
DT71をPCに接続する
ファームウェアをアップデートするにはDT71本体をPCに接続する必要がある。その前に、現状のファームウェアのバージョンを確認。起動時に表示される(一瞬なので写真に撮るのが大変)。
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現状はV1.06。
では、付属のUSBケーブルを使ってUSBでつなぐ。
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「DT71本体」と言っても、コントローラ部だけ。ピンセット部は不要。接続するだけで自動認識される(Windows 10)。ポイントはしっかり差し込むこと。ピンセット部へ挿すときにそうだけど、コントローラ部はしっかし押し込む必要がある。
OSに認識されると、リムーバブルディスクとして見える。名称は8桁の英数字(シリアル番号?)。
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ここに先ほどダウンロードしたファームウェア(XXX.hex)をコピーする(ドラッグ&ドロップでOK)。これだけ。そうすると、DT71に再起動がかかり、リムーバブルディスクとして再認識される。
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ファームウェアのファイル名が「DT71AP~1.RDY」に変った。
もう一度抜いて挿し直したら、このファイル名は消えた。

では、ピンセット部に挿してバージョンを確認。

無事、V1.08になった。
が、よくよく見ると、シグナルジェネレータの周波数が変っている。

表示が間違っているわけではなく、ちゃんと表示通りに出力周波数も変っている。
波形 | V1.06 | V1.08 |
---|---|---|
サイン | 10kHz | 5kHz |
ノイズ | 100kHz | 100kHz |
ユーザ定義 | 2kHz | 1kHz |
パルス | 10kHz | 100kHz |
うーん…。ま、いいか。
設定値の変更
DT71をPCにつなぐと各種の設定値を変更できる。
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この中のCAL.INIが設定ファイル。本体パラメータがテキストファイルとして見えるという仕組みみたい。下がエディタで開いた様子。
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スリープタイムやディスプレイの輝度などを設定できる。シグナルジェネレータでの周波数の変更もここで(任意の周波数を設定できるわけではなくて、プリセット値を選ぶ方式)。詳細はマニュアルで。
これを見る限り、周波数の設定値はデフォルトのままなんだけど。なんで、周波数が変ったんだろう?マニュアルにあるデフォルト値のままなので、プリセットの対応表が変った?値を変えてオシロで見れば分かるはずだけど、面倒なので省略。
ユーザ定義波形は16進数で指定するみたい。これは現実的ではない。
詳細キャリブレーション
DT71本体操作のキャリブレーションは「ゼロ調」らしい。精度のためのキャリブレーション(Accurate Calibration)は上記のCAL.INIファイルに書き込むことで行う。
キャリブレーションの手法はExcelファイルで提供されている。ファームウェアなどと同じところに置かれている。
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これの一番下。「DT71 Calibration Instructions」のdownloadリンクから手に入る。
開くとこんな感じ(中国語版と英語版があり、タブで切換え)。

所定の値の抵抗やコンデンサを用意し、その正確な値とDT71での測定値を書き込むとキャリブレーション用の値が表計算で算出されるようになっている。これをCAL.INIファイルに書き込めばOK。ということのようだけど、あまり現実的ではないと思う。仕組みとしては持っていることは分かったので、エンドユーザが使いやすいUIを出してくれればいいなぁ。測定器としてはとても使い勝手が良いので、この辺りの改善も望みたいところ。
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