無線機をPCで制御するのを、CAT (Computer Aided Tuning)と言うそうだ。他にも、リグ制御とか、リグコントロールと書かれているのもあるが、皆同じ(多分)。TS-690Vにもそれ用の端子があるので、これを使ってWSJT-Xからもコントロールできるはず。
TS-690のそれ用の端子はACC1で、本体側面に付いている。なんでそんなところに付けたかなぁ。コネクタを挿すと横に飛び出て邪魔じゃないか。ま、それは置いておいて、回路図を見てみると、内部のマイコン(uPD78213GJ-5BJ)から74AS04を通して、そのままコネクタに出ている(より正確には、1kΩでプルアップされているが)。で、マイコンの端子はというと、RXD、TXD、CTS、RTSにつながっている。つまりは、RS-232Cの信号がTTLレベルでACC1コネクタに出ているってことだろう。
調べてみると、IF-232CというKenwood純正のオプション弁当箱があったようだ。マニュアルを見ると回路図も出ている。公式と思われるマニュアルは、イタリアのKenwoodのサイトにあった。
イタリア語は読めないけど、回路図を見るのには特段問題ない。無線機側と232C I/Fとはフォトカプラ(TLP521-4)でアイソレートし、232C I/Fとドライバ、レシーバにはSN75188、SN75189を使っている(TTLとのレベル合せ)。意味合いとしては、ACC1とRS-232Cのコネクタ(25pin)がクロス接続されているだけで、特別な付加回路はない。TTL、232Cのレベル変換と信号のクロスをしているだけだ。
この下に555やTrを使った回路があるが、どうやら、232Cドライバに必要な負電源を作っているようだ。へー。
インタフェースのスペックも出ている。抜き出しておこう。
Metodo di comunicazione: Interfaccia seriale, fulldulex
Velocità di trasferimento: 4800BPS
Sincronizzazione: 1 bit di inizio, 8 bit di caratteri, 2 bit di fine
Parità: Nessuna
Formato del segnale: Livello TTL
これもイタリア語なわけだけど、232Cの話だと思って見れば分かる。
・通信方式: シリアル全二重
・転送速度: 4800 bps
・同期方式: スタートビット1、データビット8、ストップビット2
・パリティ: なし
・信号型式: TTLレベル
こんなところだろう。試しに、Google翻訳にかけてみたところ、合っているようだ。安心した。
リンク切れに備えて、他のサイトも挙げておこう。これらは幸いにも(?)英語。しかしながら、スペックの話までは書かれていない(あれは別マニュアルみたい)。
さて、このIF-232C、今じゃ当然入手難。手に入ったとしても、今どきのPCには、RS-232Cなど言うレガシィなI/Fは付いていない。232Cな周辺機器をつなぐには、USB←→232Cの変換を使うのが一般的だろう。
調べてみると、ズバリ、そういうインタフェースボックスを作っている先達がいらっしゃる。
USB接続KENWOODリグコントロールインターフェース
AMD-USB-RIG-KENWOODの製作
http://jn2amd.html.xdomain.jp/usb_rig_kenwood.htm
FT232BMというUSB←→232C変換の専用ICを使ったもの。CTS-RTSは直結して、フロー制御はしないようになっている。
探してみると、秋月にちょうど良さそうな変換ケーブルがあった。
FTDI USB・シリアル変換ケーブル(5V)[TTL-232R-5V] http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-05841/
これも先のI/Fボックスと同様、FT232Rという変換チップを使ったもの。あちらはFT232BMで、こちらはFT232Rと型番がやや違うが、BMの方はEEPROMが外付けで、Rの方はそれが内蔵されている。機能的には同じだろう。
信号レベルは5V-TTLなので、TS-690のACC1に直結できるはず。
ということで、この変換ケーブルを入手し、コネクタをACC1に合せてDIN 6pinに付け替え、PCに接続。
ポートは、COM8として認識している。
ポートの設定を、IF-232Cで調べた値に設定する。フロー制御は、とりあえずなしにしておく。
WSJT-XのRigの設定をTS-690Sにしてみる。
しかし、エラー。
いろいろと調べてみたところ、TS-690のACC1の2ピンTXDからデータが垂れ流しになっている。ACC1に何もつながずに、2ピンをオシロで見ると、常時信号が出ているじゃないか。
5Vの矩形波なので、ノイズではなく、信号として出ているのに違いない。何もしないでも信号って出るものなの?
試しに、ターミナルエミュレータ(Tera Term)でモニタしてみたら、意味不明な文字の羅列。
ところが、VFOを回すと、こんなふうに「]]]]]」が出力される。右に回しても左に回しても同じ。とはいえ、何か反応しているのには間違いない。
参った…。
さらに情報を集めると、やはり、ターミナルエミュレータを使って通信できるもののようだ。
Rig制御
http://www.geocities.jp/ja2bqx/rig_con.html
このサイトでは、超簡単なI/F回路が紹介されている。TTLと232Cのレベル合せに抵抗をツェナダイオードを使った回路。PC側の受け(RXD)は何もせずに直結。レベルは低いが認識できるのだろう。CTSとRTSは直結でフロー制御はしないようになっている。
で、このページの最後の方にターミナルエミュレータとの通信例がある。Enter押下で「?;」というプロンプトが返って来るそうな。決して、常時データ垂れ流しになっているわけではない。こちらのページでは、ExTermというターミナルエミュレータを使っているが、残念ながら、リンク切れ。でも、通信できるか否かはターミナルエミュレータには依存しないだろう。
こちらのページの作者さんにコンタクトをとってみたところ、親切にもExTermを送ってくださった。それで試したのが以下。
内容は違うが、意味不明であることには違いない。
VFOを回すと、こちらでも「]]]]]」だ。
うーん、参った。TS-690の故障?
続きはこちら。
追記:色々あったが、最終的にはTTL-232R-5Vで上手く行った。
追々記: 別案
コメント
こんにちは。JA2BQX 太田です。
メールとこちらのブログも拝見しました。
Extermでのテストは2000.08と16年も前の事で、しかも今は手元に
当時テストしたTS-690もありません。
そちらのExtermでのテストで表示される文字列がバイナリーみたいな感じを受けますが
Extermには受信をテキストモード、バイナリーモードと切り替えもなさそうですね。
プログラミング的にはKENWOODはCOM制御をテキストモードで、ICOMは
バイナリーモードで読み書きしていると思います。
リグ制御が出来ない原因がRigかインターフェイスがログソフトがの切り分けが必要ですね。
必要なら再度メールでお願いします。
リモートもおやりになるようで。私も山シャックと自宅間でICOMのRS-BA1でやっています。
JT65も少しだけテストで運用したりしましたがまだ本格的ではありません。
太田さん、いろいろありがとうございます。
ターミナルソフトは、(受信では)来たものをそのまま表示するだけですから、テキストとかバイナリといった切換えはありません。
太田さんの「Rig制御」のページを拝見すると、可読テキストとしてやり取りしていると思って間違いなさそうです。何か受信しているものの文字として読めないのは通信設定があっていない可能性があります。速度やストップビットをいろいろと変えてみましたが、今のところ上手く行ってはいません。また、論理の正負もあり、FT232Rは設定によって変えられるのでそれもやってみましたが、上手く行っていません。
また、仰るとおりで、原因がどこなのかを切り分ける必要があります。ソフト側の問題を排除するために、ターミナルエミュレータでモニタしています。それがこんな状態ですので、ソフト側はとりあえずは無関係だと判断しています。後は、無線機かケーブルかで、何も操作しない状態でデータが垂れ流されてくるのが非常に気になっています。これが正しい状態なのか、メーカに聞いてみようと思います。教えてくれるかどうかは分かりませんけど。
リモートに関しても、まずは、PCと無線機がつながらないことには話になりませんよね。色々とやってみることができるよう、免許の方は準備できているのですが…。
諸々、了解です。
私のところのI/FとUSB-RS232C変換器はRigの故障では無いと解って
試してみるならメール下さい。テスト終了後に返送して下されば結構です。
昨晩20JSTからのDL-DX RTTY Contestに参加中です。
SN 0 でCONDXが悪いです。もっか20mで苦戦中....。
ありがとうございます。その際には、どうぞよろしくお願いします。