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NanoVNA、アンテナアナライザとして使う

【割込み】

NanoVNA-H4をアンテナアナライザとして使うなら、事前にある程度設定したファイルを用意した。詳細はこちらの記事。

【割込み、ここまで】以下、元々の記事。


NanoVNAはVector Network Analyzer(ベクトルネットワークアナライザ)であり、SパラメータのうちS11とS21の測定ができる。S11は、ざっくり言うと、ポート1に入力した信号が同じポート1に反射してくる様子を捉えるもの。アマチュア無線の世界ではアンテナアナライザが馴染みが深い。S21はポート1に入力した信号がポート2へ通過する様子。フィルタなどの通過特性測定がその例。

NanoVNAでは、ポート1がCH0、ポート2がCH1という表記になっている。

ということで、ここでは、S11、アンテナアナライザとして使ってみる。事前にキャリブレーションを済ませている前提。

記事を構成してみて、写真を撮った順とは入れ替えた方が分かりやすそうだった(流れ的に)ので、そうした。そのため、写真が時系列に並んでいない。
「押す」、「タップ」、「つつく」という表現はすべて同じ動作を表している。一応、念のため。

より詳しい新しい記事も書いた。

上の記事は応用編みたいなものなので、最初はこの記事を読むのがお勧め。

アンテナをつないで測定

NanoVNAは、電源を入れば、基本、常時測定している。測定対象のアンテナをつなぐと、即、測定結果が表示される。試しに、VX-3の付属ホイップアンテナをつないでみた。

145/435MHzのデュアルバンド機に付属のアンテナなので、それらしいところの二か所でSWR(緑のグラフ)が下がっているのが分かる。

これは手で持っている状態。金属部には触れていない。金属部に触れたり、アンテナを下に置いたりすると特性が変る様子が見て取れる。

 

グラフを減らす

この状態ではグラフが四本も表示されていて画面がうるさく見づらい。必要なグラフだけを表示させて見やすくする。

不要なグラフを消去

メニューを開く。

もし、表示させたメニューがトップメニューでなかったら「Back」を押して、トップメニューに移動する(上の状態)。

DISPLAY」を押す。

TRACE」を押す。

ここで必要なのはCH0の黄と緑。CH1の青と紫が不要なのでこの二本を消す。

まずは青の「TRACE 2」を選択。

OFF」を押すと今選択している青の「TRACE 2」のグラフが消える。

同じ手順で紫の「TRACE 4」のグラフも消す。

緑(SWR)と黄(スミスチャート)だけになってスッキリした。

SWRだけの簡単表示法

もし、SWRだけにしたければ、不要なグラフを一つずつ消してもよいが、一気にSWRのグラフだけにすることもできる。

この画面で、緑を選択して「SINGLE」を押せばOK。

緑(SWR)だけの表示なる。

測定範囲の設定(詳細測定・表示)

現在の状態では1~900MHzの広範囲を測定している。ここからは、測定範囲を狭めて詳細な状態を見てみる。なお、表示はSWRとスミスチャートの二つのグラフの状態に戻している。

トップメニューを開く。

STIMULUS」を押す。

設定方法は、キャリブレーションのときと同じだけど、今度はせっかくなのでCENTERとSPANで設定してみる。中心周波数は145MHz、範囲は10MHzで測定することにする。

ということで、「CENTER」を押す。

現在の周波数が表示され、その右端を押すとテンキーが出てくる。このあたりは、キャリブレーションの際に説明した通り。

「145M」と入力する。これで中心周波数の設定が完了。

同じ手順で「SPAN」ボタンを押して測定範囲を設定する。画像は省略。

設定し終えると、145MHzを中心に10MHzの範囲の測定が行われる。

割といい形のグラフに見えるが、中心周波数が145MHzなので、やや下の周波数にマッチングしているようだ。とはいえ、ホイップアンテナの同調点やSWRは周りの影響を非常に受けやすいのでこの値は参考程度。変化の様子もNanoVNAのグラフでよく分かる。

縦軸の刻み(目盛)を変更

これまでのところ、SWRのグラフは縦軸が一目盛あたり1になっている。一番下が1.0、その上の目盛が2.0、順に3.0、4.0、…、9.0となっている。詳細を見るにはこれでは刻みが大きすぎる。ということで、これを変更する。

「トップメニュー」→「DISPLAY」とたどり、この画面を表示させる。

グラフに関する設定なので「TRACE」を押す。

対象のグラフを選択する。ここでは緑のグラフなので「TRACE 2」を押す。

ここではグラフを選択するだけなので、このメニューでは何も操作せず、そのまま閉じてOK(画面の無関係なところを触る)。強いて言えば、「BACK」を押してメニューをさかのぼっておくと次に使いやすいかもしれない。

選択されたグラフはチャネルの表示が反転する。ここでは緑の「CH0」が反転していることが分かる。

再び、「トップメニュー」→「DISPLAY」とたどり、この画面を表示させる。

SCALE」を押す。

SCALE/DIV」を押す。

現在の値が出てくる。周波数の設定と同じく、帯の右端をつつくとテンキーが出てくる。

では、一目盛あたり0.2にしてみる(0.2/Div)。

「0」「.」「2」に続けて「x1」を押す(「x1」がEnter代り)。「0」は省略して「.」「2」「x1」でもいいみたい。

これで緑のSWRのグラフが一目盛あたり0.2に設定された。

マーカの操作

グラフの値を「数値」として読むためにマーカを活用する。

マーカの移動

マーカをの移動には二つの方法がある。

  1. 画面上で直接掴んでドラッグ
  2. マルチファンクショナルスイッチで移動

以下、それぞれのやり方。

直接ドラッグ

(芯を引っ込めた)ペン先でマーカを掴んでドラッグすれば動く。

マーカには番号が振られており、各グラフのマーカは連動している。したがって、どのグラフ上のマーカを掴んでドラッグしても良い(対応するマーカは連動して動く)。

上は、マーカ「2」をSWRの最低値付近に、「3」を145.00MHzに持っていった状態。このとき、上の数値の白い表示がマーカに関する情報。直前に掴んでいたマーカの情報が表示される。この例ではマーカ「3」が選ばれており、その周波数が145.00MHzであることを表している。上の緑の表示はこのときのSWR値。2.20と読み取れる(小さくて読みづらいけど)。

また、その下はマーカ「2」からの差で、1.30MHz離れていることが分かる。マーカ「2」からの差分になっているのは、この前に選んでいたマーカが「2」だったから。次に別のマーカを選択すれば、今が「3」なので「3」からの差が表示される。

しかし、このマーカを直接掴むという方法はなかなかやりづらい。まず、マーカを掴むのが難しい。掴み損ねるとメニューが表示されてしまう。メニューが表示されるだけなので害もないが。なんとか掴んでドラッグさせていると、その途中で離れてしまうこともしばしば。結構イライラする。

マルチファンクショナルスイッチで移動

ペン先でマーカを掴んでドラッグするのは難しいが、選択だけなら比較的簡単。目的のマーカ付近をタップすればそのマーカが選択される。画面上の変化は気づきにくいが、前項に書いたように選択されているマーカは反転表示されている。

後は、本体上部のマルチファンクショナルスイッチを左右に倒して移動させるだけ。これなら非常に簡単。簡単すぎるので画像は省略。

マーカのオフ/オン

マーカは、1~4の四つある。必要に応じてオン/オフできる。

まず、トップメニュー。

MARKER」をタップ。

SELECT MARKER」をタップ。

目的のマーカ、例えば1なら「MARKER 1」をタップ。この際、事前の状態により挙動は三つ。

  1. マーカ1が選択されていない場合 → マーカ1が選択される。マーカを直接タップして選択した場合と同じ。
  2. マーカ1が選択されていた場合 → マーカ1が消える。マーカを直接タップでのマーカ消去はできない。
  3. マーカ1が消えていた場合 → マーカ1が表示されると共に選択される。

事前にマーカの選択状態は画面ではわからないし、これらはやってみればすぐに分かるので画像は省略。

また、「ALL OFF」をタップすれば、すべてのマーカが消える。と同時に、画面上部のマーカに関する情報も消える。

この後でマーカを表示させるには「MARKER 1」などをタップすれば良い。

マーカによる周波数設定

現在のマーカの周波数を、スイープの開始周波数等に設定することができる。

まずは、目的のマーカをタップするなどして選択しておく。

トップメニューで「MARKER」をタップ。

ここで「→START」をタップすると現在選択されているマーカの周波数がスイープのSTART周波数に設定される。STOPやCENTERも同様。SPANはイマイチよくわからず。

個人的には、この機能よりも、逆にマーカの周波数自体を設定できるといいと思うのだけど、それはないみたい。例えば、「マーカ1を100MHzに設定」みたいな。

グラフの種類の変更

今は、黄がスミスチャート、緑がSWRのグラフになっている。それぞれのグラフは他のものに変更できる。

トップメニュー → DISPLAY → TRACEとたどり、変更したいグラフ(「TRACE 0」~「TRACE 4」)を選ぶ。

ここでは「TRACE 0」を選んだ(黄の「CH0」の表示が反転状態)。

再び、トップメニュー → DISPLAYとたどる。

ここで、「FORMAT」をタップする。

メニューの中から希望のグラフ形式を選ぶ。「MORE」を押すとさらにメニューが出る。

試しに「SWR」を選択してみた。

黄のグラフもSWRの表示になった。黄も緑も同じSWRだけど、黄の方は一目盛が1。緑は0.2に変更しているので形が違って見える。数値ではどちらも「1.33」表示されていまる(マーカ2の周波数)。

設定保存

ここでこのまま電源を切るとここで設定したグラフの表示は保存されない。必要なら、この状態を保存する。

まずはトップメニュー。

RECALL SAVE」ボタン(下から二番目)を押す。

SAVE」を押す。

SAVE 0」~「SAVE 4」の希望のものを選んで押すと、そこに(上書き)保存される(キャリブレーションのときと同じ)。上書き警告のようなものはない。無条件で書き込まるので、間違えないよう注意。

電源投入時は「0」に保存したものが呼び出されるようだ。

キャリブレーションの際にも書いたが、グラフの設定だけでなく「今の状態すべて」が保存される。キャリブレーションデータも含めて、とにかくすべて。キャリブレーションデータの保存場所とか画面設定状態の保存場所のようなものが別々にあるわけではない。

保存データ(設定状態)の呼出し方は、キャリブレーションのページに書いた通り。

スイープのオフ/オン

NanoVNAは電源を入れるだけで自動でスイープする。止めるには、「STIMULUS」メニューの「PAUSE SWEEP」ボタンをタップする。

タップする度にオフ/オンが切り替わる。スイープ中はLED(電源スイッチの右側)が明暗を繰り返す(点滅ではない)。スイープ停止中は連続点灯。

なお、スイープのオフの状態はメモリには保存されないようだ。


アンテナアナライザ専用機として設定するならこちらも参考にどうぞ。

測定器
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コメント

  1. JA4JOE より:

    私もNanoVNAを入手しました。
    JH4VAJさんの記事を参考に、シールド付きを購入しました。
    最近のものはバッテリー検出用ダイオードが実装されているようで、最初からバッテリー残量が表示されています。
    早速SWR測定をしてみましたが、使い方もJH4VAJさんの記事がとても参考になりました。
    これからいろいろやってみようと思っています。
    なお、事後になりますが、私のブログで記事を引用させていただきました。ご了承ください。
    https://tanukijima.at.webry.info/201912/article_12.html

    素晴らしい記事をありがとうございました。

    • jh4vaj より:

      コメントありがとうございます。
      最近のものは、ダイオードも実装され、ファームウェアも1.5GHz対応のものが入っているようですね。
      今後ともどうぞよろしくお願いします。