スペアナで測定してもらう
uBITXのスプリアス/LPFがコミュニティで話題になっており、私もuBITX購入者の一人として気になる。
そんな折、ハムフェア2018のアンリツ厚木アマチュア無線クラブブースで同社のスペクトラムアナライザを使って測定してくれるというツイートを見かけたので、uBITXを持ち込んで測ってもらった。uBITXに何か対策するにしても、まずは現状を知らないと、ということで。
測定結果
LFP 1
3.5MHz
では7MHz位までは素通し状態という結果だったが、実測すると第9次の31MHz、あるいはそれ以上も景気よく出ている。LPFがまったく効いていないんじゃないかというような印象。
LPF 2
7MHz
10MHz
50MHz位まではかなり出てしまっている。
LPF 3
14MHz
18MHz
21MHz
14MHzの3次(42MHz)がやや厳しいが、全体的には思っていたよりもいい。
局発の漏れが気になっていたけど、それもなさそう。IF 45MHzとの差で、21MHzだと24MHz。下のマーカが23MHz。特に変な信号は見えない。
LPF 4
24MHz
28MHz
これはとてもきれい。送信周波数に関係ないものが所々見えているけれど、これは会場内のノイズを拾っている様子。何しろ、たくさんの電波が飛び交っている場所なので。
局発の漏れが見えるとしたら送信周波数よりも下側になるが、それも特段観測できていない。コミュニティでいろいろと話題になっていたのは何なんだろう?
おまけの1.9MHz
本来のuBITXでは対応していないが、CEC版のファームウェアでは160mバンドも送信できる。しかし、LPFがない状態(3.5MHz用のものを通る)なので、スプリアスは想像通り悲惨な状態。
まとめ
やはり、ローバンドはかなり厳しい状態。リレーをカスケードしていることとそのための配線の引回しが悪影響を及ぼしているのだろう。一方、ハイバンドはかなりいい。一つのリレーで入出力の両方が入っているのでクロストークを起こしそうなものだけど、一つくらいならそれほど気にならないということか?
結論としては、uBITXのLPFのブロックは作り直すのが無難だろう。1.9MHzも使うならこのバンド用のLPFが必須。なお、今回測定したuBITXは現行モデルの一つ前のV3。
それから、使用したスペクトラムアナライザはMS2830Aというモデル。
こんなふうに実際に測定すると「このスペアナ、欲しいかも」と思ってしまう。とはいえ、お値段がかなり素晴らしい。I社、K社、Y社のアマチュア機のフラグシップモデルよりもずっと高価。個人向けの装置ではないので。
最後になりましたが、今回測定してくださったアンリツブースの方々、どうもありがとうございました。
コメント
アンリツのMS2830Aは一昨年の正月頃ネットオークションで20から30万円で売買されてゐました。リース会社がブローカーに放出したもののやうで、NotTV用の機材でした。
私が入手したMS2691Aは25万でした。これはLTE基地局設置のために8年程前にリース会社が大量に仕入れた物のやうです。6年の減価償却が終つて見切放出されたのでせう。安価でした。
大規模システム設置のため導入された大量の測定器は適当な時期に安価に調達することができるやうです。
スペアナの代りにIC-7600でモニターすれば良いのだと言つてゐた人がゐましたが、IC-7600の価格より安く現行型スペアナが調達できます。
ヤフオク!の落札相場を見てみました。型番を見てもピンとこないのですが、GHzクラスのもので数万円で落札されているものも結構ありました。そういうのを狙ってみるのもいいかもしれませんね。
ヤフオクの履歴は落札後三ヶ月で見えなくなるので、有料サイトか自分で継続して観察するしかありません。
20年位前の機種はかなり安くなつてきました。
さてuBITXのスプリアス特性、ローバンドは減衰比40dBすら取れないものが多いのですね。
問題の切替回路については、そこを含めてアンテナ端子までの通過特性を観測したデータを設計者は公表してないのかなと疑問に思ひました。
設計者による観測データの公表はなさそうです。
コミュニティに設計者による高調波に関する書き込みがあります。こちらです。
https://groups.io/g/BITX20/message/56574