「500円八木アンテナ」をMMANAに入れてみるが…
1200MHz帯用の手軽な八木アンテナ(八木宇田アンテナ)を試してみたくなり、前々から気になっている「500円八木アンテナ」を改めて見てみる。
この記事に記載されている原本には1296MHz用のものも掲載されている。が、10エレで、ちとでかい。「手軽」を優先で考えると、A4ケースに収まるサイズがいいかなと(A4は297x210mm)。他のバンドの寸法も色々と書かれており、基本的に各エレメントの長さと間隔は固定で、エレメント数の増減は単純に導波器の数だけみたい(ここでいいう「固定」とは、例えば4エレでも5エレでも第n導波器と第n-1導波器の間隔とエレメント長は同じという意味。ただし、先頭のエレメントはちょっと短い)。
なので、1296MHz用として掲載されている10エレのもので6エレでちょん切って、先頭エレメントをちょと短くすればいいのかなぁ、と。
でも、できれば、シミュレーションで確認しておきたい。MMANAという道具があるんだから。
ところが、あの寸法でMMANAに入れてもマッチングが全然取れない。そうこうしていたらTwitterでシミュレートできたという情報を教えてもらった。
さらに、430用のデータも。
確かにこのデータだと上手くシミュレートできた。
これを参考にして1295MHzでやってみようとしたけど、上手くいかない…。
OWA Yagi
「500円八木アンテナ」は輻射器(放射エレメント、ラジエータ)が特殊で、これがシミュレーションを複雑にしていると思う。ちなみに、あれは、セミフォールデットダイポールとかハーフフォールデットダイポール(Half Folded Dipole Antenna)というものらしい。
そこで、まずは、普通の八木アンテナを検討してみる。以前、JL1NIEさんに教えてもらったOWA Yagiが良さそうかなと。広帯域で50Ω直接給電できるらしいので。
しかし、これでもMMANAでシミュレーションしようとするとどうすればいいのかわからない。シミュレーション自体はもちろんできるのだけど、どのように最適化を行うのかと。エレメントが多いのでどう手を付けれればいいのだろう?
そんなことを思いつつ検索して見つけたのがJH8JNFさんのブログ記事。
これを見ながら最適化を掛けてみたらそれらしいものができた。以下、ようやく本題。そのシミュレーション結果など。
1200MHz 6エレ八木
エレメントの素材
まず、エレメントの太さ。1200MHzくらいの高い周波数になるとエレメントの太さの影響が大きそうなので、実際に作るつもりのものでシミュレーションを行う。ダイソーで調達できたのが3mmのアルミ針金と0.9mmの銅線。3mmは 「500円八木アンテナ」 で使われていたサイズ。輻射器はハンダ付けする都合でアルミって言うわけにはいかないので銅線で。陳列棚にあったもので最も太かったのが0.9mm。ふにゃふにゃだけどしょうがない。まずは、一度作ってみるということで。
シミュレーション結果
手に入ったエレメント素材の太さで最適化を行った結果がこれ。最適化の寸法は1mm単位で。
ちゃんとOWAのスタイルになっているのかどうかわからないけど、SWRのカーブはOWAに特有のWボトムの形になっている。ビームパターンは難ありな気もするが、お手軽さ優先で。
ワイヤ素材は「無損失」を選んだが、アルミや銅にしても変らず。計算条件も、リアルグランド(2m)にしてもSWRに変化なし(ぱっと見た感じでは)。
エレメントの太さの影響
試しに、このままの寸法で輻射器の太さを3mmにしてみた。ずいぶん違うことにびっくり。
1200MHzともなると、mm単位でのエレメント間隔の違いが効いてくるということだろう。
再最適化
輻射器の太さ3mmで改めて最適化。
SWRはこの範囲ではW底の形には見えない。というか、かなりブロード(広帯域)な印象。
両者比較
エレメント | DEからの距離 | エレメント長 |
---|---|---|
RE | -0.055 | 0.116 |
DE | 0 | 0.108 |
D1 | 0.039 | 0.095 |
D2 | 0.08 | 0.095 |
D3 | 0.139 | 0.095 |
D4 | 0.192 | 0.093 |
エレメント | DEからの距離 | エレメント長 |
---|---|---|
RE | -0.042 | 0.117 |
DE | 0 | 0.112 |
D1 | 0.025 | 0.098 |
D2 | 0.088 | 0.095 |
D3 | 0.156 | 0.095 |
D4 | 0.224 | 0.087 |
こうして並べてみるとエレメント間の寸法が結構違う。両者は「違う設計」と思った方が良さそう。SWRのブロードさ加減はDE(放射エレメント)の太さの違いよりも各エレメント間隔の違いの方が効いているのかも。ゲインも3.0mmの方がちょっと高いし。
材料は買ってきたことだし(と言ってもワイヤだけだけど)、一度組んでみよう。
続き。
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