月刊FBニュースに興味深い実験記事があった。
当記事内では上のリンク先から図や文章を引用している。
要点を挙げると:
- アンテナ直下とリグ側とでSWRを測定(比較)
- 測定周波数は145MHz
- 同軸ケーブルの長さは電気長でλ/4、λ/2、3λ/4、1λ(λ/4の整数倍)
- 50Ω負荷の場合は負荷側(アンテナ直下に相当)でもリグ側でも、また、いずれの長さでもSWRは1.0
- 187Ω負荷では負荷側でのSWRは2.5~3.0(ちょっとおかしい。記事でも後日の検証課題としている)
- 187Ω負荷でリグ側でのSWRは、同軸ケーブル長λ/2とλでは2.5~2.8(負荷側での測定値とほぼ同じ)、λ/4と3λ/4では1.5程度
つまり、アンテナのSWRをリグ側で測るならλ/2の整数倍の長さ(電気長)にすべしということ。これはよく聞く話。
で、ここからが本題。この記事の中で「あれ?」と思ったことがいくつかある。
まず、「図5 整合の取れていない負荷を使用し、SWRメーターを負荷の直下に接続」で同軸ケーブルが10cmの場合のSWRは2.8であるにも関わらず、「図6 整合の取れていない負荷を使用し、SWRメーターを無線機の近傍に接続」では同じ10cmでのSWRが2.1であること。図5と6とでは、SWR計を同軸ケーブルのどちら側に置くかが主題であるが、10cmの場合はどちらも同じ条件。下がその二つの図からそれぞれ10cmのものだけを切り抜いたもの。図からも(図からは?)同じ測定を行っているにも関わらず、測定値は2.8と2.1と、随分と違う。これが「あれ?」と思った一つ目。
もう一つ。今度はまとめの中の表と文章。
無線機の近くに置いたSWRメーターでSWRが仮に極端ですが3を示したとしても、アンテナ設置時にアンテナ直下でSWRが1.5であったなら、理論的には何らそのメーターの指示値に一喜一憂することはないのです。
この実験では同軸ケーブルの長さによっては負荷(アンテナ)直下で測定するよりもリグ側で測定したほうが小さい値になる例は示しているが、大きな値になる例は示していない。にも関わらず、文章でアンテナ直下での測定値よりもリグ側での測定値が悪くなることについて書くのは飛躍し過ぎではないだろうか?そういう事があるのなら、実験でも示してほしい。
それから、写真がないのでわからないのだけど、同軸ケーブルと負荷の抵抗はどのようにつないだのかということ。負荷自体はM-Jコネクタに抵抗を付けたもののようで、SWR計につなぐ場合は直結だったのだろうと想像できる。が、λ/4などの同軸ケーブルにつないだときはどのように行ったのだろうか?このケーブルはおそらくリグとSWR計をつないだとき(つまり、負荷直下での測定時)にも使ったものだろうから、両端にはM-Jコネクタが付いているのだろうと思う。リグ側での測定の際には同軸ケーブルのコネクタの先端にM-P – M-P変換コネクタを付けたのだろうか?その点が明確になっていない。M型コネクタは、HFならともかくも、145MHzともなれば測定結果に多少は影響が懸念されるわけで。
とても興味深い記事なのに、いくつかモヤモヤが残った。
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