VMAを使ってSWRを測定する方法をコメントで教えていただいた。
ということで、早速やってみる。
測定準備
まず、LTDZにリターンロスブリッジをつなぎ、DUTはオープンでスイープ(もちろん、REFには50Ωのダミーロードを装着)。2mのアンテナを測定対象にしてみるつもりなので、スイープ範囲は140~160MHzとする。
左下の「Trace」のところの「LIVE」の下の小さな四角を押す(これがボタンだったとは気づいていなかった)。
その小さなボタンを押すとボタンがオレンジ色になり、そのときのスイープ結果がリファレンスとしてメモリされる(グラフ上にオレンジ色で示される)。
続いて、「Trace」のところの歯車アイコンを押して設定画面を出す。
「Perform SWR Measurement on MEM Trace」にチェックを入れ(SWRのスケールの選択も希望に応じて)、「OK」ボタンを押す。
これで準備完了。
SWR表示
準備ができたところで、「Trace」のところの「MATH」ボタンを押せばSWRが表示される。
この状態だとSWRは無限大なのでグラフ上には出てきていない。
DUT端子に50Ωのダミーロードをつないでみる。
SWRグラフ(白線)は1.0に張り付いている。ここまではOK。
では、実際のアンテナをDUT端子につないでみる。常設の2m J型。
それらしいグラフだけど、随分とブロード。SWR 1.5以下が140~155MHz位まである(140MHz以下は測っていないので下限周波数がいくつかは不明)。本当かなぁ?というかアヤシイ気がする。
100Ωダミーロード
なんだか怪しいということで、検証のため、100Ωを測定してみる。SWRは2と出るはず。
NanoVNA
こちらが、NanoVNAのS11で見た様子。測定範囲は、上のものに合わせて140~160MHz。
VSWRは概ね2。わずかに越えているが。
では、リターンロスブリッジに問題がないことを確認するため、S21を使って見てみる。
まず、スルー(リターンロスブリッジなし)。
リターンロスブリッジをつなぎ、REF端子に50Ω、DUT端子はオープン。
これが基準。S21 Gainは-13.726dB。
確認のためDUT端子に50Ωダミーロード。
では、100Ω。
-23.027dB。リターンロスは、\(RL = 23.027 – 13.726 = 9.301 [dB]\)。
$$VSWR = \frac{10^{RL/20}+1}{10^{RL/20}-1} = \frac{10^{9.301/20}+1}{10^{9.301/20}-1} = 2.043$$
ほぼ2。S11での測定結果である「2よりわずかに大きい」と一致。
ということで、リターンロスブリッジは大丈夫そう。少なくとも、このくらいの周波数でなら。
【参考】VSWR-Return Loss変換表
LTDZ + VMA
続いて、LTDZとVMAで同様に測定する。
DUT端子オープン。
-7.4dB(144MHz)。
50Ω(参考)。
では、いよいよ、100Ω。
-22.5dB。
\[
RL = 22.5 – 7.4 = 15.1 dB\\
VSWR = \frac{10^{15.1/20}+1}{10^{15.1/20}-1} = 1.43
\]
2にならない…。
SWR表示モード。
1.5の下になっているので、計算値とは一致している。
ここでの結論
VMAで表示される値が正しくない。おそらく、キャリブレーションしてないことがその原因。測定値が正しくないのだから、それを元に計算して表示しているSWRの値も正しくない。
絶対値には誤差があるだろうと思っていたが、相対値はまぁ大丈夫じゃないかと思っていたんだけど、そんな甘いものじゃなかった。
VMAでキャリブレーションを行ってから再チャレンジしてみようと思うが、11.11セールで発注したアッテネータが未だに届かず…。
まとめ
VMAを使ったSWRの測定方法はわかった。7K1CRZさん、ありがとうございます。
修正したリターンロスブリッジも、上限周波数がどこまでいけるかはともかくとして、まぁ、大丈夫そう。
あとは、アッテネータの到着を待って、VMAでキャリブレーションしてからまた測定してみる。
コメント
JH4VAJ局
SWR測定法の掲載ありがとうございました。きれいに編集されていて感心
させられます。歯車マークをクリック後、SWR Measumentにチェックせず
Operand 2のMEM Traceにチェックし、[OK]すると、リターンロスの差数が
白線で表示されます。20dB付近の縦軸を拡大すると使いやすいです。
いつも参考になります。こちらにコメントさせて頂きました。
ありがとうございます。
後日、キャリブレーションをやってSWRの再測定を試すときにそれも見てみます。