概要
これは、iPhone / iPad用のアプリ「e-scope 3-in-1」で使用するプローブです。e-scope 3-in-1は、オシロスコープ・FFTアナライザ・信号発生器を一つにまとめた便利なアプリです。オーディオ帯域用の便利な簡易測定器です。
同様のアプリはたくあんありますが、このアプリの一番の特徴は「自動測定機能」にあります。信号発生の機能とFFTアナライザの機能を同時に使い、フィルタやアンプなどの周波数特性などを測定できます。こうした測定ができる安価な測定器はなかなかないと思います。
e-scope 3-in-1は詳細は、下記のApp Storeや開発元サイトをご覧下さい。
PCWI01 – リグ-PCインタフェースの開発の際に、バンドパスフィルタの特性を実際に測定ができるものがあると便利だろうと思い、基板の空きスペースを利用して作りました。
特徴
- 基板化しているため、ユニバーサル基板等で作るよりも製作が容易です。
それ以上の特徴は特段ありません。
回路図等はメーカサイトで公開されているので、それを元に作ることができます。
今回作ったものも、上記の開発元サイトの情報を元に基板化したものです。部品定数は実際に動かしてみて調整しています。
なお、基板頒布にあたり、開発元から許諾を受けております。
重要な注意事項
クロストーク問題
動作確認中に、音声出力と入力(ヘッドフォンとマイク)の間にクロストークがあることがわかりました。この現象は周波数が高くなるほど顕著です。このため、周波数が高い領域では低レベルの測定ができません。詳しくは下記記事を参照して下さい。
この記事にあるように、クロストークの補償用のコンデンサを付けるようにしています。
この問題は音声出力と入力を同時に使う場合、すなわち、「自動測定機能」を使うときに起きます。オシロスコープやFFTアナライザとして使用する場合には無関係です。信号発生器単体としての使用の場合も同様に問題ありません。
動作確認機種
動作確認は、iPhone XRとiPad(2017年モデル)で行っております。iPhone XRでは3rd Party製のイヤフォンアダプタを使用しました。
使い方
各部の説明は、上の写真を参照して下さい。
e-scope 3-in-1の使い方等は、開発元サイトをご覧下さい。
また、こちらの記事も参考に。
製作編
回路図と部品表
回路図と部品表はPDFで用意しております ⇒ e-scope 3-in-1 アダプタ回路図と部品表
下の図は回路図の雰囲気を掴んでいただくための参考です。
基板組立て
基板端面のバリは、ヤスリで削ってください。
部品点数も少ないですし、小さなチップ部品などもありませんから、部品の取り付け位置や向きに注意してどんどん付けていくだけです。
C151とC152の電解コンデンサが互いに逆向きなのは、無極性化するためです。間違いではありません。
RCAジャックはどちらをどちらに使っても構いません。自分がわかればOKです。私は信号の入力を赤にしました。
クロストーク補償コンデンサ
上に書いた通り、クロストーク補償用のコンデンサがあり、C103がそれです。このコンデンサの取り付け方法には二つのバージョンがあります。
初期バージョン
基板の裏にバージョン番号等の記載がないものは、この初期バージョンです。
このコンデンサの必要性は、基板化した後でわかったため、基板上には搭載場所がありません。基板の裏で下の写真の位置に取り付けて下さい。
V.1.1
基板の裏面に「V.1.1」の印字があるものは、基板上にC103の取付けパターンを作ってありますので他の部品と同様に取り付けます。
また、C103の固定コンデンサの代りとして、トリマコンデンサを取付けられるようにもしています(C104)。
よりシビアに調整したい場合は、トリマコンデンサを使ってください。手元の環境で試したところでは、10~13pFくらいが最もクロストークを抑えられましたので、トリマコンデンサを使うなら20pFのものを乗せると良いだろうと思います(キットには含まれません)。とは言え、最も良い状態でも10pFと大きく違うというほどでもなかったので、現実的には10pFで良いのではないかと思います(そのため、キットには10pFを添付しています)。
底板
この基板は、PCIW01の基板を設計する際に余りの「土地」で作ったオマケ基板です。そのため、底板等は付属していません。
しかし、むき出しのままで使用するのはトラブルのもとです。ショートしてもまずいですし、他のものにキズを付けたりしかねません。適当なプラ板などで底面の保護をおすすめします。何かの廃材の利用で充分だと思います(見た目を気にしなければ)。穴位置は下の図を参考にして下さい(クリックで拡大します)。
下の方に四角い印刷があるのは、PCWI01の部品がはみ出したものです。ご了承下さい。
プローブの作製
RCAピンコードを利用して、測定用のプローブを作ります。この部品キットとして用意したRCAピンコードは、なんと、シールドケーブルではありませんでした。線が二本入っているだけという、何ともおそまつなもの。とは言え、今回の目的には、クリップを付けやすくて好都合です(線が細すぎて切れそうな不安はありますが)。実際に測定に使ってみても、特段の不都合もなさそうです。
ケーブルは少々長すぎて邪魔かもしれません。適当な長さに切ってお使い下さい。また、プラグの差し込み具合が緩いです。プラグのGND側が緩めのようです(ジャック側ではなくて)。しかし、私が試した限りでは測定には支障はないようなので、そのまま使っています。どうしても気になるようなら、別途、適当なRCAピンコードをご用意下さい。
なお、クロストーク問題は、このプローブをつながなくても(それどころか、iPhone / iPad単体でも)発生しますので、このプローブ用のケーブルとは無関係です。
動作確認
プローブの入力と出力を直結して、様々な周波数の信号を発生させてそれをオシロスコープやFFTアナライザモードで観測して下さい。
また、お手持ちのコンデンサと抵抗を使って、LPFやHPFを組んで「自動測定機能」を試してみると良いでしょう。CRフィルタの計算/シミュレーションはこちらのサイトが手軽です。
頒布
ご希望の方は、PCWI01をお申し込みの際に、一緒にお知らせ下さい。後日の注文はお受けしません。使用している部品は秋葉原等で入手可能ですので、後日作りたくなった場合には、ご自身で部品を調達すれば大丈夫です。
キット内容は、基板上の部品と、iPhone / iPadとの接続ケーブル(3.5mm 4ピン オス-オス)、測定プローブ用ケーブル(RCAピンコード)、測定用クリップです。基板は含みません(PCWI01の基板に付属しています。)。
lightningコネクタと3.5mm 4ピンの変換が必要な場合は、別途、ご用意下さい。私は、下記のものを使っています。
【注意事項】
- 部品の調達の都合上、上の写真とは異なる場合があります。
- 本機のマニュアルは当ページがすべてです。紙媒体はありません。
- 資源の有効活用のため、梱包材は再利用することがあります。ご了承ください。
- 仕様や頒布価格は予告なく変更することがあります。
- 本機の組立てや使用による怪我・事故等には責任を負いません。
【価格】
- 頒布価格: 1,000円
【申込みフォーム】
単体の頒布は行いません。PCWI01の申込みフォームにオプションとして設定しています。