PR

NanoVNAの高域特性の改善改造

昨年末くらいにNanoVNAの高域特性を改善するというお話をja1turさんからコメントで頂いた。そのコメントがある記事はこちら。

NanoVNA、復活!
液晶パネルを壊してしまったNanoVNAを修理した。 壊した話はこちら。 LCDパネルを調達 あのLCDパネル、フレキ基板にコンデンサとか乗っているので、てっきり専用品だろうと思っていた。なので、部品として手に入るとは思ってもみなかったので...

ご本人のブログで具体的な改造方法の解説してくださったので、やってみたところ、上手くいった。

改造方法

ja1turさんのブログからポイントを抜き出しておく。

(1) R13(150Ω)に3pFを並列に付加
(2) R14に小さいL 7.4nHを直列に入れる
(3) S11最適化のためR14を56Ωから68Ω、R9を82Ωから91Ωに変更
実際の効果は(1)が最大で以下は少なくなります。
<中略>
R13の上にジキコン 3pFが重ねて付けてあります。
<中略>
効果の8割方はジキコン3pFなのでこれだけで済ます手もあります。

これは、こちら記事から。

もう一つ、別の話。

回り込み波形でちょっと気になるところが。
1000MHzの上のアカの落ち込み。何かの共振のように見えます。
TX側とRX側のGND分離のギャップが切ってあります。
ここがスロットラインになって、電波が伝搬しているようです。
ここを抵抗(50Ω)で終端するとdipは消えて素直な特性になりました(クロ)。

これは、こちらの記事から。

そして、上の二つをまとめたような話(二台目の改造)。

白トカゲで有効だったスロット終端を試します。抵抗は49.9Ω
50Ωに近い必要は無いような気もします。 
<中略>
今回は簡単にR13に4.7pFをおんぶさせるにとどめました。5倍波強度が10dB上がり、その分S/Nが良くなります。手持ちがたくさんあったので4.7pFを使いました。

これは、こちらの記事。

もう一つ興味深いのが、シールドはRX側だけが良いという点。

以上を踏まえて、改造方針を立てる。

  1. R13にCを背負わせる。手持ちの都合で3.9pF。
  2. TX、RXのスリットをRで終端する。手持ちの都合で47Ω

以上。R13にCを背負わせるのが効果の大半を占めるようなので、基本はこれだけおこなう。j1turさんも、二台目はこの改造だけのようだし(しかも、3pFではなく4.7pF)。

この他の関連記事。

改造

対象とするNanoVNAは、白トカゲ版。自作シールド板を付けている。

白トカゲNanoVNAにシールド板を付けてみる
最初に手に入れた白いNanoVNA、RF部にシールドがついてない。しかし、シールド板を取り付けるためのようなパターンが付いている。 後から入手したシールド板付きのNanoVNAとでは、周波数が高い方、特に1000MHzを超えるところから大き...

改造前

まずは、改造前(と言っても、上に書いたように自作シールド板(厚紙に銅箔テープを貼ったもの)付き)の状態を測定。

NanoVNAのファームウェアバージョンは0.2.3。NanoVNA本体のSMAコネクタ直でキャリブレーションを実施した(S21 troughは除く(付属の同軸ケーブルを使用))。

  • TX: 開放、RX:終端

  • TX: 終端、RX:終端

スリット終端

最初は簡単なところから。

手持ちの47Ωチップ抵抗は大きめの3216Mサイズしかないのでこれで。

  • TX: 開放、RX:終端

  • TX: 終端、RX:終端

特に大きな変化は見られない。

R13にCをパラで

TX側のシールド板をめくり、2012Mサイズの3.9pFをR13に載せた。

  • TX: 開放、RX:終端

  • TX: 終端、RX:終端

TX終端でのS11は、アマチュアバンドの1200MHz帯で改造前は-20dBを超えていたが、改造後は-20dBより下になった。5dB程度の改善。

同様に、S21では-28dB程度だったものが-45dBに改善。

なお、改造後はNanoVNA本体でのキャリブレーションも行った(これをやらずにNanoVNASaverでキャリブレーションを行うと、状況が大きく変っているためか、キャリブレーション中にNanoVNAから素っ頓狂なデータが来ることがあるようで、NanoVNASaverがハングアップすることがある)。以下、同様。

それと、自動スケールで表示させたため、縦軸の目盛りが変ってしまっている。比較が目的だったので固定にしておくべきだった。

TXシールド板除去

TX側のシールド板、ここまでは片側をめくった状態だったが、完全に除去した。写真では汚くてわかりにくいが、TXとRXのGNDのスリットは分離している(ハンダブリッジはしていない)。

  • TX: 開放、RX:終端

  • TX: 終端、RX:終端

わずかに変化した。

底板装着

自作ケースの底板を装着。なお、この底板には銅箔層がある(両面)。

  • TX: 開放、RX:終端

  • TX: 終端、RX:終端

S11の低域(300MHz以下)は悪化してしまったが、高域(1000MHz以上)は改善している。

これなら、1200MHz帯でもそこそこ使えるんじゃないだろうか?

【参考】シールド付き黒NanoVNA

同じ方法で最初からシールド板が付いていた黒NanoVNAを測定してみた。

NanoVNA、白黒比較
Twitterで、NanoVNAの白の方だと300MHz辺りにヒゲが出るとの話があった。 ということで、比較してみる。 条件 使用するNanoVNAは手元の二つ。 ファームウェアはどちらも0.2.3にアップデートしてある。 NanoVNAS...
  • TX: 開放、RX:終端

  • TX: 終端、RX:終端

改造した白トカゲ版よりもこちら無改造の方がより良い。差はかなり縮まったが。

さて、この黒NanoVNAも改造するか?するとなると、シールド板が付いているだけにちょっと面倒そう。


もう一台も改造してみた。

NanoVNAの高域特性の改善改造、二台目
「シールド板付きNanoVNA」にも高域特性改善のための改造をやってみる。 これまでの話。 改造 前回の結果を踏まえて、今回はR13に3.9pFのチップコンデンサ(2012Mサイズ)を乗せるだけとする。 改造前 改造後 ややボッテリ気味。R...
測定器
この記事のタイトルとURLをコピーする
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメント

  1. ja1tur より:

    こんにちは、追試ありがとう7ございます。
    こちらではVSWRで、私はSパラで評価しているので効果が比べずらいですね。
    こちらのシールド付き黒NanoVNAでTX: 開放、RX:終端 のデータをスミスチャートで比べると私のとばたつきがずいぶん違います。この差は何かなと気になります。

    • jh4vaj より:

      すみません。あまり良くわかっていないもので。

      私も、S11とS21、スミスチャートを表示させています。それに加えて、VSWRのグラフも表示しています。VSWRのグラフを無視すれば、同じだと思うのですが…。

      上の方、900MHzより上は暴れてきます。特に、1400MHz付近からはものすごく暴れます。

  2. E・J・D より:

    おじさん工房の小川さんも、NanoVNA の改造・評価をされています。
    私には敷居が高すぎてついて行けません・・・!

    • jh4vaj より:

      情報、ありがとございます。サイトを見てみました。面白そうですね。試してみたい気もします。