新しいDX Peditionモード
WSJT-X 2.7.0-rc5では、DXペディション向けの新たなモード「SuperFox」が実装された。
従来のFox / HoundモードはFox側(ペディション局)が複数のFT8のストリームを同時分割で送っていた。分割になるのでパワーが分散されて各信号は弱くなる。Hound側(呼出し局)は所定の周波数でコールして、応答があったら自動で周波数(DF)が変更されて通信を行うという動作をする。
今回実装されたSuperFoxモードでは、Fox側は分割ではなく、広い周波数を使ってまとめて送信する。分割ではないので、信号が弱くなることはない。Hound側が呼ぶ周波数に制限はない(Fox側が受信している範囲ならどこでもOK)。送信周波数が自動で動かされることもない。Hound側の送信信号は通常のFT8。また、Foxは「デジタル署名」を持っており、ニセモノを排除できる。
Fox側が送信する信号が新しい形式なので、Hound側も新しいソフトウェア(WSJT-X 2.7.0-rc5以降)を使う必要がある。
以下、WSJT-X 2.7.0-rc5のリリースノートからSuperFoxモード関連の記述をGeminiで和訳したもの。
SuperFox モード
- SuperFox モードは現在の Fox/Hound モードと動作面で似ていますが、Fox の送信に最大 5 つの通常の FT8 信号を同時送信するのではなく、一定エンベロープ波形を使用します。このアプローチにより、最大 9 つのメッセージを信号強度低下ペナルティなしで同時に送信することができ、従来の 5 スロットの Fox/Hound 動作と比較して約 +10 dB のシステムゲインが得られます。
- 重要: 古いバージョンの WSJT-X や派生プログラムは、SuperFox 送信をデコードできません。受信局 (Hound) は、SuperFox メッセージを受信するために WSJT-X 2.7.0-rc5 (または以降のリリースがあればそちら) を使用する必要があります。
- DX 局を追いかける受信局 (Hound) は、従来の Fox/Hound モードと同様に通常の FT8 信号を送信します。QSO は FT8 モードとしてログに記録されます。
- SuperFox モードを使用する場合、受信局 (Hound) は Fox の受信パスバンド内の任意の周波数 (0 ~ 1000 Hz の範囲を含む) でコールすることができます。受信局 (Hound) は、最終送信のためにより低い周波数に QSY しません。
- SuperFox 運用では、Fox 局は有効なデジタルキーを使用する必要があります。キーは正規の DX ペディションに対して Northern California DX Foundation から事前に発行され、秘密に保持されます。
- すべての SuperFox 送信には、ユニークなデジタル署名が含まれます。SuperFox メッセージを受信した受信局 (Hound) は、送信された署名が有効であれば「<コールサイン> verified」というフラグが表示され、画面上の「Super Hound」ラベルが赤から緑に変わります。
- 受信局 (Hound) の運用は、設定 -> 詳細 タブで「特殊運用モード」、「受信局 (Hound)」、「SuperFox モード」を選択することから開始します。または、FT8 ボタンを右クリックすると、Fox 局または Hound 局のどちらかについて SuperFox モードのオン/オフを切り替えることができ、SuperFox と従来の Fox/Hound モード間を迅速に切り替えることができます。
- SuperFox 局は、最大 4 つの受信局 (Hound) へのメッセージと一緒に最大 26 文字のフリーテキストメッセージを送信できます。
実際のQSO
2.7.0-rc5自体は一週間くらいにインストールしており、通常のFT8やFT4で使う限りではこれまでと特に変ることなく、問題もなく使っていた。
K8R(American Samoa)がこのSuperFox運用しているとのことだったので試してみたところ、無事、QSOできた。
操作方法
Houndモードにして、FT8ボタンをマウスの右クリックすると通常のHoundとSuper Houndが切り替わる。
FT8ボタンを右クリックというのがどうも直感的じゃない気がする。うっかり間違えて左クリックすると通常のFT8になってしまうし。Houndの機能の切り替えなのでHoundボタン(Hボタン)の右クリックのほうがわかりやすいんじゃなかろうか?あるいは、切り替えということで考えれば、Tx4ボタンの挙動に合わせてHボタンのダブルクリックとか。まだRC版なので、もしかしたら今後変るかも。
QSO
この画面では約900から2400Hzあたりを使ってFoxが送信していることがわかる。
音は昔のSF映画を想起させてくれる。
複数のHoundにまとめて応答している様子とともに、CQが入っていたり(GLは入っていない)、Verifiedの文字が入っていたりするのがわかる。
【余談】SuperFoxモードはバージョン2.7.0-rc4まではなかった。rc5で急に入ってきた急ごしらえの感じがしないでもない。
【追記】CQ単独のときはGLも送出されるようだ。他のと一緒に出されるCQにはGLは入らない。
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