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FT8+とは?(諸元変更の届出・申請は必要?)

FT8+という名前の出処は?

WSJT-X 2.0でFT8の仕様が変る。変更内容はメッセージのビット長が増えること。この新しい仕様を「FT8+」と呼んで、「変更の届出をしなければならない」という噂があるようだ。

「FT8+」という呼称は寡聞にして知らなかった。これまでに見てきたドキュメントでは見たことがない。調べてみたところ、そういう記述をしているブログ等がいくつかあった。大本はなんだろうと探してみたところ、WSJT-X 2.0の計画段階の文章でそれが使われていたのを見つけた。

Plans for WSJT-X Version 2.0
https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/wsjt-x_v2.0.txt

この中で、次のように記述されている。

In this document we’ll call the new FT8 protocol “FT8+”. It will be a superset of the FT8 implemented in v1.9.1, providing at least temporary compatibility and inter-operability with older program versions. We may decide to remove support for old-style 72- and 75-bit messages after a specified switchover interval.

ファイルの更新日時を調べてみたところ、07/27/2018 01:18:42。

私がWSJT-X 2.0について知ったのは9月半ば(2.0-rc1がリリースされたタイミング)。上のドキュメントからは二か月近く後。このとき(以降)に見た文章では単に「FT8」と呼ばれており、「FT8+」という呼称は見た記憶がない。公式サイト上の現時点での次の二つの文書にも「FT8+」という表現は見あたらない。

New Features in WSJT-X 2.0
https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/New_Features_WSJT-…

Quick-Start Guide to WSJT-X 2.0
https://physics.princeton.edu/pulsar/k1jt/Quick_Start_WSJT-X…

このことから、「FT8」の内容が変ったものであって、呼称は変っていないということだと理解している(「FT8+」というものは存在しない)。

申請・届出の必要はあるか?

さて、問題は、これによって変更の届出が必要なのか、という点。諸元の「方式」、「通信速度」、「周波数偏移幅」などは変らない。メッセージのビット長は変るが、これは提出した諸元には記載がない。関係があるとすると「符号構成」に「FT8」と記載している点だけど、公式サイトのドキュメントに新しいものが「FT8」と記載されているので、これも変らない。したがって、もし、届出するとしても、諸元に変更がない。

推測していてもしょうがないので、総務省 中国総合通信局に電話して尋ねてみた。

回答は単純明快。「諸元に変更がなければ届出は不要」とのこと。仮の話として、呼称が変ったとした場合についても訊いてみたが、「名前が変っても諸元に変更がなければ申請(届出)の必要はない」とのことだった。これで安心してこのまま使える。もし、万が一、WSJT-X 2.0の正式リリース時に呼称が変ったとしても問題ない。

なお、「諸元に変更がなければ」なので、提出済みの諸元表にメッセージのビット長を記載しているなど、何らかの変更が生じるならこの限りではないだろう。

余談ながら、もし、名称が変ったとしたら、LoTW(DXCC)などのモードにも影響がありそう。

【追記】WSJT-X 2.0正式リリース

WSJT-X 2.0が予定通りリリースされた。正式版でも、ユーザガイドやリリースノートには「FT8+」という文言は出てこない。

WSJT-X 2.0をインストール
WSJT-X 2.0、正式リリースWSJT-X 2.0のGA(正式版)が予定通り12月10日にリリースされた。私が気づいたのは日本時間で22:55頃。WSJT-X公式サイトWSJT-X 2.0 User GuideRelease Notes...

関東総通は、Webで次のように発表した。

現FT8(FT8)及び新FT8(FT8+)の処理方法

<中略>

現FT8の登録がなく新規で新FT8を使用する場合
モードの追加となりますので変更申請(届)が必要になります
現FT8の登録があり新FT8を使用する場合
特例として現行の諸元表で読みかえますので手続き不要です。
既に現FT8及び新FT8の届出がある場合
この改変において手続きは不要です。なお、別の変更があった場合それに合わせて諸元表を変更してください。

<後略>

「特例として現行の諸元表で読みかえます」というのがちょっとに引っかかる(前述のように、諸元表上は何も変らないので、読み替えるもなにもないと思う(ビット長なども記載していたなら別だけど))が、ともかく、WSJT-X 2.0のFT8に関して新たに届け出の必要はないとアナウンスされた。

全文はこちら。

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