送信電力を効率よくアンテナに送り込むには同軸ケーブルの損失が非常に大きなポイントだということが分かると、ケーブルの損失を実際に測定してみたくなる。ということで、実際にやってみた。
対象ケーブルは、いつもの秋月のRG-58C/U 10m。
NanoVNAのキャリブレーションの際にThroughではケーブルを使わざるを得ないのでOSLもこのケーブルの先で行った(NanoVNA付属ケーブルを使用)。当然、実際の測定時も上の写真のようにそのケーブルを繋いだ。
HF帯では損失は-1dB以下に収まっている。50MHzで概ね-1dB。145MHzだと-2dB程度にもなり、かなり厳しいんじゃないかという印象。
435MHzでは-5dBを超えている。つまりざっくり70%位は消えてなくなる。アンテナのSWRが悪ければさらに効率が落ちる。こんなにロスったのでは話にならない。
なお、この測定結果は、ケーブルだけでなくSMA-BNC変換コネクタ(二個)も含んでいる。
それから、300MHz以上ではかなり暴れてしまっているのが気になったので、NanoVNA-H4でも測ってみた。
キャリブレーションに使ったコネクタ類やケーブルは先ほどと同じもの(比較したいので、条件を揃えるのは当然だろうから)。
300MHz以上の暴れは少なくなったけど、それでもまだ結構暴れている。それから、全体的に良い数字(損失が少ない)という結果になった。例えば、先程は50MHzでは-1dBを超えていたけれど、こちらでは-1dBよりも少なくなっている。周波数が高いほど、この傾向が顕著。なんでだろう?まぁ、誤差の範囲、と言っていいのか?
NanoVNA-H4についてはこちら。
RG-58C/Uの仕様書では、減衰量は以下の通り。
周波数 [MHz] | 1 | 10 | 30 | 100 | 200 | 400 |
---|---|---|---|---|---|---|
減衰量 [dB/km] | 14 | 48 | 81 | 160 | 230 | 459 |
測定結果は、「まぁ、仕様書に近い値」と言えるか?
いずれにしても、このケーブルを使うのはHFにとどめておくのが無難そう。直感的に「430でRG-58C/Uを10mも使ったらダメだろ」くらいは分かるけど、こうやって数字で見るとはっきり分かる。
ちなみに、このケーブルの特性インピーダンスは以前測定してみた。
コメント
こんにちは。
同軸ケーブルの損失は√fに比例するといわれています。√145÷√50は、1.7なので、きちんと測れていますね。
測定器で結果が違うのは、測定器のインピーダンスが50Ωではないという仮説はどうでしょう。キャリブレーションの際に、両端に50Ωのアッテネータを入れると、誤差要因が減るのではないかと思います。
「√fに比例」に頭がついていきません^^;
測定器のインピーダンスが50Ωではないというのは、なるほどそうでしょうね。短いケーブルの先端でS11のキャリブレーションを行って、それをCH1につなぎスミスチャートを見ると少し回っているのが観測されます。このことからCH1のインピーダンスは50Ωぴったりではないことがわかります。
わかりにくくてごめんなさい。
同軸ケーブルの損失は、周波数の平方根に比例して大きくなるそうです。
1MHzの損失が1dBだとすると、4MHzの損失は、ルート4が2なので、2dBになるということになります。
昔、平塚市の社員寮に住んでいた頃(VAJさんと、430MHzでリンク張っていた頃ですね:-)、30mくらいの5DFBで、寮の建物の端っこに設置されていた非常階段に取り付けた1200MHzのアンテナに給電していました。アンテナの直下に10W出力のブースタをつけていましたが、7.5dBくらいの損失になるので、10Wでドライブしていました。ブースタに届くときには、2W以下になるので、ちょうどよかったわけです。
なるほど。わかりました。50MHzでの損失が約1dBで、145MHzでは約1.7dB。ちょうど、√145÷√50の倍率というわけですか。
昔話も懐かしいですね。当時は、ちょっと小高いところにある社宅の7Fに住んでいました。軒下から突き出しただけのアンテナでしたが、結構飛びました。パケットしかやっていませんでしたが。
こんにちは。430だと、ざっくり70%ロスってしまうというのが大いに参考になりました。ケーブル選びの参考にさせていただきます。ありがとうございます!
そうですね。数字で出されると説得力がありますよね。430とかはアンテナはコンパクトで済むのですが、こうしたところが難しく、また、お値段的にも高くなりがちですね。