とりあえず組んだS-Pixie。スプリアス(高調波)対策をやってみる。NanoVNAとtinySAの活用編というところ。
LPFなし
標準のLPFも付けずに直結状態をまずは観察。電源電圧は10V。
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30dBのアッテネータを通してtinySAへ。30dBのアッテネータは仰々しいけど手持ちの50Wのものを使用。
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見事なまでに出放題。偶数次の方が高レベル。しかし、2次が-6.4dBcも出ているってことは、かなり強力なフィルタを入れなきゃダメっぽい。
オシロで見るとこんな感じ。
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ちなみに、このアッテネータの特性。
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HF帯では、約-29dB。
標準のLPF
では、S-Pixie標準のLPFを見てみる。回路図から引用。
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まず、これだけを組んで特性を見てみる。
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14MHz付近で-10dBも取れていない。これじゃ全然ダメ。組み込んで測るのは無駄なのでパス。
LPFを検討
世の中の評判通り(?)、標準のLPFではダメなので別のものを設計する。
設計
Qucsを使って設計してみる。5素子チェビシェフタイプ。カットオフ周波数は、エイヤッと8.2MHzで。
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Filter Sysnthesisツールに適当に値を入れるだけ。とても簡単。
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L/Cの値を現実的なものに置き換える。LはT37-6の実測結果を使う。Cの800は470+330。
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この状態でのシミュレーション結果。
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7MHz帯のバンド内での減衰はほぼゼロ。14MHzで-31dB程度。
実測
では、フィルタを組んで測定。
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このあと、S-Pixieに組み込むつもりなので、L/Cのリード線はある程度長いまま。余談ながら、S-Pixieに付属していた二つの470pFはばらつきが大きかった(450pFと490pFくらい)。誤差範囲には入っているのだけど、ちょっとなぁ、という感じ。上の写真のものは秋月での購入品。こちらは測った限りではバラツキは小さく、どれもほぼ470pFだった。330pFもほぼぴったり。
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7MHzでの減衰は-0.12dB、14MHzでは-33dB。ほぼシミュレーションどおり。素晴らしい。
下は、7MHz付近の減衰量とVSWRの拡大図。
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S-Pixieに組込み
測定に使ったL/Cを外してS-Pixieに取り付ける。
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かなり無理やりだけど、なんとか収まった。後ろの銅の塊は、ファイナルトランジスタに銅箔テープを巻きつけてみたもの。放熱に多少効果はあるようだけど、グラグラして不安定なので結局外した。
では、測定。
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3次以降はバッサリ消えた。しかし、問題は第2次高調波。素通しの測定時に-6.4dBcだったのでフィルタを入れた効果は出ているが、まだ-43.9dBc。まぁ、フィルタが-33dBなので、値としてはまぁそのとおりなのだけど…。
ついでに、絶対値表示では-44.1dBm。
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ちなみに、このLPFを入れることで、送信出力が大きくなった。スペアナの測定結果からも分かるように、素通しでは7MHzは-2.2dBmだったのが、LPFを入れると-0.2dBmになっている。
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QPM-01をつないで測ってみたら、0.5Wも出ている。素通しのときは0.2Wだったのに。消費電流は変らず50mA。
試しに、13.8Vにつなぐ。
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なんと、0.9W。消費電流は100mAだったのが90mAに減っている(測定誤差みたいなものだろうから、実際のところは「変らず」というところか)。などとやっているうちにパワーが出なくなった。ファイナルトランジスタが逝ってしまったようだ。やはり、この装置で1W近くも出力させるのは無理っぽい(きちんと放熱させられればいけるのかもしれないけど)。
その後、何度かトランジスタを変えたりしながらいじっているうちにどうにも動作しなくなった。ダミーロードをつないだ状態なら送信できるのだけど、SWR計をつなぐと送信できない(キーを押しても送信しない)という不思議な現象。お手上げ。実験はここまで。
スプリアス規定と突き合せる
まずは、スプリアスの規定を確認。
30MHz以下の周波数で空中線電力が5W以下の場合は、スプリアス領域における不要発射の強度の許容値は50μW以下。dBmだと-13.01dBm。
今回の測定では、第2次高調波が-44.1dBmだった。アッテネータの実測値が29dBだったので、差引きで-15.1dBm。ワット数表記だと30.9μW。一応、規定をクリアしている。
ただし、本来ならスプリアス領域の測定は25ボーのCWで行うことになっているが、今回は連続キャリアでの送信。その点が異なっていることに注意。また、tinySAではRBWの最小値が3kHzなので帯域外領域の測定はできない。
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