1:9 UNUN(不平衡 – 不平衡なので、バランじゃなくてアンアン)のキットを組み立てたけど特性がイマイチと言う話。前回はこちらの記事。
キットのトロイダルコア(NXO-100というよく分からないもの)の特性が良くないのではないかと思い、「トロイダル・コア活用百科」のバランの章で出てくるFT114-43を手に入れたので、これで実験してみることにした。
巻数もこれを参考に、12回とする。P.487によれば、線径1.2mmで12回がベストなようだけど、手に入ったウレタン線は1.0mm。ま、そこは目をつむる。なお、この本では1:1のバランについて解説されている。1:9 UNUNではない。その点はちょっと気に留めておく。
また、実験では巻き方についても試してみる。一般的に、トリファイラ巻きが使われることが多いようだけど、それが本当にいいのか、ベタ巻きとどのくらい違うのかという疑問があるので。また、「FCZスーパーバラン」というのがあって、その巻き方も調べてみるといいと言った話をjh8jnfさんからtwitterで教えてもらった。で、それを調べてみたところ、トリファイラ巻きを4パラとのこと。参考サイトは以下。
スーパーアンテナバランの製作
http://www.fcz-lab.com/t-242.html
スーパーアンテナバラン
http://www.qsl.net/7n4ctr/handmade/sup_bal/sup_bal.html
写真を見ると、かなりごついことになっている。ごちゃごちゃしているためか、さすがに色分けのビニル線を使っている。これに倣って手持ちのビニル線(単線)をよって試してみよう。巻数は5回。
ということで、実験開始。
手持ちにLCFメータがあるので、まずは、インダクタンスを測ってみた。
トリファイラ巻きの一つを測ったところ、約60μH。別のペア(というのかな?)もほぼ同じ(誤差の範囲程度の違い)。
ベタ巻きの場合も約60μHで、トリファイラ巻きと同じ。
ちなみに、オンラインシミュレータによれば、FT114-43に12回巻くと73.44μHらしい。この違いはなんだろう?まぁ、LCFメータがどれだけアテになるのかという話か?何しろ、測定ケーブル直結で6.5μHと出るし。
それはそれとして。
続いて、「FCZスーパーバラン巻き」の場合。
一つで10μH。
4パラで41μH。単純に足し算?
さて、これからが本番。450Ωのダミーロードを繋いでアンテナアナライザSARK100で測定。
測定結果を表にまとめる。参考値として、トロイダルコアにNXO-100(トリファイラ、10回巻き)の場合も掲載しておく。
周波数 | NXO-100 トリファイラ | FT114-43 トリファイラ | FT114-43 ベタ巻き | FT114-43 トリファイラ4パラ |
||||
MHz | SWR | IMP | SWR | IMP | SWR | IMP | SWR | IMP |
1.8 | 1.44 | 42-j16 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 49+j0 | 1.09 | 45+j0 |
3.7 | 1.00 | 50+j0 | 1.04 | 47+j0 | 1.00 | 49+j0 | 1.00 | 45+j0 |
7.1 | 1.23 | 40+j0 | 1.22 | 40+j0 | 1.00 | 46+j0 | 1.00 | 43+j0 |
10.1 | 1.55 | 31+j0 | 1.39 | 34+j0 | 1.00 | 44+j0 | 1.13 | 30+j0 |
14.1 | 2.00 | 23+j0 | 1.67 | 27+j0 | 1.08 | 39+j0 | 1.31 | 33+j0 |
18.1 | 2.50 | 18+j0 | 2.00 | 22+j0 | 1.18 | 34+j0 | 1.51 | 28+j0 |
21.0 | 2.86 | 16+j0 | 2.26 | 19+j0 | 1.28 | 32+j0 | 1.66 | 25+j0 |
24.9 | 3.44 | 14+j0 | 2.69 | 17+j0 | 1.46 | 29+j0 | 1.99 | 23+j0 |
29.0 | 4.29 | 12+j14 | 3.22 | 15+j0 | 1.71 | 27+j0 | 2.19 | 20+j0 |
51.0 | >10 | 188-j238 | >10 | 13+j63 | 6.25 | 23+j68 | 6.15 | 12+j37 |
結果は、ベタ巻きの圧勝。FT114-43にトリファイラ巻きは、NXO-100よりはマシだけど、かなり残念な結果。トリファイラの4パラもあまり芳しくはない。
ベタ巻き圧勝とはいえ、それでも使えるは18MHz位までか?
トリファイラ巻きとベタ巻きとの違いを考察して見るに、やはり、コアへの密着具合の違いが大きいのではなかろうか?1.0mmとは言え、三本捩った状態ではかなり硬いので、コアへ密着させるのはかなり難しい。ベタ巻きも、今回のものよりももうちょっと密着させる余地はありそう。NXO-100でも(ベタ巻きで)コアに密着させて巻けばもう少しマシな特性になるのかもしれない。
FCZのスーパーアンテナバラン式のトリファイラ4パラがあまり芳しくなかった(それでも、トリファイラ巻きシングルよりは良い)が、これは元々は1:1バランのものなので、1:9だとまた違った巻き方を検討すべきということかもしれない。また、手持ちのワイヤは被覆がそれなりに厚そうだから、もっと薄いビニル被覆のワイヤならもっといい成績が出せたかも。
ということで、コアへの密着最優先のベタ巻きで再挑戦してみるか。
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