前回、ダミーロードを使った同軸ケーブルによるSWR測定値の影響を調べた。
今度は、実際のアンテナを使って調べてみる。
測定方法
GAWANTもどきを使う。
これなら手軽にいろんな周波数で調べられる。バリコンを回して適当な周波数に同調させ、NanoVNAにアンテナを直結した状態と、RG-58C/U 10mを間に入れた場合とで比べる。キャリブレーションはNanoVNAのコネクタ直で行う。
測定
7MHz
アンテナ直結
同軸ケーブル経由
薄い色のリファレンスは直結での測定結果(以下同様)。
目的周波数(7MHz)付近で見れば、SWRはほぼ同じ結果。高い値がやや低くなるという程度。
しかし、スミスチャートを見ると、本来(直結)は誘導性リアクタンスであるものが、この同軸ケーブルが入ると容量性リアクタンスであるかのように見えてしまっている。マーカ1のインピーダンスの値でも35.88+j1.4Ωが35.94-j13.1Ωになっていることからもリアクタンス分が逆転(という表現でいいのか?)していることがわかる。
14MHz
アンテナ直結
同軸ケーブル経由
7MHzの場合と同様。
21MHz
アンテナ直結
同軸ケーブル経由
あら、今度はやや悪く見えてしまうという結果。SWRが最も低い周波数も若干ずれているが、同軸ケーブルによる影響かは判断できない。
24MHz
今度は、7MHzの整数倍ではない周波数で。
アンテナ直結
同軸ケーブル経由
21MHzの場合と同様の傾向だけれど、SWRの見え方がだいぶ悪くなっている(1.2 → 1.6)。
9.5MHz
この同軸ケーブルの長さが電気的λ/2になる周波数は約9.5MHz。この周波数なら同軸ケーブルは無視できるはずなので、それを確認する。
アンテナ直結
同軸ケーブル経由
なるほど。確かに、この周波数付近では同軸ケーブルなしとありとは同じような結果が得られる。スミスチャートの軌跡がわかりやすい。
19MHz
9.5MHzの整数倍。すなわち、この波長に対して同軸ケーブルがλ/2の整数倍。
アンテナ直結
同軸ケーブル経由
やはり、この周波数でも同軸ケーブルがあってもそれがない場合とだいたい同じ結果になる。
まとめ
まとめ、と言うか、あまりまとまらない。
同軸ケーブルの減衰による影響でSWRは良く見えてしまう傾向かと思ったら、そうとも言い切れない。SWRカーブ自体は同軸ケーブルを経由してもだいたい同じように見える。SWRの値そのものは「ずれて見えることがある」としか言いようがない、かなぁ…。
スミスチャートでは、同軸ケーブルによる影響がはっきりわかる。
それから、電気的λ/2の整数倍なら、確かにアンテナ直下での測定と(ほぼ)同じになることが確認できた。ただし、同軸ケーブの損失による減衰のため、SWRは実際の値よりもよく見える方向。
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