結論からいうと、
- アマチュアバンドの境界での運用は、エネルギー(の一部)がアマチュアバンド外にはみ出すので不可。
- (アマチュアバンド内での)バンドプランの境界では、下にはみ出すのは不可、上にはみ出すのは可。
- 呼出周波数の51MHz、145MHz、433MHz、1,295MHz、2,427MHz、5,760MHz、10.24GHzはバンドプランに関わらず運用可。ただし、F2AとF3E限定。
以下、詳細。
こちら、JARLにあるアマチュアバンドプランの表から5600MHz帯と10.1GHz帯を抜き出したもの。
これらのバンドでは呼出周波数がバンドプランの境界の周波数に設定されている。この場合、占有周波数帯幅の一部がはみ出してしまうのではないかとの疑問が生じるが、この場合は問題ないようだ。
まず、「無線局運用規則第二百五十八条の二の規定に基づくアマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」の「備考2」に次のようにある。
備考2 周波数の欄に定める各周波数の範囲は、上限の周波数は当該範囲に含み、下限の周波数は当該範囲に含まないものとする。
つまり、5,760MHzは下の「全電波型式」に含まれる。そのため、この呼出周波数を使ってF3Eの電波を発射することはOK。逆に、この周波数で例えばA3Eの運用はできない(J3Eだと、LSBはダメで、USBは多分OK)。
5,760MHzが全電波型式の方に含まれるとしても、その周波数でF3Eの電波を発射するとエネルギーの一部が5,760MHzを超えてしまうのだけど、それは問題ないと考えるらしい。
下は、東海総通のWebサイトにある「アマチュア無線局の使用区別」のページから抜き出したもの。
Q7:電波の型式及び周波数の使用区別表の境界周波数での送信について、教えてください。 たとえば、431.00MHzでVoIP通信の運用はできますか。
A7:431.00MHzは、VoIP通信(A5の注6参照)区別の境界周波数となります。
境界周波数での運用については、使用区別の上限(数値の大きい方)の周波数と発射する電波の搬送波の周波数が一致してもよいとされている(A4の注3参照)ことから、運用することができます。(一方430.70MHzは、狭帯域データ(RTTY、PSK31など)等の使用区別に含まれますからVoIP通信はできません。)
境界周波数では下の区分の電波型式で運用することができるとある。ただし、続きがあって、トラブルのもとだか避けるべきとのこと。
しかしながら、境界周波数で電波を発射すると、隣接の使用区別で運用する無線局とのトラブルが発生する可能性が高くなります。境界周波数での使用は避けて運用しましょう。
また、これはあくまでアマチュアバンド内での使用区分の話であって、アマチュアバンドからはみ出すことは許されない。
なお、バンドエッジ(アマチュア周波数帯内の両端)の144.00MHz、146.00MHz、430.00MHz、440.00MHz等は、運用規則257条「アマチユア局においては、その発射の占有する周波数帯幅に含まれているいかなるエネルギーの発射も、その局が動作することを許された周波数帯から逸脱してはならない。」により、送信することが禁止されていますので十分ご注意ください。
関東総通のWebサイトにはこれを図解したものがある。
一応、まとめておく。
- 側波帯がバンドプランの上にはみ出るのは可
- ただし、アマチュアバンドからはみ出てはならない
- 側波帯がバンドプランの下にはみ出るのは不可
- アマチュアバンドからはみ出すのは当然不可
ということで、5,760MHzや10.240GHzに呼出周波数が設定されていることは問題ない。
【追記】 2400MHz帯の呼出周波数はちょっと微妙な気も。
2,427MHzは全電波型式の区分の下限。したがって、上の解釈に沿えば下の区分に属する。その「下の区分」は「レピータ」となっている。
「無線局運用規則第二百五十八条の二の規定に基づくアマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」によれば、その周波数の範囲(2,425~2,427MHz)に割り当てられている電波の型式は「全ての電波の型式」。ただし、以下の注がある。
注16 備考3の規定にかかわらず、この周波数の電波は、連盟の中継用無線局に係る通信を行う場合に限り使用することができる。
そのため、「レピータ」と記されているのだと思う。 2,427MHzF3Eを発射するとエネルギーは下限を超えるが、電波の型式としては逸脱しない。微妙な位置づけだと思う。
【追々記】呼出周波数に関しては、次のように規定されていた。
備考6 この表の規定にかかわらず、次に掲げる周波数は、F2A電波又はF3E電波により連絡設定を行う場合に限り使用することができる。
51MHz、145MHz、433MHz、1,295MHz、2,427MHz、5,760MHz、10.24GHz
この備考により、その区分が「全ての電波の型式」であっても、呼出周波数においてはF2AとF3Eしか使えない。
これはTwitterで教えてもらった。
【さらに追記】28MHz帯のFM(F3E)は、「広帯域の電話」にあたるので、下限の29.00MHzでは運用できず、上限の29.30MHは大丈夫。
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