前回、1:9 UNUNの巻数について検討した。
この検討結果に基づいて、巻数を減らす方向で実験してみる。
- 巻き方はベタ巻き(三線平行、トリファイラ巻きは良くなかった)
- 線材は1.0mmウレタン線
- できるだけコアに密着させるように巻く
- 12回巻き→7回巻きへ減らす方向
また、twitterでコメントを寄せてくださった方があり、その方によれば、ネット情報で12回巻で自作したもののやはり全然ダメで一巻きずつほどいて7回巻きにしたそうだ。この方は、小電力用のため小型のFT82-43を使い、0.6mmの線材をトリファイラ巻きしたとのこと。0.6mm位なら三本捩ってもさほど固くならずにコアに密着させて巻けるのかもしれない。1:1、1:9の両方を作ったらしい。なお、この方のアカウントは鍵付きのため、そのままの引用は止めておく(その方のフォロワになってなきゃ見られないし)。
【追記・補足】
その後、ご本人からコメントがあり、数え直したら1:9のものは6回巻きだったとのこと。また、50MHz帯での使用は無理だそうだ。
小型のFT82-43の6回巻きでも厳しいとなると、やはり別の材質のコアで試すのが良さそう。
まず、巻数は前回のまま12回で、トロイダルコアにできるだけ密着させるように巻いたもの。
続いて、巻をほどいて10回に。
さらに、8回。
ここまでは、単に巻きをほどいただけ。したがって、配線がムダに長い。12回が8回ということは、1/3もほどいたわけなので、割合から言ってもかなり長い。ということで、ムダを切断(巻数は8回のまま)。
7回。本来はムダな線を切るべきだけど、とりあえずそのまま。ほどいただけなので、巻き方もコアに対して均等にはならず、偏りがあるが、まずは簡単に傾向を見るためそのままで。
ここまでの実験で7回巻きが最も成績が良かったので、改めて7回で均等に巻き直す。
最後にケースに納める。
以下、SARK100での測定値。
周波数 | (前回)FT114-43 ベタ巻き 12回 | FT114-43 ベタ巻き 12回 | FT114-43 ベタ巻き 10回 | FT114-43 ベタ巻き 8回 |
||||
MHz | SWR | IMP | SWR | IMP | SWR | IMP | SWR | IMP |
1.8 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 48+j0 |
3.7 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 48+j0 |
7.1 | 1.00 | 46+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 48+j0 |
10.1 | 1.00 | 44+j0 | 1.00 | 46+j0 | 1.00 | 46+j0 | 1.00 | 47+j0 |
14.1 | 1.08 | 39+j0 | 1.00 | 42+j0 | 1.00 | 43+j0 | 1.00 | 46+j0 |
18.1 | 1.18 | 34+j0 | 1.05 | 38+j0 | 1.00 | 41+j0 | 1.02 | 44+j0 |
21.0 | 1.28 | 32+j0 | 1.11 | 36+j0 | 1.07 | 39+j0 | 1.08 | 43+j0 |
24.9 | 1.46 | 29+j0 | 1.23 | 34+j0 | 1.19 | 37+j0 | 1.19 | 42+j0 |
29.0 | 1.71 | 27+j0 | 1.40 | 32+j0 | 1.36 | 35+j0 | 1.35 | 40+j12 |
51.0 | 6.25 | 23+j68 | 4.10 | 29+j0 | 4.13 | 46+j73 | 3.69 | 77+j82 |
周波数 | (再掲)FT114-43 ベタ巻き 8回 | FT114-43 ベタ巻き 8回 余剰線カット | FT114-43 ベタ巻き 7回 | FT114-43 ベタ巻き 7回 新規巻直し | FT114-43 ベタ巻き 7回 ケースへ実装 |
|||||
MHz | SWR | IMP | SWR | IMP | SWR | IMP | SWR | IMP | SWR | IMP |
1.8 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.02 | 48+j0 | 1.01 | 48+j0 | 1.00 | 47+j0 |
3.7 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 47+j0 |
7.1 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 46+j0 |
10.1 | 1.00 | 47+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 48+j0 | 1.00 | 45+j0 |
14.1 | 1.00 | 46+j0 | 1.00 | 46+j0 | 1.00 | 47+j0 | 1.00 | 47+j0 | 1.00 | 42+j0 |
18.1 | 1.02 | 44+j0 | 1.00 | 44+j0 | 1.00 | 46+j0 | 1.00 | 45+j0 | 1.01 | 40+j0 |
21.0 | 1.08 | 43+j0 | 1.02 | 43+j0 | 1.00 | 45+j0 | 1.00 | 44+j0 | 1.05 | 38+j0 |
24.9 | 1.19 | 42+j0 | 1.10 | 42+j0 | 1.06 | 45+j0 | 1.00 | 43+j0 | 1.10 | 37+j0 |
29.0 | 1.35 | 40+j12 | 1.21 | 41+j0 | 1.14 | 43+j0 | 1.06 | 42+j0 | 1.18 | 38+j0 |
51.0 | 3.69 | 77+j82 | 2.74 | 51+j53 | 2.17 | 52+j40 | 1.92 | 41+j30 | 2.16 | 151+j0 |
やはり、12回巻きでも、できるだけコアに密着するようにすれば特性は良くなる。これが前回と今回との違い。
8回巻きでムダな線がついている場合とカットした場合を比べると、いかにムダな線の影響が大きいのかを実感できる。
7回巻きでわりといい成績が出ていたが、ケースに収めたら残念ながら少々悪化した。また、ケースに収める際には可能な限り配線を短くした。最初、そのまま取付けたら思った以上に悪化したので配線を短くした。これで多少は改善した(高域側)。なお、測定値の悪化は、ダミーロードの配線を端子に届かせるために伸ばした影響も考えられる。
以上、FT114-43では7回巻きで1.8~30MHz程度カバーできる1:9 UNUNが完成。24.9MHz帯までの使用が無難なようにも思うけど、まぁ、28MHz帯でも許容の範囲だろう。なお、50MHz帯では使いものにならない。おそらく、61材を使えば、14~50MHz帯用のものが作れるのではないだろうか?
実は、まだ続きが…
コメント
お疲れ様でした。
6回まで減らした物も見たかったです(笑)
高い方の周波数重視なら、敢えて#43材で回数を減らすというのもありかもしれませんね。
インダクタンスの測定がかなり低い周波数での測定の様だったので、実際に使う周波数だともう少しあったのではないかとも思えます。となるとトロ活のように6回巻きでも1.8MHzいけたかも・・・?などと。
なるほど…