トランジスタ技術の最新号が届いた。今号の特集のタイトルは「驚愕 1万円測定器 NanoVNA革命」。
この特集にあたり、NanoVNAの使い方について記事を執筆して欲しいとの依頼を受け、書かせてもらった。私の担当は、「NanoVNAに興味がある」、「買ったけどどう使うのかわからない」といったビギナに向けての実用的な操作方法。そのため、図・写真を豊富に入れてわかりやすく書いたつもり(基本操作、キャリブレーション、アンテナ、電子部品などの測定方法、それに、ファームウェアのバージョンアップ方法)。
内容の多くは私のブログにもあるもの。しかし、ブログのものはわからないながら色々試してみた記録。その経験を踏まえて書いた記事なので、まとまりがあると思う。トラ技の編集部の方が校正・校閲してくださっているし。特に、図の中に適切にコメントを加えてくれているので理解しやすいと思う。
と、ここまでは私が執筆した内容に関して。ここからは、この特集全体をざっと紹介。
まず、イントロダクション。ここは、NanoVNAの開発者である高橋氏によるNanoVNA開発の経緯と概要。それにつづいで、NanoVNAとそこからの派生品の概要紹介(これは私)。
続く第1部がNanoVNAの基本操作と、実際の測定方法。最初に説明したものだけど、ざっとまとめておく。
- 基本操作
- キャリブレーション方法と共に画面の使い方の説明
- PCソフトウェア(NanoVNASaver)の紹介
- 実際の測定
- アンテナ(実物の測定は外乱要因が大きいので等価回路を測定して説明)
- 同軸ケーブル
- 通過損失
- 波長短縮率
- 長さ(断線箇所推定)
- 特性インピーダンス
- 同軸ケーブルの先につないだアンテナ
- フィルタ
- HPF
- LPF
- 電子部品の高周波特性
- 抵抗(カーボン、金皮、チップ、セメント、メタルクラッド)
- コンデンサ(セラミック、チップセラミック、フィルム、電解)
- コイル(マイクロインダクタ、空芯、トロイダルコア、クランプコア(パッチンコア))
- 水晶振動子・セラミック振動子
- ファームウェアのアップデート(Appendix)— 私の担当分はここまで
- 増幅回路(別の方による執筆)
- スミスチャートを使ったマッチング方法
第2部は6.3GHzまで対応したLiteVNAにフォーカス。NanoVNA-H、LiteVNAとキーサイトのVNA(二種)との比較。NanoVNA-HやLiteVNAの実力がどの程度のなのか興味深い。
第3部は高周波信号測定基本。
各項目の見出しはこう。私も参考になった。
- 電気信号を定量化するパラメータ
- スペアな周波数測定の基礎知識
- ネットワーク・アナライザ測定の基礎知識
- ネットアナを用いたインピーダンスの測定
- ネットアナによるSパラメータの測定
- 信号を向きで分離!方向性結合器の原理と応用(Appendix)
以上が特集。
NanoVNAについてはこれまでにRFワールドでも特集されてきたが、あちらはNanoVNAとはどういうものかとか、NanoVNAを使って〇〇を測った・作ったというような内容。どちらかと言えばVNAを知っている人向けだと思う。今回のトラ技での特集は、上にも書いたとおり、NanoVNAに興味があるとか、買ってはみたものの使い方に困っているという初心者向けの内容。
ちなみに、NanoVNA-Hの読者プレゼントもあり。
発売日は10日。RFワールドのNanoVNA特集号はあっという間に売り切れたようなので、早めの手配がいいかも。
なお、私の記事中で使用している部品の測定治具はこちらです。以前から頒布しているものですが、まだ少しあります。
トラ技の補足のような記事も書きました。
NanoVNAの内部についてより詳しいのはRFワールドの特集記事。
コメント
予約していたトラ技7月号が届き、早速NanoVNAの記事を読ませて頂きました。
ファームウェアのアップデートがとても参考になりました。
NanoVNA-Hを2020年4月に購入後アップデートしてなかったので、最新のファームウェアを適用する事にします。
今のファームウェアは機能が増えただけでなく、文字も見やすくなっています。ぜひ、アップデートしてみてください。
おかげさまで、ファームウェアを最新のバージョンにアップデート出来ました。
トラ技の記事無しでは、アップデートが難しそうでした。
機能が増え満足しています。