秋月電子で売っている499Ω・1%・2Wのチップ抵抗を10個(1パック)を並べたダミーロード(基板の表と裏にそれぞれ5個ずつ)。額面上は49.9Ωの20Wということになるが、放熱器を持っていないので、実質的にQRP仕様。チップ抵抗を使ったので割と高い周波数まで使える。
特徴
特徴はジャンパピンを外すと100Ωになること。何ができるのかといえば、「このSWR計、合ってる?」っていう簡単なテストに使える。SWRが50Ωで1、100Ωで2を示せば正しい(ただし、これについてはちょっと残念な結果(後述))。
変換コネクタにより、SMA、BNC、UHF(M)で使用可能。
特性
SMAコネクタ
NanoVNA-H4で測定。SMA-P – SMA-P変換コネクタを使用。
上限確認
SWRは、400MHzで1.11、500MHzで1.15、900MHzで1.37。430MHz帯までなら使えそう。
50Ω
上と同じだけど、改めて500MHzまでで測定。
100Ω
ジャンパピンを抜いた状態。
残念ながら周波数特性があまり良くない。150MHzでSWRが1.9を割ってしまっている。どうやら、使用していない抵抗が影響して浮遊容量を増してしまうみたい。
BNCコネクタ
SMA-P – BNC-P変換コネクタを使用。BNCコネクタ直結で測定したいのでFA-VA5で測定。
50Ω
SWRは500MHzで1.16と、SMAコネクタの場合とほぼ同じ。
100Ω
150MHzでSWR 1.88と、こちらもSMAの場合とほぼ同じ。
UHFコネクタ
SMA-P – UHF-P変換コネクタを使用。FA-VA5に接続するため、さらにUHF-J – BNC-P変換コネクタも使用。
50Ω
さすがに特性が悪化し、SWRは200MHzで1.2弱。このあたりが使用上限かな?
100Ω
リアクタンス分増加が功を奏した格好(?)で、SWRでは200MHzで2.11。いずれにしても、アマチュアバンドでは144MHz帯までが実用域。
SWR計で確認
QPM-01で測定。下のように、50Ω時はSWRが1.0、100Ω時(ジャンパピンなし)はSWRが1.8と、概ね良い感じ。このときの周波数は14MHz。
もう一つ。こっちのメータも大丈夫そう。
追加実験など
100Ω、片面だけ実装
100Ω時では未使用の抵抗が影響して特性が悪化するのではないかという話の確認のため、片面にだけ抵抗を実装したものを測定してみる。
案の定、これなら上の方でも割といい感じ。SWRは300MHzで1.91、500MHzで1.81。
430MHz帯でもSWRが2程度のものが必要であれば、片面だけ実装でということになる。144MHz帯までで良ければ、ジャンパピンタイプでも何とか使えそう(SWRは1.9を割る程度だと認識の上で)。
50Ω、ジャンパピンなし
ジャンパピンの影響を確認すべく、対象として短いワイヤをハンダ付けしたものを測定。
SWRは500MHzで1.15と、ジャンパピンを使用したものと同じ。ジャンパピンで問題ないことが分かる。
ジャンパピンに流れる電流
ジャンパピンの定格は3A(秋月電子の販売ページによれば)。仮に電力が50W、負荷が50Ωとすると、I = √(P/R) = √(50/50) = 1[A]。
このダミーロードではジャンパピンに流れる電流は全体の半分だし、そもそも抵抗の定格からしても最大で20Wなので、ジャンパピンに流れる電流は問題ないはず。
発熱
熱電対を抵抗表面に貼り付けて測定。
5W程度で50秒ほどで100℃を超え、その後、120℃位まで上がる(そこで平衡)。
10Wだと30秒で100℃を超える(これ以上は測定せず)。
ただし、抵抗の定格は70℃なので、こんなに長時間かけていはいけない。
放熱器
実は、当初は放熱器を付けるつもりでいた。
しかし、これを行うと、特性がものすごく悪化する。以下、それぞれ50Ωと100Ωでの測定結果。
直ぐ側に金属(放熱器)があることが影響してしまうようだ。
また、電力を掛けると発熱によって粘着テープがゆるくなって放熱器がずれる。放熱用の粘着テープだけど、熱くなりすぎるものはダメなのかな?
どっちにしても特性が悪くなりすぎて、放熱器は使えない。HF用と割り切れば使えなくもないけど…。
75Ω
ここまでやったらついでにと、75Ω版も作ってみた。同じサイズのチップ抵抗で、750Ω / 1% / 1W。残念ながら2Wのものは見つけられなかった。
SWRは150MHzで1.47、500MHzで1.41。430MHz帯で使えそう。
こちらも14MHzでの測定。
まとめなど
- 430MHz帯まで使用可能(SWR < 1.2 @500MHz)。
- 電力は5Wで30秒まで、10Wなら15秒程度までが目安。
- 100Ωモードは144MHz帯まで(SWR > 1.8 @150MHz)。ただし、100Ωモードでは耐電力は半分。
- 50Ω版(SWR=1.0)、75Ω版(SWR=1.5)、100Ω版(片面実装、SWR=2.0)があれば、144MHz帯まではほぼそのまま、430MHz帯では若干誤差があるがそれを頭に入れておけば使えそう。
頒布します。
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