こちらのアッテネータ、コンパクトなのはいいのだけど、コンパクトゆえ、耐電力がわずか2W。
実験で使って何かのはずみで壊れると困る。手前に耐電力の大きなアッテネータを入れればよいのだけど、手持ちのものは50W(30dB)。重くてでかくて仰々しい。そういうわけで10dB、5W位のアッテネータを作とうかと。
設計
QucsStudioのツール(Attenuator Synthesis)を使ってお手軽に。本来はシミュレータだけど、こういう回路の設計ツールも入っているので便利。
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計算結果では、必要な抵抗は約26Ωと35Ω。とはいえ、現実的ではないのでE24系列の縛りをつける。
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抵抗はすべて30Ω。減衰量は約11.4dB、インピーダンスは約52Ω。一番手前のR1に求められる耐電力は約2.9W。ということで、30Ω/3Wの抵抗を三本用意すればOK。
と思ったけれど、30Ω/3Wも入手は難しいみたい。
ならば、100Ωを3パラにすれば33Ωだから、これでどうか?E12の縛りをつければ33Ωになるはず。
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期待通りに抵抗はすべて33Ω。この条件で、減衰量は約11.4dB、インピーダンスは57.2Ω(VSWRにすると1.14位)ほど。入力を10Wに上げてみたところ、手前の抵抗にかかるのは6W未満(10W入れて、11dBの減衰なので、出てくるのは1Wにもならない)。
これなら現実的。
高周波回路シミュレータ QucsStudio入門: 回路シミュレーションの基本から脱初心者のテクニックまで
製作と測定
おあつらえ向きに、秋月に100Ω、1%、2Wのチップ抵抗がある。
これを使って、コネクタを付けただけ。
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基板の都合で三つ横に並ばなかったので二段重ねにした。三パラなので額面上は6Wだけど、重ねているので連続で使うとまずそうな気がする。
早速測定。あわよくば上の方まで使えないかとの淡い期待を持って、S-A-A-2で2GHzまで見てみる。
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さすがに無理か。減衰量は700MHzを超えたあたりで大きくディップしている。
1GHzまでで再測定。
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さらに、500MHzまでで。
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まぁ、このあたりまでかな。しかし、グラフに不連続なところがあるのが気になる。
500MHzまででキャリブレーションし直して再測定。
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不連続点が消えないなぁ。ちょっと気にはなるけれど、まぁ、そもそもが保護用の目的のアッテネータだから問題ない。ちゃんと測定する場合にはこれは使わないので。
ということで、数百MHzくらいまで使えそうな、約11.5dBのアッテネータができた。短時間使用なら5W程度は大丈夫じゃないかな?
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