二つの信号取出しポイント
Twin-T発振回路は、正弦波に比較的近い信号が簡単に得られる。あちこちのサイトを見ていると、信号の取出しポイントが二種類ある。
一方のT型フィルタの中点(というのか?)から取り出す方法と、トランジスタのコレクタ側から取り出す方法。便宜上、ここでは上の図の通り、それぞれ、Out-1とOut-2と呼ぶ。
どうやらOut-2の方が出力信号が大きいらしいという話はどこかで見かけた。では、実際、どれくらい違うのかTTCW02の実験機を使って調べてみる。なお、この基板を使うため、Out-1の出力には負荷としてアンプがつながっている(Out-2はオープン)。
出力信号波形
CH1(黃)がOut-1、CH2(青)がOut-2。縦のスケールは同じ。明らかに信号の大きさが違う。Vppは以下のように表示されている。
- Out-1: 288.0 mV
- Out-2: 1.528 V
というように、信号の大きさなら、Out-2の圧勝。しかし、信号が多少いびつ。Out-1の方はきれいなサイン波に見えるんだけど。
倍音成分(FFT)
Out-2の出力信号がいびつなようなので、FFTして倍音成分を比べてみる。と思ったのだけど…。
一応、上がOut-1、下がOut-2。なんとなくそれっぽい気はするけど、このオシロスコープのFFTでは解像度が低すぎて(粗すぎて)、なんだかイマイチよくわからない。
それなら、と思い出したのが、e-scope 3-in-1。
これならオーディオ帯域の測定にはぴったりだろう。
早速、測定結果。
まず、Out-1。
6倍音までが見える。基音と2倍音のレベル差は約23dB。
続いて、Out-2。
12倍音くらいまで見える。基音と2倍音のレベル差は約17dB。
信号の綺麗さ(正弦波への近さ)では、Out-1の圧勝。
正弦波に近いというメリットを活かすためには、Out-1から信号を取り出した方が良さそう。ちなみに、TTCW02ではOut-1のポイントを使っている(上でもちょっと触れた)。
しかし、正に餅は餅屋。こちらの方が圧倒的にちゃんと見える。
オマケ
ついでに、e-scope 3-in-1のオシロスコープモードでも測定してみた。
Vppはそれぞれ、28.5 mVと152.1 mVと表示されているが、測定アダプタがx10の倍率モードなので、285 mVと1.52 V。最初のオシロでの測定結果とだいたい一致。こんなことを言っては失礼だろうが、e-scope 3-in-1、思った以上に使える。
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