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TS-690の修理

TS-690を修理に出した。

ことの発端は、ちょっとした改造を行ったこと。フロントエンド部のFETを交換による混変調対策。「TS-690 混変調対策」で検索すれば情報はたくさん出てくる。ちょっとだけ補足すると、検索で出てくるものでは元々の2SK520を2SK125に換えるというものがほとんど。ここで問題は2SK520はチップ部品で、2SK125はリード部品であるということ。そのため、交換は結構厄介。それに、2SK125はディスコンで入手難(あってもバカ高)。2SK125はJ310の互換品で、J310ならチップタイプのMMBFJ310が秋月で安価に買える。これなら同じパッケージなので、改造は載せ換えるだけなので簡単。

ということで、開腹。

これが元の状態。まずは、「K44」の刻印がある2SK520(二個)を外す。はんだゴテ二本で両方からハンダを溶かしたけれど、これがなかなか取れない。ちょっと力を入れてようやく取れた。どうやら、ハンダ付けだけではなく、接着されていたような感じ。

これが載せ換え用のMMBFJ310。

交換完了。元のFETを外す際に、はんだゴテでちょっと力を加えたので基板にキズがついた。

元に戻して受信できることを確認。改造の効果の程はよくわからないけれど、とにかく受信自体はできている。

と、ここまでは良かったのだけど、送信でトラブル。パワーが出ない。一応、送信動作に入ってはいるようだけど、送信出力がまったく出てこない。よくみるとON AIRランプも点かない。ATUを動作させてみようとしても、まったく反応がない。

ケーブルのどれかが上手くささっていないのかと思い、もう一度開けてコネクタ類を一通り挿し直してみたけれど、変化なし。同じ症状。念のため、2SK520に戻してみたが、やはり、これは関係ない。なお、内部のケーブルを挿し直す際に、(内部配線の)同軸ケーブルに付いていたコネクタが抜けた。ケーブルを引っ張ったわけではもちろんなく、コネクタを持って抜いたのだけど、ポロリと。経年劣化だろう。これはそっと戻した。

どうにもお手上げなので、メーカに修理を依頼。調べてみたらKENWOODの横浜サービスセンタは自宅からそれほど遠くないので直接持ち込んだ。

ここは窓口で、修理は横須賀で行うそうだ。

翌日、担当の方から電話がかかってきた。どうやら、バックアップ用のリチウム電池が液漏れしたりしていて、結構大変なことになっており「しばらく時間を下さい」とのこと。そこは、今回、私が行った改造とは無関係のところなので見ていなかった。まったく予想外ではあるけれど、見てもわからなかっただろう。

この直後、盆休みとなり、修理には三週間くらいかかった。盆休みを抜けば、二週間程度ってところか。

引き取ってきた。

交換した部品は、(液漏れした)リチウム電池と、コネクタが抜けてしまった同軸ケーブル。もっと大変なことになっているかと思ったけれど、そうでもなかった。

伝票には「スルーホール他修正」との記載が。そんなことまで対応してくれるのかと感動。ただ、これだけではよくわからないので、電話して詳細を聞いてみた。てっきり、リチウム電池の液漏れで基板が損傷してしまい、それで修正したのかと思っていたのだけど、そうではなかった。電池は液漏れしているだけで、それによる他の影響はなし。電池を交換しただけ。

問題は別の基板。TS-690の持病とも言われるAF段のC104のケミコンの液漏れによるもの。これ自体は対策済みでコンデンサはすでに交換している。しかし、それによる影響でパターンやスルーホールが腐食してしまっていたらしい。これまではなんとかつながって動いていたものの、今回の私の改造で基板にストレスが掛かってしまい切れてしまったのだろう。なお、FETを交換したのはこちらの基板ではない。でも、作業中に何らかのストレスが加わったのだろう。電話で聞いた際も「改造とは無関係」とのお話だった。

いずれにしても、相当古い無線機。「今回は直ったけど、次はもうダメかも」と言われてしまった。経年による劣化はどうしようもない。フレキ基板あたりが怪しくなってくるっぽい。部品もないらしいし。TS-690って1991年発売のようなので、もう30年近い。さすがにしょうがないか。とは言え、これほどまでに古い無線機であっても修理を受けてくれるケンウッドはすごい。大感謝。

修理代金22,248円也。もうしばらく頑張ってもらおう。なお、修理代金の支払いにはクレジットカードが使えた。

ちなみに、バックアップ用のリチウム電池はフロントパネルを開けたところにある。フロントパネルはこんな感じで開く。

無線機
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