もう一つ、1200MHz帯用のアンテナの実験。今度は、2/3λヘンテナ。スタンダードなヘンテナの話はよく聞くけど、2/3λヘンテナの話はほとんど聞くことがないので、1.2GHz用でもやってみる。
余談ながら、自宅で使っている430MHz帯用のアンテナは、2/3λヘンテナ。
シミュレーション
2/3λヘンテナの基本は、長辺が2/3λで、短辺が1/6λ。その中央に給電用のエレメントをおく。本来なら中央のエレメントのセンタで給電するのだけど、今回は作りやすさを考えて、給電は中央のエレメントの下端にする。
目的の周波数を1295MHzとする(FMの呼出周波数)。
$$\lambda = \frac{300}{1295} = 0.2317 [m]$$
$$\lambda \times \frac{2}{3} = 0.1545 [m]$$
$$\lambda \times \frac{1}{3} = 0.0773 [m]$$
$$\lambda \times \frac{1}{6} = 0.0386 [m]$$
これを基本として、MMNANAを使って机上で計算・調整。
自由空間
基本サイズ
まずは、基本のサイズのまま。言い換えれば、未調整。
共振周波数は1348MHz。ずいぶんと上の方になってしまった。
調整後
では、ここから調整。共振周波数を下げるには、デカくすればよい。また、インピーダンスの調整は、短辺の長さで(長くすればインピーダンスが上がる)。
調整した結果がこれ。
リアルグラウンド 3m
上の調整後のものをリアルグラウンドで見てみる。
ここまで波長が短いと、わずか3m高でも自由空間とほとんど変らない。
実験
では、実際に作ってみる。今回もSMAメスコネクタに直付けで。
寸法は、シミュレーションで割り出した通り。とはいえ、そんなに厳密にはできてはいないけど。エレメントのワイヤは、1.0mmのポリウレタン線。
1295MHzあたりをSWR最小に設計したけれど、1280MHzあたりに下がってしまっている。厳密に作らなかったせいか?まぁ、おかげで、アマチュアバンド全体で低め(2.5以下程度)にはなっている。でも、シミュレーションよりも、残念ながら帯域が狭い。
ま、使う予定はないので、いいか。何しろ1.2GHzの無線機を持っていない。無線機は持っていなくても、NanoVNAがあればこういう実験ができる。面白い。
なお、エレメントが少々波打っているけれど、これによる影響はない様子だった(形状を多少変えてもSWRのカーブに大した影響は出なかった)。
付録 ~ エレメント系等の影響
と、ここでふと気づいたのが、エレメントの太さ。半径0.8mmでシミュレーションしていたので、0.5mm(直径1.0mm)で計算し直してみる。
ワイヤの太さを変えただけでSWR最小周波数が1271MHzになった。約20MHzも下がった。実験で周波数が下がっていたのは、この影響もあるのか。しかし、波長が短いのでエレメントの太さの影響が大きいことが良く分かった。
ならば、ということで、6mmのアルミパイプ(半径3mm)でシミュレーションしてみる。
エレメントの太さ(と素材)以外はそのまま。
共振周波数は上にずれ、インピーダンスは上昇。帯域はかなり広がった。
せっかくなので、追い込んでみた。
SWR最低点の周波数1285MHz、バンド内1.3以下。どなたか作ってみてください^^
付録2 ~ 2/3λヘンテナは「ヘンテナ」なのか?
最後にナンだけど、2/3λヘンテナは「ヘンテナ属」というよりも、ツインデルタループ系統と見た方が良いと思う。そのへんはこちらの記事。
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