数年前に興味を持って調べたPixieという40mのCW QRP機。トランジスタ二つとIC一つという非常にシンプルな構成のトランシーバ。わずかUS$3程度で買える。しかし、調べれば調べるほどたくさんのバリエーションがあって面倒になって結局買わずじまいだった。
その後、NanoVNAとかtinySAとかを手に入れたら、実験素材としてPixieが面白いんじゃないかと思い始めて改めて調べてみた。
S-Pixieとは?
調べてわかったのが、S-Pixieというのが色々と改良されたバージョンだということ。おそらく、LXQQFY.comというところが、公式の開発・販売元。マニュアルも公開されている。
LXQQFY.com S-pixie ⇒ http://www.lxqqfy.com/e/product.php?id=S-Pixie
このサイト、接続が遅くて不安定。気長に待つしかない…。
改良点
マニュアルから特徴(改良点)を拾ってみるとこんな感じ。コメントをはさみながら。
- 抵抗を寝せて実装(ショートによる事故回避)
- 電源端子の無極性化
- 同時に13.8Vへの対応
- 電源入力部ブリッジダイオードを挟んでいる
- それでプラス・マイナスがどっちでも大丈夫
- しかし、ブリッジダイオードによる電圧降下がある
- その電圧降下によって「13.8VもOK」ってことになっているのかも
- 同時に13.8Vへの対応
- 送信ブザーとLEDを追加
- 要するにサイドトーン
- ブザーはジャンパで切れる
- アクリルケース
仕様
こちらもコメントをはさみながら。
- 供給電源: 9~13.8V、500mA以上(バッテリを推奨)
- アンテナ: 50Ω、SWR<2.0
- 受診時電流: 20mA
- 送信電力: 1.2W
- 本当にこんなに出るのかなぁ?
- 電力増幅段のトランジスタの8050はPcが1Wとは言え…
- トランジスタの8050についてはこちら(にあるPDF)の資料が詳しい
- しかし、TO-92パッケージで1Wも食わせたらものすごく熱そう
- ブリッジダイオードによる電圧降下を見込んで13.8VをOKとしているのだとしたら、ブリッジダイオードを取っ払って13.8Vを掛けたらトランジスタが燃えるか?
- キッチンアルミテープを貼って放熱するというアイデアがあった(オーディオアンプの例)
- 周波数: 7023kHz固定(X’tal次第)
- 受信周波数は多少変えられる(CWの受信ビート音可変という感じ)
S-Pixieの情報
上の公式サイト以外で見つけた情報。たくさんあるので目に留まったものをいくつか。
このページにはいくつかの資料へリンクがある。
S-Pixieのマニュアル
先のマニュアルのコピー ⇒ S-Pixie QRP Kit User Manual
Pixieの動作原理
⇒ How The Pixie Transceiver Works
送信時、受信時の動作解析。また、S-Pixieでの改良点の解説もあリ。
電源入力部のブリッジダイオードに関してはこんなコメントが。
But…
No free lunch.
Each diode
drops about 0.7
Volts.
ダイオードを二つ通るので、1.4Vほど降下。13.8Vを供給しても実際に回路に行くのは12.4V。9Vの電池をつないだら7.6Vにまで下がってしまう(計算上)。これだけで負けな気が…。
Pixieの歴史
初期のPixieからいくつかのバリエーションをまとめたファイル(S-Pixieは入っていない)。
スプリアス対策
Pixieは高調波がかなり出ているらしい。回路図を見ると三素子のLPFが入っているのだけど、おそらく不充分なんだろう。ならば、もっと高次のLPFを入ればいいんじゃないか?
と思って調べてみたら、こんなサイトが見つかった。
五素子のLPFを基板上に詰め込んでいる。なんとか載るもんなんだ。高調波は-60dBc以下に抑えられている。
組立て
ということで、S-Pixieを調達。ケースの有無のバリエーションがあったけど、アクリルケースを見てみたかったのでケースありの方で。値段が倍以上になってしまうし、それにも増して送料がバカ高いが仕方ない。まぁ、それでも全部で1,000円もしないけど。
AliExpressでの買い物だと楽天ポイントがもらえるのがちょっと嬉しい。
電源のブリッジダイオードは廃止して組む。代りに他のPixieのように逆接続時の保護用にダイオードを入れておく。
手元にポリスイッチがあるのでついでに入れておく(0.35A)。もう一つついでに、電源のパイロットランプも追加。
余談ながら、ベタGNDのviaが非常に少ないことが気になった。ないわけではなく、極端に少ない。まぁ、しょうがない。
電解コンデンサは国産品に変えておいた。10μFの手持ち数が二つだったので、386のフィードバックのところは積層セラミックで。
出力部のLPFはこの後検討することとして、省略。とりあえず、出力をBNCコネクタに直結。
この状態で、10Vで0.2W、13.8Vで0.4Wの出力だった。ただし、メータ(QPM-01)はきちんと校正したわけではないので、正確さは不明。概ねこのくらいだろうということで。
5Vの3端子レギュレータに4.7Vのツェナーダイオードを噛ませたので、9.7V。この電圧・電流計もどの程度正確なのか不明だけど、割とちゃんと出ているっぽい。電流の方はわからないが。
安定化電源の出力は13.8Vのはずだけど、細い線で1.5mくらい引っ張っているので、少し降下しているみたい。
13.8V(0.4W出力)だと、電力増幅段のトランジスタがあっという間に手でさわれないほどに熱くなる。もし、送信出力が本当に1.2Wも出たら火を吹くかも?それは大袈裟か。ちなみに、トランジスタを2N3904に変えてみたら送信電力は確認できなかった(0.0Wと表示されるので、100mW未満)。
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