PR

Gawantもどきの感電対策 – 絶賛実験中

コモンモードチョークを入れれば感電しないことがわかったGawantもどき。

Gawantもどきの感電対策 - 実験編
作成したGawantもどき、SWRは下がりはしたものの、感電するという大問題がある。これについて、twitterで「コモンモードの反射が大きいのでは?」というコメントを頂戴した。 確かに、それは疑わしいのだけれど、何しろ、無線機(あるいはア...

外付けの大きなチョークを挟むのも不格好だし、お手軽さが失われてしまうので、なんとかケース内に入れることを考える。

第一候補は、フロートバラン。コモンモードチョークで上手く行ったのだから、フロートバランでもいいんじゃないかというわけで。もう一つは強制バラン。これは、前の記事にコメントでjh8jnfさんからアイデアを頂いたので試してみることに。

バランに使うコアは、ケース内に入れることを考えてFT50-43。ただ、これだけだと不安なので、念のため、FT82-43も用意した。

巻数の算出

まずは、事前準備として、前回実験で使ったコモンモードチョーク(巻数は13回で、W1JR巻き)のインダクタンスを測ってみる。

概ね120µH。内部導体側も外部導体側もほぼ同じ値だった。

ちなみに、シミュレータ上では、13回巻きだと約182µH。

この差はなんだろう?巻いたのが同軸ケーブルだから?それとも、測定器の誤差?

FT50-43で182µHにする巻数を算出してみる。

大体21回巻きという結果。0.5mmの線材だとフロートバランがぎりぎり巻ける回数(FT50-43の内径が7.15mmなので、内周=7.15*3.14=22.45、0.5mmの線材を二線並行で1.0mmになるので、最大22回巻ける計算)。

ついでに、120µHの場合も調べる。

17回巻きってことのようだ。

バラン作成

とうことで、FT50-43でフロートバランと強制バランを巻いた。

フロートバランは、21回巻きにしてみた。折角なので、W1JR巻に。平行線をW1JR巻にする場合、巻き方を反転させるところで半ひねりするという記事があったので、それに従ってみた。とは言え、この記事以外に半ひねりしているのは探したけれど見つけられなかった。でも、なんとなくそれっぽいので採用^^; 詳しいことをご存じの方がいらっしゃったらコメントください。

と、なんだか巻き方に凝ってはみたものの、実際に巻いたものをよく見ると、途中で反転しているところがあったり、反転部で半ひねりのつもりが一回転している。ま、極端にゆるいバイファイラ巻きだと思えば、動かないってこともあるまい^^;

強制バランは11回巻き。これは、「改訂版 定本 トロイダル・コア活用百科」に倣った(483ページ)。

トロイダル・コア活用百科を購入
バランについて調べていると、必ずと言っていいほど、「定本トロイダル・コア活用百科」という書籍が出てくる。トロイダルコアについては世の中の標準と言っていいような本なんだろう。 ということで、買ってみた。 なんだか、大学の教科書みたい。見た感じ...

念のため、インダクタンスを測定。

FT50-43に21回巻きだと計算上は180µHを超えることになるけど、実測で162µH。ま、こんなもの?

ついでに、強制バランの方も(未配線、巻いただけの状態)。

結果

まずは、強制バランを試す。

効果がないわけではないが不充分だった。つまり、無線機側のコネクタのGNDを触ると、しびれは感じないけれど、SWRに影響が出る(無線機内蔵の反射電力メータが上昇する)。各バンドとも同じ傾向。

続いてフロートバラン。これがまるでダメ。SWRがまったく落ちない。何か致命的な問題がある?あまりに動揺して、写真を撮り損ねた。

コモンモードチョークに変更

前回の実験で、FT240-43に同軸を巻いたコモンモードチョークで上手く行くことが確認できていたので、FT50-43に同軸ケーブルを巻いてみる。直径1mmくらいの極細同軸。隙間ケーブル代りに使おうと思って入手していたもの。

巻けるだけ巻いてみた。12回かな。

これで、一応上手く行った。が、しかし、発熱がすごい。手で触れない。とてもじゃないけど常用は不可能。と言うか、入れた電力は、ここですべて熱に変ってるんじゃなかろうか?FT240-43のチョークでは発熱は感じられなかったけど、なんでこっちではこんなに盛大に発熱するの?

ならばと、FT82-43で巻いてみた。W1JR巻で21回。

これなら発熱の問題もなく、SWRも安定した。しかし、厚すぎてケースに入れると蓋が閉まらいない…。

再び、FT50-43でフロートバラン

FT50-43のフロートバランでダメだったのは、ひょっとしたらコイルの向きを間違えたのかも、という気がしてきた。導通の確認には気を使ったが、逆にそれにばかり気が行って、巻き始めと巻き終りには注意してなかった。つまり、無線機側のコネクタで、ホット側は巻き始め、コールド側は巻き終りをつないだのではないのかと。それであのような結果になるのかどうかはわからないけど。

ともかく、再び、FT50-43で巻いてみる。今度は、W1JRとか、よじれとか、そんなのは気にせず、ちゃっちゃと21回巻いてみた。

今度はSWRが落ちないという致命的な問題は起きず、期待通りに動作してくれた。無線機側のGNDを触ってもSWRに影響は起きないし、もちろん、感電もしない^^ もっとも、アンテナ側を触れば強烈に痛みを感じるが。

しかし、やはり、発熱がひどい。暫くすると手で触れないほど。しかも、そうこうしているうちに、SWRが悪化。バラック状態なので外れたかと思って見てみたけど問題はなさそう。しばらくしてコアが冷めてきたところで再び送信テストしたらSWRも落ちてくれた。やはり、発熱による問題(特性悪化)かな?

次回へ向けて

取り得ず、今回はここまで。

これまでの結果から、おそらく、FT82-43でフロートバランを巻けば良さそう。コモンモードチョークで発熱は感じなかったので、大丈夫じゃなかろうか?また、巻く線が同軸ケーブルよりは細いので、おそらく、ケースの蓋も閉まるだろう。

Gawantもどきの感電対策 – 発熱対処の目処が立つ
これまでの実験で、 コモンモードチョークで感電は防げる。 強制バランでも効果はあるが、不充分。 FT50-43のフロートバランで効果は認められるが、発熱がひどい。 FT50-43と極細同軸ケーブルでコモンモードチョークを試すも、やはり発熱大...

コメント

  1. JH8JNF/2 より:

    なるほど。色々実験、参考になります。

    ケースに収まらなくなりそうではありますが、漏洩電流対策のために強制バランを入れた上で、アイソレーションの為にフロートバランかコモンモードチョークを追加(本来そういうものだと思います)が良いのでは無いでしょうか。

    フロートバランだと電力をある程度扱うので発熱留意ですが(同軸が細すぎるのではないかと思いますが)、漏洩電流対策は強制バランでやって、アイソレーションだけコモンモードチョークなら(もし発熱の原因が漏洩電流の為なら)強制バランで漏洩電流が少なくなっているのでチョーク側はこの実験よりは発熱しないのではないかと思います。
    線が細いことで発熱しているのであれば、強制バラン+フロートバランでも同じように発熱しちゃいそうですね。

    • jh4vaj より:

      同軸が極端に細いことは気になりますが、同じ同軸をFT82-43に巻いたものでは実験中に発熱は感じなかったので、同軸の細さだけではないと思います。

      なるほど、強制バランとフロートバランの二段という手もありますね。おっしゃる通り、それなら発熱も少なそうです。FT50-43に0.5mmでフロートバランなら強制バランと一緒にケースにねじ込めそうな気がします。同軸を巻くと厚さが大きくなって入る隙間がないのですが。幸い、FT50-43の強制バランはまだほどいていないので試してみようと思います。