前から気になっていた、 RF-Power8000という1~8000MHzのRFパワー計。AliExpressの11.11セールで安くなっていたので購入したのだけど…。
結論からいいうと、ダメ。少なくとも、この個体は。以下詳細。
パッケージ
(帯電防止と思われる)ビニル袋に入っただけの状態。
内容物は、本体とUSBケーブル。以上。マニュアルはなし。期待はしていなかったので、これについてはそんなものだろうと。本体は約5cm角。
動作確認
50MHz -10dBm
最初の動作テストとして、OSA103 miniから50MHz -10dBmの信号を発生させて、それを測ってみる。
まず、OSA103 mini自身の入力に入れてFFTモードで観測(入力のジャンパ設定は50Ω)。-9.82dBmと出ている。
続いて、RF-Power8000で測定。
測定結果は、-8.0dBm。2dBも違っている(-10dBmはワット表示だと0.1mW。-8.0dBmだと0.158mW)。
なお、周波数は自分で設定する(タクトスイッチの操作)。この周波数設定にどういう意味があるのかよくわからない(適当な数値を入れても測定結果は特段変わらないようなので)。
無線機の出力測定
今度は、無線機の出力を測ってみる。周波数は145MHz。
まず、通過型SWR/パワー計(ダミーロードを接続)。
4.23W。このSWR計は周波数なども表示してくれる。素晴らしい。
では、今回のRFパワー計で測定。直接入力するわけにはいかないので、50dBのアッテネータ(30dB + 20dB)を経由する。
-11.7dBm。
アッテネータ分の「ゲタ」を設定できるので、それを入れて改めて。
38.2dBm。ま、50dBなので簡単に計算できるけど、設定できるのは便利ではある。なお、50-11.7なら38.3だけど、微妙なところは誤差だろう。
しかし、38.2dBmだと、6.607W。ここでも、2dBほど多めに出ている(2dB引いた36.2dBmは4.169Wで、SWR経での測定とだいたい同じ)。
ついでに、OSA103 miniで測定してみる。
-13.54dBm。50dBのゲタを考慮すると、36.46dBm(4.426W)。SWR計での測定に近い値。
中の様子
どうも測定結果が怪しいので、中を見てみる。
検出部と表示部(と思われる)の二枚の基板。赤は+5Vだけど、黒はGNDではなくてデータ線のよう。GNDはスタンドオフ経由で接続している様子。
しかし、ICチップの様子が変。クローズアップ。
表面が削り取られている…。小さいU3の方も削っているみたい。
検出部の方はシールドボックスになっているけど、はめ込んでいるだけのようで簡単に取れた。
こっちのチップ表面も削られている。
ダメだろ、これ…。
こういうものは極論すれば半導体チップがすべてなので、きっと大丈夫に違いないと思って購入したのだけど、その肝心の半導体チップがこんな表面を削ったような粗悪品じゃどうしようもない。
なお、まともなチップを使ったちゃんとしたものもあるのかもしれない。これが粗悪なコピー品なのかもしれないので。一応、念のため。
いずれにしろ、これはOpen Dispute。続きは別途。
【追記】
そう言えばバカ安ロジアナもIC表面が削り取られていた。
コメント
中華製品でチップが削られていることは、割と普通にあります。海賊版対策です。
むしろ、チップ表面を削っているということは、オリジナルの可能性が高いです。
我々の感覚からすると、みっともないし信用できないですが。
ありがとうございます。そう言う場合もあるのですね。覚えておきます。