MEMS発振器とは?
秋月電子の発振器のページを見ていたら、MEMS発振器というものが目に留まった。水晶とは違い、シリコンで作られているらしい。その点もさることながら、プログラムで周波数を設定できるという点が興味深い。
プログラミング用のツールも販売されている。これがあれば自分で好きなように周波数を設定できるはず。便利そうだけど、個人で持つにはちと高い。
関連ページを拾っておく。
MEMS発振器を動かしてみる
面白そうなデバイスだし、簡単に入手できるので、実際に試してみる。tinySAで見てみる対象という意味でも面白そうだし。
秋月で販売されているチップはSOT-23-5という非常に小さなパッケージ(ピン間0.95mm)なので扱いにくい(というか、小型化できるのがMEMSのメリットの一つのようだけど)が、DIP8サイズのモジュール化されたものもあるので、これを入手する。税込み150円(2020年11月現在)パスコンも実装されており助かる。
現物
入手したのは発振周波数48MHzのもの。「48Hz」ではない(笑
秋月のものはキットという扱いでピンは自分でハンダ付けする(ちゃんと付属している)。
これに電源(3.3V)をつなぐだけで動作する(OE端子の処理は必要)。この辺りは、水晶発振器と同じ。
出力波形
オシロスコープで波形を見てみる。
周波数が高いので、オシロのプローブはアタッチメントを使った。
出力直接
電源電圧フルに振っている感じ。割ときれいっぽい。
コンデンサ経由
出力に2200pFのコンデンサをつないだ状態。2200pFに特に意味があるわけではなく、手元にあったものを使用。
50Ω負荷
50Ωをドライブしたらどうなるか?2200pFの先に50Ω(100Ωの抵抗を二本パラ)をつないだ状態。
さすがにピークが下がる。それでも、Vpp=約2.3V。
このときの電力って、どう計算するんだろう?理想的な矩形波だとすると、電圧はVppの1/2で見ればいいのかなぁ?そうだとすると、こうか?
\(\frac{E^2}{R}=\frac{(Vpp/2)^2}{R}=\frac{(2.3/2)^2}{50}=0.026[W]\)
26mW。ってことは、特小の無線機よりもハイパワーなのか。比較しても意味はないが。
高調波(倍音)の様子
オシロスコープをFFTモードにして見てみる。
盛大に出ているらしい(割ときれいな矩形波なので当然)ことがわかる。
カーソルaが発振周波数(基音)。bが第7次高調波。
tinySAで観測してみる
アッテネータで落とす
26mWということは、約14dBm。tinySAの絶対最大入力は+10dBmなので、このまま接続するとtinySAが壊れてしまう。アッテネータで20dBくらい落として入力するのが良さそう。そうすると-6dBmになるので丁度いいくらいではないだろうか?
が、本当に26mWという計算であっているのかちょっと不安なので、30dBほど落とすことにする。アッテネータの設計にはこちらのページを使わせてもらう。
T型で組むなら必要な抵抗は47Ωと3Ωくらいのもの。47Ωは手持ちにあるが、3Ωは持っていないので10Ωを三本パラで。計算上は3.17Ωなので、10/3=3.3と近いし(抵抗の誤差の方が大きそう)。
ピークのところで-16.3dBmとなっている。14dBm(=26mW)から30dBほど落としたので、-16dBm。ほぼ、計算通りの結果。この時点ではスイープ範囲が広いので粗い結果になっているはず。
比較用としてOSA103 Miniでも測定してみた。
こちらでもピークは-16.83dBmと、ほぼ一致。
なお、tinySAもOSA103 Miniも入力インピーダンスは50Ω(tinySAはLOW入力側の場合。OSA103 Miniはジャンパの設定による)。
高調波の様子
48MHz付近を拡大。
OSA103 MiniではRBWが広いし、ノイズフロアも高いので、これが限界。
96MHz(第2次高調波)。
144MHz(第3次高調波)。
240MHz(第5次高調波)。
336MHz(第7次高調波)。
回路図
三端子レギュレータで3.3Vを作っているのとアッテネータを入れているだけなので、わざわざ図面にするほどでもないけど一応。
データシートによると、OE端子は10kΩ以下でとあったので、4.7kΩにしておいた。
全体を熱収縮チューブで覆って完成。
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