ここまでの話
先日のS-Pixie、いじり過ぎで動かなくなったところで終っていた。
高調波を抑えられそうなところまではわかったので、このまま放置するのも悔しい。なんとかしたいのだけど、基板のパターンが切れたりもしており、これを直すのは大変そう。それよりも新しいのを入手した方が手っ取り早い。
Pixie入手
ということで、入手。今度はケースは要らないので安く済む。送料を入れて数百円。前回買ったショップで、ケースなしの方を発注したので同じS-Pixie(のケースなし)が届くと思ったのだけど…。
届いたのはS-Pixieではなくて、Pixie。基本的なところは同じだけど、S-Pixieで追加されたサイドトーンや電源周りは全然違う。基板も違って、抵抗などは立たせるタイプ。ま、Pixieには違いないけど。
LPFは前回の成果を実装。ただし、今回はトロイダルコアではなくて、マイクロインダクタを使用。そのために、事前にこういう確認を。
測定
tinySAを使用。保護用として約11.5dBのアッテネータを入れた上で、20dBアッテネータ経由で(合計、約31.5dB)。
高調波
まず、7MHz(基本波)で-5.2dBmなので、アッテネータの31.5dBを考慮すると、約0.4W。なお、電源電圧は約10V。
LPFが期待通りに効いてくれて、高調波で一番大きいのは前回と同じく第二次の14MHz(第三次以上は見えなかったので画像は省略)。基本波に対して-45.4dBc。
\((-5.2dBm – 45.4dB) + 31.5dB = -19.1dBm = 12.3μW\)
「5W以下」の区分なので、スプリアス領域不要発射の許容値は50μW。十分クリアしている。
受信時不要発射
もう一つ気になっていたことがある。受信時の局発の漏れが大きかったこと。これも動作不良になっていたせいかと思い、それの切分けも新しいPixieを入手したの目的の一つ。
測定結果。
うーん、やっぱりデカイ。-42.2dBmということは、送信時の第二次高調波よりも大きい。
\(-42.2dBm + 31.5dB = -10.7dBm = 85μW\)
アマチュア局で保証認定を受けるのは「送信機」なので受信時のスプリアスは問われないのかもしれないけど、これはさすがにまずいだろう。
受信時の不要発射の許容値は調べた範囲ではCB機について触れている記事が見つかった。それによると、-54dBm(4nW)以下とのこと。
CB機にこれくらいが求められるのであれば、アマチュア機だって同程度は求められるだろう。
Pixieはシンプルなのが面白いところだけど、シンプルがゆえにこのあたりには無理があるのかも。私の知識ではこれの対処は無理。残念ながらここまで。どなたかシンプルなアイデアがあったら教えてください。
受信時の不要発射の許容値についてはやはり4nWであることをコメントで教えていただいた。詳細は別記事にした。
結論
PixieはLPFを工夫すれば送信機としては使えそう。しかし、局発の漏れが大きすぎるため、受信機としては使えない。また、フルブレークイン動作のため、送信機として使っている場合でも、キーを離した瞬間に受信動作となってしまう(局発が空中線に漏れる)。
局発の漏れを抑えるには、受信アンプを入れることが考えられるが、そうするとそれだけじゃなくてその部分に送受の切り替えの仕組みも入れなければならない。ますます複雑化してしまい、シンプルさが失われてしまう。
結局、Pixieを無線機として実用的に使用するのは現実的ではなさそう。
コメント
受信機が発するスプリアスについては
電波法第二十九条と 無線設備規則第二十四条に規定されています。
プロ局/CB局/ハム局関係なく4ナノワットです。
法令集を参照されてください。
トランシーバーですから、受信機としても使用するので4ナノワットの規制から逃げられません。
私もPixieをチェックしたことがありますが、受信時の局発の漏れを知って使うのをあきらめました。 (H27年11月時点の測定で150μW 電源9-12V)
ありがとうございます。助かります。
まとめとして、別途、記事にしておきました。
https://www.jh4vaj.com/archives/27479