チップ部品などの取外しやハンダ付けに使えるホットエアー(ヒートガン)「JCD 8858」をBanggoodさんから提供を受けたので試してみる。ちなみに、ものはこちら。
日本で使えるように、110VのUSプラグタイプ。交換用のヒータ付き。
開梱・開腹
箱は残念ながら潰れてしまっているが、それはいわゆる「想定の範囲内」。
内容物は、本体、コントローラ、スタンド、ノズル(三種)、電源ケーブル、交換ヒータ、保証書(Warranty Card)。取説などはない。
ヒータもそうそう壊れるものではないだろうけど、交換用が予め付いているのは安心。
交換ヒータがあるくらいだからバラせるはず。ということで、早速分解。
吹出口の根本はリング状のパーツがネジになってた。他には、お尻の方にビスが二本。中の基板もビス止め(一本)。ヒータはハンダ付けされていた。まぁ、交換ヒータの方を見ればケーブルそのままでコネクタがあるわけじゃないので、それからも分かるか。
金属パイプの根本には丸穴があって、これがケースの突起にはまり込んでパイプが回転したり抜けたりしないようになっている。再組立時には要注意。
ついでに、コントローラも分解。ネジが見当たらなかったが、ゴム足で塞がれた下にあった。ゴム足四つ中、ネジは二つだけ。
メイン部と表示・操作部はピンヘッダで接続。これを組み立てるのは厄介で悩んだが、なんのことはない、メイン部の基板をケースから外せばよいだけだった。開けたときには上のようになったのだけど、基板とケースはネジ止めされているわけではない。突起にはめ込んでいるだけ。
こんな風に基板をつないで、カバーを被せれば基板の穴にケースの突起が刺さって動かなくなる。ネジを使わないのも良いアイデア。部品コスト面でも組立てコスト面でも。
余談ながら、本体との接続コネクタはよく見る8 pin。
いや、なんでもない。
試運転
組み立てた状態。電源スイッチはなく、コンセントに差すだけ。ハンダゴテも電源スイッチはないので、それと同じようなものか。
上向き、下向きの三角を押すと温度が変る。下限が100、上限が480。単位は「℃」かなぁ?記載がないし、取説もないので不明。ひょっとしたら単なるレベルみたいなものかも。
スイッチを押すと、ブザーが鳴る。工場などで使うのならいいのかもしれないけど、一般家庭で使うには結構やかましい。コントローラを開けたついでに、ブザーにフタをすればよかったかも。
なお、1プッシュで一つずつ、長押しで早送り。
「Setup」ボタンを押すと下のように「Fxx」の表示になる。
こちらは風量のよう。1~10の10段階。三角ボタンで変えられる。しばらく放置すると温度表示に戻る。
スタンドは実はスイッチになっている。スタンドから外すとファンが回るとともに温度が上昇する。
スタンドに戻すとヒータが切れる。また、温度を下げるためにファンが最高速で回る(風量設定を下げていても、スタンドに戻すと回転が上がる)。ある程度の温度に下がるとファンが止まる。
スタンドには磁石が仕込まれており、これで操作しているみたい。よくできている。
試用
IC取外し
実際に試してみるが、何しろホットエアーというものを初めて使うので勘所が分からない。とりあえず、ノズルは中で。当初、300に設定してしばらく風を当ててみたけれど一向に外れる気配がないので、350に。それでもダメなようなので400に設定してみた。本当に400「℃」が必要なんだろうか?このあたりがよくわからないので表示は温度じゃなくてレベルかなぁ、と思った次第。
その、400に設定したときのものが下のビデオ。
ハンダが溶けたのが目視ではよくわからず、かなり長い時間、風を当てている。もっと早くに溶けていたのかも。
ICハンダ付け
今度は外したICをはんだ付けしてみる。別途用意したクリームはんだ(はんだペースト)を使った。
クリームはんだを使うのも初めて。
ハンダの量が少々多かったようだ。ブリッジしている。近くの部品(LEDかな?)にも玉になってくっついている。要練習。
練習基板
というわけで、チップ部品のハンダ付け練習基板を使って練習。
1206(3216M)、0805(2012M)、0603(1608M)、0402(1005M)サイズの抵抗で練習できるようになっている。以前、JQ1SRNさんが頒布していたものと、多分同じ。本来は抵抗とコンデンサが付いているはずなんだけど、入手したものはすべて抵抗だった。ま、安かったし。
両サイドが練習用の土地で、センタは実際に動く回路。
結果というか感想というか。
- クリームはんだは楊枝で塗ったが、結構やりづらい。ハンダレベラの上には非常に乗りづらく、レジストの方に付きやすい。熱をかけると表面張力で何とか集まってくれる。
- クリームはんだは、そもそも楊枝で塗るようなものではないのだろう。加減が難しい。今のところ、全体的にハンダの量が多すぎ。要練習。
- 2012Mまでは割と楽。1608Mになると、クリーム半田の量によっては部品が立ち上がったり、横に寝たりしてしまった。
- 1005Mに至っては、仕上がりを見たら部品欠損がいくつか…。風で飛んでしまったのだろう。1005Mなんて、部品だかゴミだかわからないレベル(1.0 * 0.5mm、つまり、0.5のシャーペンの芯を1mmの長さに切ったものと同じ)。一度見失うと再発見は無理。1608Mでも非常に見つけにくい。上の写真もよく見るとD14の近くに1608Mの抵抗が一つ転がっている。
- クリームはんだがレジスト側にたくさん乗ってしまうこともあって、小さなボール(ハンダくず)が基板上にたくさんできてしまった。掃除が必要。
下のビデオは、この基板にはんだ付けしているときの様子と、できあがりの動作状態。
まとめなど
途中からクリームはんだとチップ部品の練習の話になってしまったが、このホットエアーはかなり面白く、実用性も高い。チップ部品が簡単に取り外せるのは画期的。ハンダゴテでやろうとすると、すべての足を温められるようにハンダを盛ってようやくなとかなるというところだけど、ホットエアーなら全体を温められるので簡単。きれいに取れるので基板に傷をつけることもない。部品の足も曲がらずきれいに取れるので、(多分)再利用可能。
ICのハンダ付けも非常に楽。クリームはんだが溶けていく様子を見るのは気持ちいい。
クリームはんだ塗布の練習が必要だけど、慣れればハンダゴテを使うよりも楽で効率が良さそう。上の練習ボードでは、コテは一切使っていない。
ちなみに、スイッチやボリューム、コネクタなどを基板から外すのも、このホットエアーを使えば楽。バキューム式とは使い分け。
コメント