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DT71 – ピンセット型DMM

ピンセットタイプのデジタルマルチメータDT71(MINIWAVE社)をBanggoodからレビュー用として提供を受けた。実際に使ってみたところ、表面実装部品(SMD)を測定するのに思った以上に便利。

主な仕様

まず、測定できるものは、L、C、R、電圧、周波数、ダイオード(Vf)。これに加えて、シグナルジェネレータ機能。下はマニュアルから抜き出したスペック。

測定対象測定範囲分解能精度 
抵抗0.1~1000Ω0.1Ω0.5%+2
抵抗1k~2000kΩ1kΩ0.5%+2
コンデンサ0.1p~1000pF0.1pF2%+3
コンデンサ0.001μ~400μF0.001μF2%+3
コイル1μ~1000μH1μH5%+3
コイル1m~50mH1mH5%+3
ダイオード0.1~3V0.1V1%
周波数10~1000Hz10Hz0.1%+3
周波数1k~20000kHz1kHz0.1%+3
電圧1m~100mV1mV2%+5
電圧0.1~40V0.1V1%+3

シグナルジェネレータは、サイン、ノイズ、ユーザ定義、パルス。

メーカの公式サイトはこちら。

開封

外箱の中にはプラスチックケースに収められた本体(右側)。今回は別のものと一緒に送ってきて、これは外箱が直に粘着テープで他のものに固定されていた。そのため、外箱の裏は粘着テープがべっとり。日本だとありえない梱包だけど、海外だとまぁこんなものか…。テープを剥がしたものの、糊がベトベトするので外箱は捨てるしかない。

中身は、本体(コントローラ部と、ピンセット部)、交換用(予備)の先端部、専用ケーブル、USBケーブル。紙は注意事項や保証書、それに充電方法が記載されたもの。本当はバラしてみたいところだけど、「分解したら二度と組み立てられないぞ」みたいな注意書きがあるので止めておく。まぁ、分解方法もわからないし。

ケースの中には取説は入っていない。公式サイト内にダウンロード用のサイトのリンクがある。ちょっとわかりにくいのでここにも置いておく。

Material Download For DT71 Mini Digital Tweezers

ここにファームウェアとマニュアルのダウンロードリンクがある。ファームウェアのアップデートについては別記事を書いた。

充電

ピンセット部に専用ケーブルを挿し、それをUSBケーブルを通して充電する。見ての通り、充電時にはコントローラ部は不要。バッテリはピンセット部の左右に入っているらしい。

上は充電している状態。赤のLEDが点灯している。充電完了でLEDが消灯する。仕様上は、充電時間は2時間、使用時間は10時間(連続)。

使い方

本体を組み立てれば即電源が入る。「組み立てる」と言っても、ピンセット部にコントローラ部を差し込むだけ。注意点は、しっかり奥まで差し込むこと。そうしないと動作がおかしくなる(モードが勝手にぐるぐる回ってまともに動作しない。こうなったら一旦抜いて差し直す)。

操作方法はちょっと特殊。というのも機械的なスイッチは一切なく、コントローラ部の「頭」を触ることで操作できるようになっている。

まず、指で触れたままにする(タップ&ホールド)と機能が切り替る。通常測定、自動判定(LCR)、シグナルジェネレータ、キャリブレーションの順にぐるぐる回る。目的のモードが表示されたときに手を離すとそれが選択される。なお、電源投入直後は通常測定モード。

また、各モードにおいて、指でタップするとモードが切り替る。通常測定状態では、R(抵抗)、D(ダイオード)、C(コンデンサ)、L(コイル)、F(周波数)、V(電圧)の順でローテーション。シグナルジェネレータなども同様にタップでモードを切り替える。

なお、触るのは指でなくてもOK。手のひらとか。薄手のシャツ越しの腕でも反応する。「もしや」と思って、PCの筐体に押し当てたらそれでも反応した。どうやら人肌くらいの温度の物体が触れると反応するみたい。

測定はピンセットで挟むだけなので簡単。なお、極性があるもの(ダイオードとか電圧とか)はピンセット部の赤がプラス側。

しばらく放置していると、オートパワーオフが働く(時間は変更可能)。機械的な振動が加わると電源が入る。ピンセット部をカチカチしてみるとか、軽く叩くとか、水銀体温計の要領で振ってみるとか、そんな感じのショックで電源が入る。手で持って動かしたくらいでは反応しない。なお、「使わないときは抜いておけ」との説明がある。

使用の様子

タップとかタップ&ホールドとか、ちょっとわかりにくいので、ビデオにまとめた。

コンデンサの測定値がちょっと気になったので、ビデオの中で測定したものをいくつかDE-5000でも測定してみた(ついでにフェライトビーズも)。

公称値DT71DE-5000
39pF46.6pF40.4pF
470pF457pF458.2pF
10μF6.10μF6.748μF
フェライトビーズ1.1μH1.0μH

小さな容量(39pF)の誤差が大きい。ここは気になる。

10μFの測定値は小さく出るが、DE-5000での測定結果とは(ほぼ)一致。こういう値になる理由はこちらの記事。

積層セラミックコンデンサは大容量のものは測定が難しい。

ちなみに、ビデオ内のオシロスコープはこれ。

まとめ

これまではSMDも通常のテスタ/DMMで測定していた。ときにはピンセット型のテストリードをつないだりして。このピンセット型のDMMも似たような感じだろうと思っていたのだけど、実際に使ってみると想像していた以上に便利。

  • 測定ポイントと表示部が近いので視点の移動が少ない。想像していなかったけど、これはとても使いやすい。正に目からウロコ。
  • ケーブル(テストリード)がなく、取り回しが良い。軽いのも良い。
  • 表示部は小さいが、OLEDは視認性が高く、読み取りやすい
  • 微小容量のコンデンサの測定誤差が大きいように思うが、それ以外は割といい感じ。
  • 基本はLCRメータ。それにダイオードテストと電圧計機能が付いたもの理解するのが良さそう。
    • とはいえ、電圧計も結構便利。基板上のCやRをつまんで、そこに掛かっている電圧が手軽に測定できる。
    • ダイオードテスト機能はチップLEDの極性確認にも重宝する(SMDのLEDの極性は分かりづらいので)。
    • 周波数カウンタはオマケかな?数百mV程度の振幅だと測れなかった。
    • シグナルジェネレータもオマケ。プリセットのものを呼び出せるだけだし、各波形では一つの周波数しか設定できない。それでもあればあったで便利。

チップ部品を使う機会が多いなら、非常に便利な道具。実際に使ってみて想像していた以上だった。

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