こないだのコモンモードチョークの測定の続編。
測定対象のフェライトコア
今度は、秋月電子で購入できる安価なフェライトコアで試してみる。対象は二つ。
- LB-130B(150円)
- LF-190B(300円)
下の写真、左がLF-130B、右がLF-190B。
NanoVNASaverで|Z|の測定ができるようになったので、今回はNanoVNAだけを使って測定する。
同軸ケーブルはRG-58A/Uで、長さは1m。これをコアに巻きつけて測定する。
LF-130B
まずは、同軸ケーブルだけの状態。
※クリックで拡大
上が減衰量(同軸ケーブルの通過損ではない)、下がインピーダンスカーブ。それなりと言っていいのだろうか?すでに自己共振を起こしている(約67MHz)。
以降、各巻数での測定結果。なお、測定の都合上、巻数ごとにインピーダンスと減衰量を測定したのではなく、各巻数でインピーダンス、続いて各巻数で減衰量を測定した(インピーダンスのグラグと減衰量のグラフとでマーカの周波数位置が一致していないのはそのため)。
コア1個
コア1個、巻数1回
グラフ中、薄い線は同軸ケーブルだけの測定結果(比較用)。
自己共振周波数は、ほぼ変らず約67MHz。
コア1個、巻数2回
自己共振周波数は、約60MHz。
コア2個
コア2個、巻数1回
自己共振周波数は、約65MHz。
コア1個で2回巻いたのと同じかと思ったら、だいぶ違った。効果としては、1個に2回巻いた方が高い。
コア2個、巻数2回
自己共振周波数は、約45MHz。
LF-190B
まずは、同軸ケーブルだけの状態。先の引き回しなどで影響がありそうなので、念のため。
やはりと言うべきか、上の結果とは多少異なっている。インピーダンスカーブから、かろうじて自己共振は起こしていないようだ。減衰カーブも同様に少し違っている。
コア1個
コア1個、巻数1回
自己共振周波数は起こしていない。
コア1個、巻数2回
自己共振周波数は、約58MHz。
コア1個、巻数3回
自己共振周波数は、約30MHz。
コア1個、巻数4回
自己共振周波数は、約18MHz。
コア1個、巻数5回
自己共振周波数は、約20MHz。不思議なことに、やや上がった。念のため、再度4回巻きと5回巻きで測ってみたが、同様の結果だった。
LB-190Bに巻ける回数は5回が限界だったので、ここまで。
コア2個
コア2個、巻数1回
自己共振周波数は、約63MHz。
コア2個、巻数2回
自己共振周波数は、約42MHz。
コア2個、巻数3回
自己共振周波数は、約28MHz。
コア2個、巻数4回
自己共振周波数は、約20MHz。
同軸ケーブル(RG-58A/U)1mだと、ここが限界。
他の測定器で確認
念のため、他の測定器でもチェックしてみる。
まず、OSA103 miniで。
同軸ケーブルだけでの減衰カーブ。
NanoVNAでの測定と、基本的に同じ傾向。まずは一安心。
LF-190Bを2個、各4回巻き。
あれ?自己共振周波数が低い(16.4MHz)。
NanoVNAでの測定を終えて、一旦解いたものを再度巻き直したので、その影響かもしれない。ということで、再度NanoVNAで測定。
今度は、こちらでも17MHzあたりで自己共振を起こしているという結果。巻き方などの影響は比較的大きそう。
では、さらに、FA-VA5で。
自己共振周波数は、16.7MHz。こちらでも(ほぼ)同じ結果。
LF-190BとLF-130Bの組合せ
では、両方のコアを組み合せて、巻けるだけ巻いたものを測定してみる。RG-58A/U 1mでは、LF-190B 2個に各3回、LF-130B 2個に各2回巻けた。
NanoVNA
自己共振周波数は、約19MHz。
OSA103 mini
自己共振周波数は、約19MHz。
FA-VA5
自己共振周波数は、約16MHz。
FA-VA5だけ、自己共振周波数がやや低く出た。測定時の引き回し方の違いかなぁ?
当然だろうけど、このように全体で見ると、LF-190B 2個 各3回巻きよりも自己共振周波数は下がる。それぞれのイイトコ取りみたいな結果にはならない。インピーダンスカーブを見ずに、減衰量だけ見れば割といいんだけど、そう言うわけにはやはり行かなきか?最善の結果を求めるなら、運用周波数ごとにコモンモードチョークも変えなきゃいけないってことだろうか。それは、面倒…。
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