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MEMS発振器 SiT2001Bを試してみる

MEMS発振器とは?

秋月電子の発振器のページを見ていたら、MEMS発振器というものが目に留まった。水晶とは違い、シリコンで作られているらしい。その点もさることながら、プログラムで周波数を設定できるという点が興味深い。

プログラミング用のツールも販売されている。これがあれば自分で好きなように周波数を設定できるはず。便利そうだけど、個人で持つにはちと高い。

関連ページを拾っておく。

MEMS発振器を動かしてみる

面白そうなデバイスだし、簡単に入手できるので、実際に試してみる。tinySAで見てみる対象という意味でも面白そうだし。

秋月で販売されているチップSOT-23-5という非常に小さなパッケージ(ピン間0.95mm)なので扱いにくい(というか、小型化できるのがMEMSのメリットの一つのようだけど)が、DIP8サイズのモジュール化されたものもあるので、これを入手する。税込み150円(2020年11月現在)パスコンも実装されており助かる。

現物

入手したのは発振周波数48MHzのもの。「48Hz」ではない(笑

秋月のものはキットという扱いでピンは自分でハンダ付けする(ちゃんと付属している)。

これに電源(3.3V)をつなぐだけで動作する(OE端子の処理は必要)。この辺りは、水晶発振器と同じ。

出力波形

オシロスコープで波形を見てみる。

周波数が高いので、オシロのプローブはアタッチメントを使った。

出力直接

電源電圧フルに振っている感じ。割ときれいっぽい。

コンデンサ経由

出力に2200pFのコンデンサをつないだ状態。2200pFに特に意味があるわけではなく、手元にあったものを使用。

50Ω負荷

50Ωをドライブしたらどうなるか?2200pFの先に50Ω(100Ωの抵抗を二本パラ)をつないだ状態。

さすがにピークが下がる。それでも、Vpp=約2.3V。

このときの電力って、どう計算するんだろう?理想的な矩形波だとすると、電圧はVppの1/2で見ればいいのかなぁ?そうだとすると、こうか?

\(\frac{E^2}{R}=\frac{(Vpp/2)^2}{R}=\frac{(2.3/2)^2}{50}=0.026[W]\)

26mW。ってことは、特小の無線機よりもハイパワーなのか。比較しても意味はないが。

高調波(倍音)の様子

オシロスコープをFFTモードにして見てみる。

盛大に出ているらしい(割ときれいな矩形波なので当然)ことがわかる。

カーソルaが発振周波数(基音)。bが第7次高調波。

tinySAで観測してみる

アッテネータで落とす

26mWということは、約14dBm。tinySAの絶対最大入力は+10dBmなので、このまま接続するとtinySAが壊れてしまう。アッテネータで20dBくらい落として入力するのが良さそう。そうすると-6dBmになるので丁度いいくらいではないだろうか?

が、本当に26mWという計算であっているのかちょっと不安なので、30dBほど落とすことにする。アッテネータの設計にはこちらのページを使わせてもらう。

T型で組むなら必要な抵抗は47Ωと3Ωくらいのもの。47Ωは手持ちにあるが、3Ωは持っていないので10Ωを三本パラで。計算上は3.17Ωなので、10/3=3.3と近いし(抵抗の誤差の方が大きそう)。

ピークのところで-16.3dBmとなっている。14dBm(=26mW)から30dBほど落としたので、-16dBm。ほぼ、計算通りの結果。この時点ではスイープ範囲が広いので粗い結果になっているはず。

比較用としてOSA103 Miniでも測定してみた。

こちらでもピークは-16.83dBmと、ほぼ一致。

なお、tinySAもOSA103 Miniも入力インピーダンスは50Ω(tinySAはLOW入力側の場合。OSA103 Miniはジャンパの設定による)。

高調波の様子

48MHz付近を拡大。

OSA103 MiniではRBWが広いし、ノイズフロアも高いので、これが限界。

96MHz(第2次高調波)。

144MHz(第3次高調波)。

240MHz(第5次高調波)。

336MHz(第7次高調波)。

回路図

三端子レギュレータで3.3Vを作っているのとアッテネータを入れているだけなので、わざわざ図面にするほどでもないけど一応。

データシートによると、OE端子は10kΩ以下でとあったので、4.7kΩにしておいた。

全体を熱収縮チューブで覆って完成。


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