アンテナシミュレータのMMANA-GALをインストールしてみたので、せっかくだから使ってみる。
インストールに関しては、こちらの記事。
使い方に関しては、「MMANA 使い方」とかで検索すれば色々と情報が見つかる。が、断片的なものが多くて理解するのはなかなか難しい。
あ、MMANA-GALというのはMMANAの後継らしい。基本的なところは変っていないようなので、情報を検索する場合には、MMANA-GALだけではなくMMANAをキーワードとして試してみるといいかも。
あれやこれや見た中で、まとまった情報としてとても参考になったのがこちらの記事(PDF)。
アンテナ解析ソフト「MMANA」を使ってみよう
http://www7a.biglobe.ne.jp/~musen_to_kikou/mmana.pdf
この記事、どうやらCQ誌に寄稿したもののよう。だから、断片的ではなく、まとまった情報になっているのだろう。
さらに、寄稿分からは割愛された続きも。
アンテナ解析ソフト「MMANA」を使ってみよう(その2)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~musen_to_kikou/mmana2.pdf
もう一つ参考になった記事。こちらもPDF。
アンテナ解析ソフト(アンテナ・シミュレータ[Antenna Simulator])
MMANAを気楽に活用しよう-とっかかり編-
http://www.jl3yrt.com/news/120714/MMANA20120712.pdf
こちらは、プレゼン資料のようで、これだけ見てもよくわからない。上の雑誌寄稿文の方で基本的なところを理解してからこちらのプレゼン資料を見ると非常に参考になる。
MMANA-GALの公式ヘルプはこちら。ただし、英語。
Help MMANA-GAL basic
http://gal-ana.de/basicmm/en/
日本語だと、MMANA-GALではなく、MMANAのものになるが、こちら。
MMANA ソフトウエアマニュアル
http://www.geocities.jp/je3hht/mmana/mmana.txt
このマニュアルの中には、「Append.Txt」を参照、という個所がいくつかあるが、Append.txtはオンラインでは公開されていない模様。これは、MMANAのパッケージの中に入っている。ということで、MMANAもダウンロードしておくとよい。
ところが、MMANA、公式サイトからはダウンロードできない(リンク切れ)。
アンテナ解析ソフト MMANA
http://www.geocities.jp/je3hht/mmana/
一つバージョンが古いようだが、Vectorにある。
MMANA アンテナ解析ソフト
http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/home/se094485.html
まぁ、MMANAが目的ではなく、ドキュメントが欲しいだけなので、こちらでも大丈夫。
ダウンロードされるファイルは実行形式(.exe)だけど、どこかにインストールされるわけではなく、指定したフォルダに展開されるだけ。なので、適当なところを指定して進めればOK。
それから、MMANA-GALは一度に複数を起動できるようだ。なので、一つの物を参考にしながら、別の物を作るような事もできて便利。
さて、ここからは、試しに実際に使ってみる。まずは、J型アンテナでやってみることにした。昔(ン十年前)、144MHzで使ってわりと良かった記憶がある。当時は、300ΩのTVフィーダで作って、竹にビニルテープで貼り付けて使った。ま、そんな思い出話は置いておいて、今調べてみると、海外では、J-Pole antennaと呼ばれているようで、周波数を入れるだけで寸法をはじき出してくれるオンラインの計算機もある。
J-Pole Antenna Calculator
http://www.changpuak.ch/electronics/J-Pole_Antenna-Designer….
Slim Jim and J Pole calculator
https://m0ukd.com/calculators/slim-jim-and-j-pole-calculator…
他にもあるけど、とりあえず、二つほど挙げておいた。
さて、このJ型。物理的に考えれば、長いワイヤと短いワイヤ、そして、その二つのワイヤをつなぐ短いワイヤからなっている。なので、(直線の)ワイヤとしては三本。さらに、給電部も短いワイヤだと考えればそれを含めて四本。
ところが、MMANA-GALにサンプルとしてついているJ型アンテナの定義ファイル(MMANA-GAL_Basic\ANT\VHF\J-ant144.maa)開いてみると、七本のワイヤに分割されている。どういうこと?と思ってtwitterに投稿したら、jh8jnfさんが教えてくださった。
ワイヤとワイヤがつながる場所にワイヤの端がないとダメなのです。なので、Jアンテナで、上エレメントに折り返しなしだとして、横2本、縦4本の定義が最低必要になります。
— JH8JNF/1 (@jh8jnf) October 25, 2016
こんな感じにワイヤ分割します。(実際には各部がつながるように座標定義してください)
最適化をかけるときはwire6の右側のZ1とZ2を動かして、wire1の上の座標を上下させればいいはずです。 pic.twitter.com/9d21iBIZbb— JH8JNF/1 (@jh8jnf) October 25, 2016
wire1は、wire5と同じ長さのと残りの部分に二つにわけてもOKです。それからwire3/wire6が300Ωフィーダーの幅並に短い場合、ワイヤ分割数などを上げないと精度低いかもしれません。
— JH8JNF/1 (@jh8jnf) October 25, 2016
なるほど。ワイヤ同士は端点でしかつながらないそうだ。実際に作る際には、左右のワイヤに給電点をつなぐことになるが、ここがそれぞれワイヤの端点でなければならないということ。なので、ワイヤとしてはここで分割される。左右のワイヤが二本ずつで四本、下の接続に一本、給電部に一本の合計六本。さらに、サンプルの定義ファイルでは、長い方のワイヤを二分割している(多分、定義のしやすさのため)ので、総合計七本となっているわけだ。
さて、そうするとここで新たな疑問。実際の調整では給電点を上下させるわけだけど、このように分割した場合、すべての長さを変更することになるのでは?それはあまりにも面倒。と思ったら、
wire6の右側のz1とZ2->wire6の左右のZ座標のZ1とZ2を上下して、ですね、伝わったようですが、一応訂正しておきます。
— JH8JNF/1 (@jh8jnf) October 25, 2016
手動でやる場合はワイヤ定義で「接続点連動」にしてwire6だけ上下させれば1/2/4/5の座標は付いてきます。
— JH8JNF/1 (@jh8jnf) October 25, 2016
おぉ!接続点は自動で調整されるのか!KiCadで言うところのワイヤのドラッグみたいな感じか。さすが。
【補足】
新しいワイヤを追加したり、削除する際、「接続点連動」になっていると、思わぬところがつながることがある。なので、ワイヤの追加・削除の際には、「接続点連動」のチェックを外しておくこと。ここ、要注意。
新しいものを使うときには、ソフトウェアにしろハードウェアにしろ、こういう「最初の一歩」的なところが壁。それの設計思想がわからないので、どう操作したらいいのかで悩む。ドキュメント類を見るにしても、その最初のところ分かっていないと、なかなか理解が進まない。そんなときに、そこのところを教えてくださる方は非常にありがたい。感謝>jh8jnfさん
ということで、早速、オンライン計算機で算出したJ-Poleの数値を入れてシミュレートしてみたのだけど、これが全然ダメ。SWRが5とか、どうしようもない結果になってしまう。実際の調整のように給電点をずらしてみたのだけど、良いポイントは見つけられない。
試しに、サンプルファイルのJ型(J-ant144.maa)をシミュレートしてみたら、これは実に気持ちよくSWRが落ちている。
と思ったら…
DM1を800, DM2を200にして実行してみてください。結果が変わります。
— JH8JNF/1 (@jh8jnf) October 26, 2016
DM2を大きくすると上に同調点がずれます(SWRは下がっていますが)
— JH8JNF/1 (@jh8jnf) October 26, 2016
確かに、シミュレート条件を変えると結果が大きく異なってくる。これでは何を拠り所にしたらいいものか…。
その中に
「一般に2つ以上のワイヤがごく接近しているケースや、短く折れ曲がっているもの等の計算精度は悪くなると思います。」
という記述がありますので、適宜考えてくださいということですかね。ちなみに私は最初は実家であげる釣り竿GPのシミュレーションからでした。
— JH8JNF/1 (@jh8jnf) October 26, 2016
ということで、J型はMMANAでの解析には向かないようだ。最初の練習用に選ぶべきアンテナではなかった模様…。
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